健康コラム

no.70
テーマ:「尿酸」
2012年12月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

2012年も残りあとわずかとなりました。
忘年会など飲酒の機会が増えるシーズンです。

お酒に関係の深い血液検査項目といえば、γ-GT(γ-GTP)、AST(GOT)、ALT(GPT)などが有名ですが、「尿酸」もその1つです。

今月は「尿酸」についてのお話です。
【1】「尿酸」って?
私たちの体は、約60兆個もの細胞が集まってできています。

1つ1つの細胞には、“プリン体”を主成分とする、遺伝情報をもつ“核酸”という物質が存在します。

プリン体には、食品から体内へ摂り込まれるものと、細胞の新陳代謝やエネルギー代謝の過程で産生されるものとがあります。
体内のプリン体の多くは後者のものです。

「尿酸」は、プリン体が分解されてできる老廃物です。
常に体内でつくられ、尿などともに体外へ排泄されています。

体内の尿酸量は、生成と排泄のバランスによって一定に保たれているのです。
【2】「尿酸」が高くなると・・・
ところが、尿酸の生成が過剰になったり、排泄がうまくいかなくなると、体内の尿酸量が増え、血液検査の尿酸の数値も高くなります(※)。

そのまま放っておくと、血液中の増えすぎた尿酸は結晶化し、関節や腎臓などに徐々にたまり、やがて様々な病気を引き起こすようになります。

その代表的なものに“痛風”があります。

痛風は、尿酸値の高い状態が続き、結晶化した尿酸が足の親指のつけ根に沈着した結果、特有の激痛と腫れが生じる病気です。

尿酸値上昇の要因として、遺伝的な体質、肥満、食事の偏り、飲酒、激しい運動、薬などの影響が考えられます。

次項では、尿酸値の上昇を予防するため、日常生活での注意点についてお伝えします。

※日本痛風・核酸代謝学会の「2002年高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、血清尿酸値が7.0mg/dlを超えるものを高尿酸血症と定義しています。

【ご注意!!】
高尿酸血症では、医師の診断のもとで症状に適した治療を受けることが大切です。検査結果やその他気になる症状については、必ず専門機関へご相談ください。
【3】尿酸値の上昇を予防するために
◎食事内容や摂り方など食生活の見直しを
肥満は、尿酸の生成と排泄のバランスを崩してしまいます。
適切なエネルギー量の主食・主菜・副菜のそろった食事を規則正しく摂りましょう。
食事は、ゆっくりよく噛んで食べ、腹8分目を心がけましょう。

◎アルコールはほどほどに
ビールは、尿酸の元になるプリン体を多く含んでいます。
また、ビールだけでなく、アルコール自体には尿酸の生成を促進させ、尿酸の排泄を抑えてしまう作用があります。
アルコールの適量を守り、週に2日は休肝日をつくりましょう。

お酒との上手な付き合い方についてはこちらもご参考ください。
◎ストレス解消を
尿酸値の上昇には、ストレスも影響するといわれています。
十分な睡眠をとる、音楽を聴く、趣味を楽しむなど 自分に合った方法で、リラックスできる時間を確保しましょう。

ストレスについてはこちらもご参考ください。
◎適度な運動をコツコツと
息をする間もないくらいのハードな筋トレや全力疾走など激しい運動は、かえって尿酸値を高めてしまいますが、ウォーキングなど息が軽く弾む程度の運動は、肥満の予防や改善、ストレス解消につながります。

目的地の一駅手前で降りて歩く、できるだけ階段を使うなど、身近なことからはじめてみましょう。
そして、運動後には十分な水分とミネラルを忘れずに補給しましょう。

【ご注意!!】
通院治療中の方は、必ず主治医に詳しい食事の内容、飲酒・運動の可否についてご確認いただき、主治医の指示に従ってください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
宴会などで乾杯の際に飲むことが多いビール。

100mlあたりで比較すると、アルコールの中ではカロリーが高い方ではありませんが、楽しい雰囲気が手伝って、お酌されるたびに飲んでいると、たちまちカロリーオーバーになってしまいます。

そして、消費しきれなかったカロリーは、体脂肪として体に蓄えられ、肥満の元となってしまいます。

アルコールに肥満、食事の偏りなど尿酸値の上昇条件がそろう今の時季は特に要注意です。

また、何かと多忙で疲れがたまりやすく、免疫機能が低下し、体調を崩しやすい時季でもあります。

体調を万全に整え、健康・元気に新年を迎えましょう。
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