健康コラム

no.10
テーマ:「お酒」
2007年12月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

2007年も残りあと数週間となりました。
忘年会にクリスマス、お正月や新年会と、お酒を飲む機会が増える時期です。

お酒を飲めば酔います。
当たり前のことですが、体の中では一体何が起こっているんでしょう?
体内に入ったアルコールは脳の神経細胞に作用し、活動を抑制し麻痺させます。
理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下し、感情や本能の活動が活発になります。
そして、お酒を飲みすぎると酩酊状態に・・・。
「百薬の長」と言われるお酒も、度を過ぎると、体調を崩したり、思わぬ失敗を招きます。
健康のため、円満な人間関係作りのため、お酒との上手な付き合い方をこの機会に見直してみませんか?
【1】アルコールの代謝
お酒を飲むと、アルコールは吸収されて血管を通って肝臓へ集められ、酵素によって分解処理されます。

アルコール

①←←←ADH(アルコール脱水素酵素)

アセトアルデヒド

②←←←ALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)

アセテート(酢酸)



水、炭酸ガス(二酸化炭素)
 
まず、アルコールは、ADH(アルコール脱水素酵素)によって、アセトアルデヒドに分解されます。<①>
さらにALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)によって、アセテート(酢酸)と水素に分解されます。<②>
最終的に、酢酸は水と炭酸ガスに分解されて排泄されます。<③>
肝臓で処理されなかった残りのアルコールは、汗、尿、呼気となって体外に出ていきます。息が酒臭かったりするのはこのためです。
【2】適量って?
お酒を飲む場合、よく言われるのが「適量」。
無理せず、飲める量を把握しておくようにと言われますが、この適量が難しい。
ついつい・・・なんて、この時期、日常茶飯事という方も多いのでは?

お酒をいくら飲んでも顔色ひとつ変えない人もいれば、ビールを一口飲んだだけで真っ赤になり、酔ってしまう人もいます。
さて、その違いとは?

アセトアルデヒドを分解する酵素、ALDHには1型と2型があり、日本人の約46%の人には、生まれつきALDH2型の活性が低いか欠けています。
このタイプの人は、アセトアルデヒドを分解する能力が低いため、アセトアルデヒドが体内に蓄積され、悪酔いしやすいのです。

「お酒に強い」「お酒に弱い」というのは、このALDH働きの強いか、弱いかによるわけです。
このようにアルコールの代謝量には、非常に個人差がありますが、一般的には体重60㎏男性の場合、1時間に約7gのアルコールを分解処理できると言われています。

これを基準に考えると、20gのアルコールを代謝するには約3時間が必要となります。

飲み始める時間や翌日までにアルコールを完全に処理して肝臓を休めることを考えると、1日平均で20gの純のアルコールの摂取が適量とされています。

厚生労働省が挙げる、1日のアルコール摂取量の目安は日本酒で1合(180ml)、ほぼ20gの純のアルコール量くらいです。

このアルコール量に匹敵するのは、ビールなら中瓶1本(500ml)、焼酎は0.6合(60ml)、ワインは1.5杯(180ml)に相当します。
【3】“ツマミ”をあなどるべからず!!
お酒を飲み過ぎた失敗で、最も多いのは、二日酔いでは?
ついつい・・・の結果です。

適量を超えてお酒を大量に飲むと、肝臓の処理能力が追いつけなくなりアセトアルデヒドが体内に蓄積します。
アセトアルデヒドは毒性の強い物質で、頭痛や吐き気、悪酔い、胃痛、悪寒などを引き起こします。
二日酔いは、翌朝になっても見られるこのような不快な症状をいいます。

適量を守ること、これが二日酔い予防の一番の得策ですが・・・。

二日酔い予防対策としては、お酒を飲むときは、お酒だけを飲まずに、食べ物を一緒に食べることを心がけましょう。

空腹でお酒を飲むと、血中アルコール濃度は急激に上昇します。  
胃腸を強く刺激して、粘膜を荒らす原因となり、肝臓へも負担がかかってしまいます。

おつまみの選び方も肝心です。
ポイントは“高タンパク低カロリー”。

良質のタンパク質をしっかり摂ること、
そして、タンパク質の吸収を高めるビタミンB6、肝機能をより高めるタウリンを積極的に。

特にタンパク質は酵素の活性化を図り、アセトアルデヒド分解促進、肝臓の働きを助けます。

高タンパク質というと、お肉のイメージが強いですが、食べ過ぎると高脂肪、高カロリーになります。
脂肪分の多いものは、アルコール代謝にブレーキをかけてしまいます。

おすすめのおつまみは、
湯豆腐(高タンパク低カロリー)、イカの刺身(タウリン)、酢だこ(タウリン)、生牡蠣(高たんぱく低カロリー、タウリン)、枝豆(高タンパク低カロリー) などです。

豆腐、枝豆、納豆などの大豆製品は良質の植物性タンパク質を含みます。

おつまみの中には一緒に食べると悪酔いするものもあります。
例えば、おにぎりなどの糖質(炭水化物)はアセトアルデヒドの生成を早めてしまいます。

それでも二日酔いになってしまったら、深酒するほどの翌朝には、睡眠不足がつきものです。
睡眠も十分にとり、体調を回復するのが一番です。

また、二日酔いは、肉体的には脱水症状を起こしているため、十分に水分を補給しましょう。
二日酔いのあとにサウナという方もおられますが、実は、脱水症状に拍車をかけてしまい、体にはよくありません。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
イベント尽くしのこのシーズン。

お酒は、適度に飲めば、ストレス解消やリラックス効果をもたらしてくれます。

忘年会にクリスマス、お正月に新年会、イベントごとは嫌いではありませんし、雰囲気が好きです。

私はどちらかというと、ALDH2型の活性が低いタイプのようです。

ついつい、、の結果に至ることはあまりありませんが、楽しい時間と引き換えに必ずやってくる、むくんだ顔と見事な胃もたれ、そして空っぽのお財布。

私の場合、これがツライです。

岩○浴、ゲ○マ○ウム温浴へ行ってデトックス、、、なんて気休めというよりも厳禁、あとの祭りです。

失った健康は簡単には取り戻せません。

しかし、今年は違います。

適量を守り、お酒は適度に楽しみ、おつまみは厳選し、食べ過ぎにも気を付けます。

1週間に2日は休肝日、毎日のお食事の栄養バランスに気をつけ、普段から肝臓を強化しておくことも重要です。

それが健康への近道です。
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