健康コラム

no.79
テーマ:「白内障、緑内障、加齢黄斑変性症」
2013年9月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

暦の上では、すでに立秋を迎えていますが、まだまだ暑い日が続きますね。

強い日差し(紫外線)による体への影響は、皮膚だけではありません。
目も影響を受けています。

私たちの体は加齢によって老化しますが、紫外線は、老化の原因と考えられている活性酸素を発生させ、老化を早めてしまうことが知られています。

今月は、目に関する病気の中でも、加齢が関係するといわれる白内障、緑内障、加齢黄斑変性症についてお話します。
【1】白内障って?
まず、目の構造について簡単にお話します。

目はよくカメラに例えられます。
カメラのレンズにあたるのが「水晶体」で、フィルムは「網膜」に相当します。

私たちが見たものは水晶体を通り、その奥にある網膜に映し出されます。

網膜に映し出された情報が視神経を通って脳へ伝わり、その情報を脳が認識することで私たちは“見る”ことができています。

白内障は、加齢の影響によって、レンズの役割を果たす水晶体の透明度が低下することで起こります。

水晶体がにごってしまうと、視界がかすむ、物が二重三重に見える、まぶしさが増すなどの症状が現れ、やがて視力も低下します。

80歳代のほとんどの方に見られますが、白内障発症には、加齢以外にアトピー性皮膚炎や糖尿病といった病気の合併症、薬の副作用、遺伝などが関係していることがわかっています。
【2】緑内障って??
眼球内には血液の代わりに栄養などを運ぶ“房水(ぼうすい)”と呼ばれる液体が流れています。

房水はその量によって眼球を内側から押して圧力(眼圧)をつくり、眼球を球形に保っています。

ボールの硬さや形が空気圧によって左右されるのと同じようなものです。

通常、眼圧は一定に保たれていますが、房水の排出が滞ると、眼圧は上昇して視神経を圧迫してしまいます。

緑内障は、目に映ったものの情報を脳へ伝達する視神経に障害が起こり、見える範囲(視野)が狭くなる、視力が低下するなどの症状が現れ、進行すれば失明してしまうこともあります。

緑内障には何種類かのタイプがあり、最近、日本人には眼圧が正常範囲内であっても視神経が障害されるタイプの緑内障(正常眼圧緑内障)が多いことがわかってきました。

このタイプの原因には、視神経自体の眼圧への耐久性が低いことや、視神経の血液循環が悪いことなどが挙げられるようです。

また、食生活の乱れ、喫煙、ストレスなども関係していて、これらによって発生する活性酸素が視神経や網膜を傷つけているといわれています。

緑内障は、成人日本人における視覚障害の原因の第1位です。

中高年では約20人に1人が緑内障にかかっていると推定されていますが、そのうち、病気に気づかず、治療を受けていない人が9割もいるそうです。

緑内障の初期は自覚症状があまりないため、異変に気づいたときにはすでに症状が進行していることも少なくないようです。
【3】加齢黄斑変性症?!
網膜の中心部には、ものの形や大きさ、色、明暗などを識別する“黄斑”という部分があります。

黄斑には視覚を司る重要な細胞が集まっています。

加齢黄斑変性症は、加齢や紫外線などによって黄斑に健康な状態では存在しないはずの血管ができる(滲出型)、黄斑そのものが萎縮する(萎縮型)といった黄斑の異常によって起こります。

主な症状として、ものがゆがんで見える、視野の中心が暗くなる、視力が低下するなどが一般的に挙げられます。

白内障や緑内障に比べると、馴染みのない病名かもしれませんが、近年増加傾向にあり、失明原因の第4位とめずらしくない病気です。
また、欧米では失明原因の第1位を占めています。

加齢黄斑変性症は、50歳以降で発症しやすく、年をとれば誰でもなりうる病気の1つです。

しかし、加齢以外にも発症のリスクを高める原因として、喫煙、肥満、紫外線、遺伝、食生活の欧米化などが報告されています。

規則正しい生活習慣が病気の予防には不可欠ですね。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
視力や視覚の異変には意外と気がつきにくいものです。

なぜなら、片方の目の視野が欠けていたとしても、もう片方の目がその見えない部分の視覚をカバーしていたりするからです。

それに、脳では見えていない部分の情報を補って、見えているかのように認識してしまっていることもあるため、実際は見えていなくても、見えているような錯覚に陥っていることもあります。

また、「目がゴロゴロする」「目が充血する」といった目の違和感を感じていても、ただの“眼精疲労”や“肩こりの影響”などとして放置してしまいがちです。

特に目に関する病気は、早期発見・早期治療が大切です。

40歳を過ぎたら年に1度は定期検査を受け、気になる症状がある場合には早めに専門機関を受診しましょう。

目の健康を維持するには生活習慣も大切です。
詳しくはこちらをご参考ください。
東洋医学では、目は体の状態、特に肝臓の健康状態と密接に関係していると考えられているようです。

確かに、肝臓機能が低下すると黄疸が出て、白目も黄色くなることがあります。

「目は口ほどに物を言う」や「目は心の鏡」といったことわざもありますね。

上記健康コラムでご紹介した目に良いとされる栄養素は、肝臓に良いとされる栄養素と共通しているものがあります。

積極的に食事に取り入れ、日頃から健康維持を心がけましょう。
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