健康コラム

no.55
テーマ:「こむらがえり」
2011年9月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

9月に入りました。
暑さのピークは過ぎたようですが、まだまだ30℃前後の日が続いていますね。
これから秋にかけて、体の疲れがどっと出てきます。
栄養と休養を十分にとって体調を崩さないようにしましょう。
さて、この時季、「足がつる」というお悩みをよくお聞きします。
皆さんも、運動をしているときや眠っているときに急に足がつって痛い思いをした経験があるのではないでしょうか。
今月は、その原因と対策についてお話します。
【1】夏によく足がつるのはなぜ?
普段、私たちは筋肉を収縮・弛緩させる(伸び縮みさせる)ことでスムーズに体を動かしています。

「足がつる」とは、筋肉収縮のバランスが乱れ、筋肉に痙攣(けいれん)が起こっている状態のことです。

ふくらはぎに起こることが多いため、一般的には「こむらがえり」とも呼ばれていますが、太ももや足の裏、首など、他の場所でも起こることがあります。

原因には様々なことが考えられ、主に次のような状態のときに起こりやすくなります。

●筋肉が疲れている
●筋力が低下している
●ミネラルやビタミンが不足している
●水分が不足している
●体が冷えている
●血行が悪くなっている

筋肉の収縮・弛緩が正常に行われるためには、マグネシウムやカルシウム、カリウムなどのミネラルが欠かせませんが、夏は、発汗によって体内のミネラルや水分が失われやすくなります。

また、冷たいもののとり過ぎや冷房・薄着の影響で、体の中は自分が思っている以上に冷え、血行も悪くなっています。

さらに、食事は簡単なもので済ませる、お風呂はシャワーだけ、冷房の効いた部屋で足を出したまま寝る、という生活をしていませんか?

このような夏の生活こそ、「足がつる」原因となるのです。
【2】日常生活での予防ポイント
① 筋肉をしっかり休めましょう
筋肉が疲れていると、正常な収縮・弛緩を保つことが難しくなります。
運動をした後や筋肉を酷使した後はもちろん、特に運動習慣のない人でも日常生活の中で疲れがたまると、足がつりやすくなってしまいます。
入浴やマッサージなどをして、ゆっくり休めてあげましょう。


② バランスのとれた食事をとりましょう
暑い日が続くと、どうしても食欲は落ちてしまいがちです。
あまり量を食べられなかったり、あっさりしたものに偏ってしまったり・・・。
そんなときには、量より質を意識してミネラルやビタミンが不足しないようにしましょう。


【筋肉収縮に関わる栄養素】
◎マグネシウム・・・ごま、アーモンド、未精製の穀類などに含まれる
◎カルシウム・・・小魚、緑黄色野菜、乳製品などに含まれる
◎カリウム・・・果物、野菜、大豆、海藻などに含まれる


【疲労回復に関わる栄養素】
◎ビタミンB1・・・豚肉、うなぎ、未精製の穀物などに含まれる
◎タウリン・・・牡蠣、いか、たこなどに含まれる
◎クエン酸・・・レモン、柑橘類、梅干し、酢などに含まれる


③ 水分を上手にとりましょう
水分補給のタイミングは、喉の渇きを感じたときではすでに遅いそうです。
少しずつこまめに補給することが理想的と言えますね。
また、足のつりは就寝中に起こりやすいため、寝る前にも水分を補給しましょう。
ただし、水分のとり過ぎや冷たい飲みものは体を冷やしますし、アルコールやカフェイン類は利尿作用を促すので注意が必要です。
詳しくは健康コラム第27号「水分」もご参照ください。
④ 体を冷やさないようにしましょう
暑いからといってシャワーだけで済ませるのではなく、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって体を芯から温めましょう。
血行が促進され、疲労回復にもつながります。
また、眠っているときにも体を冷やさないようにしましょう。
レッグウォーマーの使用がおすすめです。


⑤ 運動をするときには十分な準備をしましょう
筋力を保つためにも、適度な運動は大切です。
運動の前後には、必ず入念な体操やストレッチをしましょう。
また、汗をかいたときにはミネラルや水分の補給もお忘れなく・・・。
【3】足がつったときの対処法
急に足がつったとき、皆さんはどのように対処していますか?

まずは、慌てずに筋肉を伸ばしてストレッチをしましょう。

ふくらはぎの場合、足を伸ばして座り、つま先をゆっくり自分の体の方に倒してやるとよいでしょう。

ただし、反動をつけて無理に伸ばしたりすると、筋肉を傷つけてしまうこともあるため、注意が必要です。

また、痛みがやわらいできたら、マッサージや足首回しなどで血行を促し、再発を防ぎましょう。

毛布などで包んで温めるのもいいですね。

※今回のコラムでは、一般的な原因と対策についてお届けしましたが、 薬剤の服用やその他の病気が誘発要因となることもありますので、 お悩みの症状が続く場合には早めに専門の医療機関を受診しましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
「こむらがえり」のことを、方言で「こぶらがえり」という地域もありますよね。

「こむら(こぶら)」とは、「ふくらはぎ」のこと。

ふくらはぎの筋肉がひっくり返ったような感じになることから「こむらがえり(こぶらがえり)」と名付けられたそうです。

皆さんの地域では何と呼んでいますか?

ちなみに私は小さい頃、コブラにかまれたように痛いから「コブラがえり」なのだと思っていた記憶があります。

同じように思っている人は多いはずだと信じているのですが・・・。
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