健康コラム

no.64
テーマ:「健康と天気」
2012年6月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

そろそろ梅雨入りですね。

すっきりしない天気が続き、身も心も憂鬱になりがちなこの時季、体調を崩してしまう人も多いのではないでしょうか。

スカッと晴れた日は気分が良くて何事にもやる気が出るのに、どんよりとした曇り空の日や雨が降っている日には、気分が落ち込んだり、体がだるかったり、持病が悪化したり・・・。

一体なぜなのでしょう?

どうやら、私たちの健康と天気には深い関係がありそうです。
【1】なぜ?雨が降ると頭痛がする?!
「雨が降ると頭痛がする・・・」
「雨が降ると古傷が痛む・・・」

と、よく言いますね。

なかには、「関節が痛むからもうすぐ雨が降る」などと、どこよりも正確な(?)天気予報をしてくれる人もいます。

これは一体どのようなメカニズムなのでしょうか。

私たちの体は、普段から気圧や気温、湿度によって大きく影響を受けています。

もともと私たちの体には、天気の変化に対応するための調節機能が備わっているのですが、この機能が十分に働かなかったり、心身にいろんな不調を及ぼしてしまいます。

たとえば、低気圧になると、
・自律神経のバランスが乱れやすくなる
・痛みの原因となる“ヒスタミン”という物質が分泌されやすくなる
・体の組織がむくみやすくなる

ことが知られています。

“ヒスタミン”は、関節の炎症や交感神経の刺激などにも関わる物質です。

交感神経が刺激されると血管や筋肉が収縮します。
すると、血行が悪くなり、神経も過敏になってしまうようです。

このようなことが、痛みを引き起こす原因として考えられます。
【2】天気予報で健康予報
気圧や気温、湿度などの気象条件の変化によって発症したり、症状が悪化したりする病気を、「気象病(別名:お天気病)」と呼びます。

頭痛や関節痛、神経痛、気管支ぜんそく、関節リウマチ、メニエール病などが、これに当てはまります。

そして、うつやイライラ、情緒不安定などの精神症状も天気の変化の影響を受けやすいと考えられています。

特に、大きな前線が通過するときや台風が近づいたときなどには、不調があらわれやすくなるそうです。

持病や気になる症状がある場合には、前もって天気予報をチェックし、体調管理や予防対策に努めることも大切ですね。

また、健康な人の場合でも、普段から体調を整えておき、天気の変化に左右されない日々を送りましょう。

次項ではそのポイントを紹介します。
【3】天気の変化にまけない体をつくろう
◎規則正しい生活を送りましょう
不規則な生活を送っていると、自律神経のバランスが乱れやすくなってしまいます。
起床、就寝、食事の時間をなるべく一定にしましょう。
◎バランスのとれた食事と十分な睡眠をとりましょう
健康の基本は栄養と休養。
食事では、むくみ予防のためにも塩分を控え、カリウムを含む食材を積極的にとるとよいでしょう。
◎冷暖房の使いすぎに注意しましょう
冷暖房に頼りすぎた生活や屋内外の温度差は自律神経のバランスを乱してしまいます。
外気との温度差は、5℃以内が理想です。
節電も兼ねて、今年の夏は少し設定温度を高くしてみませんか。
◎ストレッチや軽い運動を行いましょう
体を動かすことで血行促進やむくみ予防につながります。
ストレッチなら雨の日でも自宅で簡単にできますし、外に出られる場合にはウォーキングなどの全身運動・有酸素運動がおすすめです。

◎体を締めつける衣服は避けましょう
体を締めつけると、緊張状態が続き、血行も悪くなります。
オフィスでは、休憩のときにネクタイをゆるめたりパンプスや靴を脱いで足先のストレッチを行うのもよいでしょう。
 
◎お風呂にゆっくりつかりましょう
ぬるめのお湯での入浴は、気分をゆったりさせてくれます。
自律神経の調整や血行促進のためにも、シャワーですませるよりも湯船につかるようにしましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
ドイツでは、昔から「健康天気予報」なるものがあり、新聞には普通の天気予報と並んで「頭痛」などの項目が掲載されているそうです。
日本でも、気象情報サイトなどで同様のサービスが普及しつつありますね。

以前、北海道で急激な気温変化が起こったときには、体調不良や気分が落ち着かないなどの気象病が起こる可能性があるとして、日本気象協会北海道支社から「車の運転や夫婦げんかに注意を」という異例の気象情報が出たこともあるそうです。

異常気象が続く最近の日本。身の安全を守ることや体調管理に気をつけることはもちろんですが・・・。

皆さん、どうぞ夫婦円満にお過ごしください。
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