健康コラム

no.18
テーマ:「クーラー病」
2008年8月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

毎日暑い日が続いております。

「クーラー病(冷房病)」をご存知ですか?
【1】クーラー病(冷房病)?
冷暖房器具の発達によって、夏場はクーラー、冬場は暖房と、私たちは、1年を通じて快適な生活が可能になりました。

その一方で、寒すぎるくらいの室内と、暑い屋外との気温差があたり前の日常生活。

人間には、様々な環境に対する適応能力が備わっています。
私たちの体は、寒くなると皮膚の血管を収縮させて、体内の熱を逃がさないようにし、暑くなると血管を拡張させ、熱を体外に逃がし、体温を一定に保っています。

この体温調節を担っているのが自律神経で、対応できるのは、温度差5℃以内くらいまでです。

暑い屋外から冷えた室内に入ると、とても涼しくて気持ちがいいものです。

ところが、1日に何度も室内と屋外の激しい気温差にさらされていたり、長時間冷房のきいた部屋にいると、自律神経のバランスがくずれ、体に色々な悪影響を及ぼしてしまうことが知られています。

倦怠感、冷え、頭痛、食欲不振、腹痛、下痢、生理不順、不眠、免疫力の低下などなど、このような変調を総称して「クーラー病(冷房病)」と呼ばれています。
【2】オフィスで働く女性必見?!マルヒ策
クーラー病(冷房病)の基本的な予防策は、冷房の設定温度を25~28℃程度にして、外の気温との差を5℃以内になるようにし、自律神経が正常に働ける環境にしておくことです。

しかし、公共の電車やバスの設定温度の変更はむずかしく、職場によっては、ビル全体で温度管理がなされているケースなど、冷えた室内で長時間を過ごさなければならない方も多いと思います。

特に女性は、男性に比べて体全体の筋肉の量が少なく、皮下脂肪の割合が多いため、体が冷えやすく、クーラー病(冷房病)のリスクが高くなります。

体の冷えは内臓の機能を低下させ、秋から冬にかけて太りやすくする原因ともなります。

そこで、オフィスで働く女性にお勧めしたい、クーラー病(冷房病)対策をご紹介いたします。

その①
冷風を直接体に当てないように、体を冷やさないようにしましょう。
カーディガン、ひざ掛け、厚手の靴下、時に腹巻の使用もお勧めです。
ただし、体を締めつける服や靴は血行を妨げるので避けましょう。
 
その②
体をこまめに動かしましょう。
長い時間同じ姿勢で仕事をしていると、血行が悪くなります。
軽くストレッチをして、体の血行を促しましょう。

ウォーキングなど、汗をかく程度の運動は、体温調節機能を正常に保つのに効果があります。
  
その③
冷たいものばかりでなく、温かい飲み物、栄養バランスのよい食事を摂りましょう。
夏場はついつい冷たい食べ物や飲み物を摂ってしまいがちですが、胃を冷やすと、消化力が衰えて体力が落ち、自律神経も乱れます。
温かくて栄養バランスのよい食事で、体を内側から温めましょう。

コーヒーや紅茶のカフェインは体温を上げてくれますが、摂り過ぎには注意です。 

その④
お風呂はシャワーだけですまさず、湯舟につかりましょう。
ぬるめのお湯でゆっくり半身浴をすると、冷えて収縮した血管が広がり、体が温まります。足湯も効果的です。

体調がすぐれず、「クーラー病(冷房病)かな?」と思ったら、まずは医師の診察を受けましょう。
きちんと診断してもらった上で、症状に適した治療を受けることが何より大切です。
【3】食事・食欲の対策、色イロ
夏祭り、海水浴、花火大会。
イベントには、お酒がつきもの。
ビールを飲みすぎたり、暴飲暴食、ついつい夜ふかしも。
そして、休日には寝だめ・・・。

夏は、ただでさえ体調をくずしやすい季節です。

不規則な生活や食事は、自律神経に大きな負担をかけ、クーラー病(冷房病)になりやすくなります。

しかし、こんなに暑いとさすがに食欲も失せてしまいます。

食欲をそそる色と言えば、赤・黄などの暖色系の色と緑色だと言われます。
さらに、日本人の食欲をそそるためには、白と黒が不可欠だそうです。

確かに、夏場には、清涼感のある、そうめん、そばに、海苔やわかめ、わさび 、ねぎ、生姜など、白色と黒色の食材の組み合わせをよく見かけます。

白は、白鶴、白酒、白蛇、という言葉にも象徴されるように、神の色として昔から捉えられており、日本人にとって特別な色だそうです。
食材には、ご飯、餅、うどん、豆腐、白ねぎ、大根、れんこんなどがあります。

また、欧米人が食品の色として考えない黒も、滋養の高い色として日本の食文化を構成しています。
海苔、わかめ、ひじき、昆布、黒ごま、黒米、黒豆、干椎茸、そばなど、どれも和食に多い食材ばかりです。

この白黒モノクロの組み合わせは、エネルギーやミネラルなどを含んでいます。
食欲が落ちて、夏バテになりがちなのをかろうじて救ってくれる色でもありますが、たんぱく質などが不足しやすいというマイナス点もあります。

暑い夏でも、
赤(肉、魚などのたんぱく質源)、
黄(イモ類など、炭水化物、脂質のエネルギー源)、
緑(野菜、海草などビタミン、ミネラル源)など、
白や黒の食材と合わせて食事は、彩りよく、バランスよく摂ることが一番です。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
夏は楽しいイベントがいっぱい。
青い海と空、灼熱の太陽、白い雲、カラフルなビーチパラソル、華やかな水着・・・。
夏が私を呼んでいます。
クーラー病(冷房病)でダウンしている暇はありません。

暑くて、食事はモノクロコンビになりがちな私ですが、この夏は、いつまでも色褪せしない、色濃い(恋)思い出をいっぱい残そうと思いつつ、今日もクーラーの効いた会社で、電話相談受付中です。
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