健康コラム

no.78
テーマ:「夏野菜」
2013年8月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

外のセミの声が一段とにぎやかになってきました。
いよいよ夏も本番ですね。

今月の8月31日は「や(8)さ(3)い(1)」の語呂合わせから『野菜の日』と呼ばれています。

昭和58年に「もっと野菜について認識してもらいたい」と全国青果物商業協同組合連合会など9団体によって制定されました。

今はみずみずしい夏野菜が美味しい季節ですね。

皆さんは夏野菜、お好きですか?
【1】夏野菜といえば?
夏野菜といえば、キュウリやオクラ、カボチャやトマト、ナス、ピーマンなどが代表的です。
色の濃いカラフルな野菜は食欲をそそりますね!

今では年中スーパーに出回る事も珍しくありませんが、旬の野菜は「安い」「美味しい」「栄養価が高い」など良いこと尽くめなんです。

また、旬の野菜にはその時期の気候に合わせて、私たちの体の調子を整えてくれる働きがあるのです。

特に夏野菜には、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンなどを含む野菜が多く、夏バテの予防などにも効果があるといわれています。

夏を乗り切るためにも積極的に摂りたいですね。

旬についてはこちらの健康コラムもご参考ください。
【2】今日から実践!夏野菜の選び方
野菜は鮮度によっても栄養成分が変動します。
購入する時は鮮度にも気をつけたいですよね。

代表的な夏野菜の持つ栄養素の働きと、新鮮で美味しい野菜の選び方のポイントをご紹介いたします。

●オクラ
オクラのねばねばには整腸作用や、コレステロールの低下作用、血糖の急激な上昇を抑える働きが認められています。
生のままでも美味しく食べられますが、サッと茹でるととろっとした口当たりになります。
ただしオクラに含まれる酵素は熱に弱いため、短時間の加熱に留めましょう。

≪選び方≫
ヘタの切り口が新しく、表面の産毛が硬くて指にあたるものが新鮮な証です。
育ちすぎると味が落ちるので、小ぶりでスッとした形のものを選びましょう。

●カボチャ
ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンの3大抗酸化ビタミンを含み、栄養価の高い食品です。
また、炒ったカボチャの種にはコレステロール上昇抑制作用があり、マンガン、亜鉛なども含まれています。

≪選び方≫
果肉の色が濃くぎっしり詰まっていて、重みのあるものが新鮮です。
皮が硬く、つやつやとし、軸は太いものを選びましょう。

●キュウリ
キュウリなどのウリ科の野菜には利尿作用があります。
さらに、体にこもった熱を放散してくれるといわれています。

≪選び方≫
全体につやとハリがあり、表面のイボが硬くて触ると痛いくらいのものが新鮮です。
太さが均等でまっすぐなものを選びましょう。

●トマト
ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンの3大抗酸化ビタミンを含み、動脈硬化やがん、老化防止にも効果が期待されます。
特にトマト色素のリコペンには、β-カロテンの2倍の抗酸化力があるとされています。

≪選び方≫
果肉がしまって赤く、ヘタの緑色が鮮やかなものほど新鮮です。
ヘタの無い方のてっぺんに白い筋が出ているものほど甘味があり、白い筋の無いものは酸味が強く、料理向きだそうです。

●ナス
キュウリと同じウリ科の野菜で、利尿作用があります。
これまでナスは大半が水分で、栄養成分が少ないとされてきましたが、ナスの皮には動脈硬化防止や抗がん作用があることが分かってきました。

≪選び方≫
皮のつやが良く、ヘタの部分が新しいしっとりしたものを選びましょう。
ヘタと実の間が白いもの、白い部分の幅が5ミリくらいのものが食べ頃です。

●ピーマン
ビタミンCが豊富で、風邪の予防や肌の健康にも欠かせません。
また、ピーマンに含まれるビタミンPは加熱や酸化で壊れやすいビタミンCを守ってくれます。
青菜類の少ない夏場の緑黄色野菜としても重宝します。

≪選び方≫
ヘタの切り口がきれいで、色むらが無くハリのあるものが新鮮です。
重みがあり、ボコボコとしたくぼみの深いものを選びましょう。
【3】夏野菜を使ったおすすめ料理
夏野菜は生のまま食べられるものも多いのですが、キュウリやトマト、ナスなど生で食べると体を冷やすといわれる野菜は、加熱調理をしたり、体を温める香味野菜(ネギ、ニンニク、ショウガなど)や香辛料と一緒に食べると良いでしょう。

そこで、私がおすすめするのは『ラタトゥイユ』です。
  
『ラタトゥイユ』とは、夏野菜を使った煮込み料理で南フランスの定番料理です。

作り方は玉ねぎや人参、ナス、ズッキーニ、ピーマンなどをニンニクとオリーブ油で炒め、トマトや香草(ローリエ、オレガノ、タイムなど)、調味料(塩、胡椒、コンソメ)を加えたら鍋で煮込みます。
ベーコンなどの肉類や唐辛子を入れるとうまみが増します。

毎日こう暑いと、台所に立つのが憂鬱・・・という方も、材料を切り、サッと炒めて煮込むだけなので、手早く簡単に調理でき、冷蔵庫で保存すれば、作り置きも可能です。

さらに、煮込むことでかさが減り、野菜がたくさん食べられるので一石二鳥です。

お肉料理の付け合わせやパスタソースとしても相性抜群ですし、水分を多めにしてスープにしても美味しいです。

また、冷やして食べても美味しいので、暑い今の季節にはぴったりです。是非一度お試しください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
「昔に比べると、今は土壌に含まれるミネラルがずいぶん減っていて、その土壌で育つ農作物のミネラル含有量も少なくなっている。 そのため、野菜をしっかりと摂っているつもりでも、 現代人は栄養を十分に摂れていないのではないか・・・。」

その話が気になり、日本の土壌について調べてみたところ、日本の土壌は火山灰地が多いため、元々ミネラル含有量が低く生産力が低い土壌であることを知りました。

さらに、温暖多湿な気候や地形の影響からミネラルが流出しやすい環境でもあるようです。

生産力を高めるために多くの化学肥料や農薬が使用されてきましたが、その結果、土壌のミネラルのバランスが崩れ、農作物に影響が出ているのではないのかと指摘されています。

また、温室やハウスでの促成栽培(※)によって、土壌のミネラルを十分に吸収しないうちに出荷された農作物も栄養価が低いと考えられています。

“栄養とは、大地からいただいているものなんだな”と改めて実感します。

今回、新鮮で美味しい野菜の選び方を調べる中で、「健康な食材を見分けることができる、それが賢い消費者だと思う。」という文章がありました。

その野菜がどんな風に育ったのかは、野菜をみれば分かる。

私もそんなことを意識しながら野菜を選び、味を確かめながら経験値をつみたいと思います。

※促成栽培とは、ビニルハウスや温室を利用して、 露地栽培より早い時期に収穫・出荷し、商品価値を高めるための栽培方法。
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