健康コラム

no.143
テーマ:「根菜」
2019年1月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

新年のご挨拶を申し上げます。
2019年も、月刊ニックリ健康コラムをよろしくお願いいたします。

今のような寒~い季節には、体を温めてくれる根菜を使った料理が出番を迎えます。

“日本人ほど根菜を食べてきた民族はいない”と言われるほど、私たちの生活の中で、根菜はとても身近な食材です。

例えば「ごぼう」。
香りと歯触りが良いごぼうですが、日常的に食用としているのは日本だけだそうです。

第二次世界大戦中に、捕虜に食事としてごぼうを出したところ、「木の根を食べさせられた」と勘違いされて問題になったというエピソードまであるそうです。

今月はそんな「根菜」をテーマに健康コラムをお送りしたいと思います。
【1】根菜とは
根菜とは、土に埋まっている部分を食べる野菜やいも類の総称で、「根菜類」とも呼ばれます。

「根」菜と書きますが、根を食べるものばかりではなく、土に埋まる茎の部分や、根と茎が合わさった担根体(たんこんたい)を食べるものもあります。

例えば、じゃがいもは根ではなく茎が大きくなったものなんですよ。

「根」というよりは、「地中にできるもの」と言った方がイメージしやすいかもしれませんね。

根菜は保存がきくものも多く、通年で出回っているものもありますが、一番おいしい季節はやはり今のような寒い時期です。

水分が少なく、堅いものが多いうえに、加熱すると甘みが増すことから、あたたかい煮込み料理や鍋、スープの具材としてよく利用されます。

おいしく食べるコツは“じっくり加熱”です。
茹でる時は、沸騰したお湯ではなく、水から茹でましょう。

そうすることで、食物繊維が柔らかくなり、甘みも引き出されるためとても食べやすくなりますよ。
【2】種類別おすすめポイント
では、ここでは根菜の種類別おすすめポイントをご紹介したいと思います。

【にんじん】
にんじんの皮の近くには、β-カロテンが豊富に含まれています。

β-カロテンは体内でビタミンAに変換されて、皮膚や粘膜、免疫機能を正常に保ちます。

さらに、眼精疲労の回復や美肌に役立ちますし、体をさびつかせないための“抗酸化作用”にも優れています。

β-カロテンは、油と調理することで吸収率がアップする栄養素ですので、炒め物などにすると効率よく栄養を摂取することが出来ます。


【大根】
基本的に大根やかぶは淡色野菜ですが、葉の部分は緑黄色野菜に分類されます。

大根やかぶの葉には、カルシウムやビタミンCなど根の部分にはない栄養素が含まれているため、捨てずにお料理に使ってみてください。

また、大根にはアミラーゼというデンプン分解酵素が含まれており、胃もたれ、胸やけ、二日酔いに効果的だと言われています。


【ごぼう】
ごぼうと言えば調理前にアク抜きをするのが一般的ですが、この“アク”には、抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれています。

アク抜きをすることでポリフェノールだけでなく香りやうまみも流れ出てしまうため、アク抜きは短い時間にとどめておきましょう。

また、ごぼうは食物繊維を豊富に含み、便秘解消の他に、善玉菌を増やしたり、血糖値の急上昇の防止、大腸がんの予防などの効果が期待できます。


【さといも】
さといもには、コレステロールを下げる働きを持つ成分が含まれています。
また、さといものぬめり成分には胃や腸の粘膜を保護したり、肝臓や腎臓の機能を高める働きがあります。

そのため、皮を剥いた後は洗いすぎに注意し、ぬめりが残ったまま調理しましょう。


他にも根菜には様々な種類のものがありますが、共通して言えることは、どれも食物繊維が豊富だということです。

もともと食物繊維は、エネルギー源になる栄養素がないことから“価値のないもの”として扱われてきましたが、今ではすっかり健康維持・促進に必要な栄養素として定着していますよね。

また、根菜に含まれる食物繊維は「不溶性食物繊維」で、腸壁を刺激し、腸のぜん動運動を促すため、便秘解消に役立ちます。
【3】もちもち?シャキシャキ?れんこん餅レシピ
“根菜”というと、汁ものや煮物が比較的多いですが、今回は、れんこんを使った焼物レシピをご紹介したいと思います。

れんこんには、ビタミンCが豊富に含まれ、疲労回復や風邪予防、美容などに役立ちますので、今の季節にぴったりの食材です。

【材料】
・れんこん:約300g
・片栗粉:大さじ3
・塩:ひとつまみ
・油:適量

【作り方】
① れんこんをよく洗い、皮ごとすりおろします。
この時、全てすりおろさずに、1/4ほどをみじんぎりにすると仕上がった時にシャキシャキとした食感が楽しめますよ。

② ①の水気を切ったら、片栗粉、塩をひとつまみ入れて混ぜあわせます。
※お好みでほたて缶やかに缶、桜えびを入れても◎

③ ②を丸めて、平たく伸ばしたら油をひいたフライパンで、両面をこんがりと焼き色がつくまで焼いたら完成です。

味付けは、醤油とお砂糖で甘辛く焼いたり、醤油と一味唐辛子をちょこっとつけて食べると大人な味わいになります。

さっぱりした味がお好みの方は、梅と大葉なんていかがでしょう?

また、根菜を存分に味わうなら、生姜と大根おろしのあんかけも良いですね。

さらに、ごま油、オリーブオイル、サラダ油、バターなど焼く時の油によっても全く風味が変わりますので、是非お好みの油でお試しください。

皮の周辺にはポリフェノールが多く含まれているため、今回は丸ごと使用しましたが、皮が気になる場合にはもちろん剥いてもOKです。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
ロース、モモなど、お肉は部位によって味わいが異なり、それぞれに合った調理法がありますが、実は野菜も、部位ごとに味わいが異なるというのをご存知でしたか?

例えば大根では、上の方は、寒さに耐えるために糖度が高く甘くなっているため、ふろふき大根にするととても美味しいです。
また、線維のキメが細かく、シャキっとした食感を活かしてサラダや漬物にも◎

真ん中は、適度にみずみずしく、甘みと辛みがちょうど良いバランスなので、おでんや煮物をはじめ、何にでもオールマイティに使えます。

下の方は、虫から身を守るために辛みが強くなっているため、薬味の大根おろしがおすすめです。

また、にんじん・だいこん・れんこん・ごんぼう(ごぼう)など、根菜の多くに“ん”が付きますが、昔から「“ん”が付く食べ物を食べると運がつく」や「根(こん=気力)がつく」という言い伝えがあります。

とても縁起が良いですよね。

私は今年も、大根と金時にんじんたっぷりの“縁起の良い”お雑煮で新年を迎えました。

ちなみに京都に住む我が家のお雑煮は、白みそです♪

そう言えば、ちょうど先月の健康コラムは「お雑煮」がテーマでしたね。

思わず「へぇ~!」となる、楽しい話題が盛りだくさんですので、まだという方は、是非一度ご覧になってみてください。
では、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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