健康コラム

no.135
テーマ:「続・笑いの効用」
2018年5月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

今日から5月が始まります。
連休中の方、あさってから連休という方も多いかもしれませんね。

5月病という言葉があるように、この時期はメンタル面で不調をきたしやすいといわれています。

そこで、改めて注目したのが『笑い』です。

笑いはメンタル面はもちろん、体の健康にも関わることが知られています。

第15回の健康コラム「笑いの効用」でも笑いをテーマに取り上げましたが、今回はその続編としてさらに詳しい情報をお届けします。
【1】赤ちゃんはなぜ笑う?
人はなぜ笑うのでしょうか。

「嬉しい時」「おかしい時」「楽しい時」「何かを思い出した時」
そのシチュエーションは様々です。

生まれたばかりの赤ちゃんも笑顔を見せることがありますが、自分自身の感情で笑っているのではないそうです。

赤ちゃんは周りのお世話がないと、ひとりで生きていくことが出来ません。
そのため、可愛がってもらい、育ててもらうための戦略として、本能的に笑っているといわれています。

赤ちゃんが意外としたたかだったとは…驚きです。

2、3ヶ月頃になると周囲の表情が分かるようになり、身近な人の表情をまねて笑顔を作るようになります。

さらに成長すると、声を出して笑うようになります。
周りの人が笑顔を返すと、赤ちゃんは「自分が笑うと周りも笑ってくれる」と学習し、コミュニケーション能力が高まり、情緒が育っていきます。

笑いは心と体の発達に関わると同時に、周囲とコミュニケーションを図るためにも必要とされてきたことが分かります。
【2】笑いの健康効果
「病は気から」ということわざがあるように、精神的なものが体調にあらわれた…そんなご経験はありませんか。

「笑うと気持ちが晴れる」「なんだかスッキリする」といった、長年経験的に知られていたことが、近年医学的にも認められ、以下のような事例が、笑いが健康におよぼす影響として報告されています。

◎がん細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞の活性化

◎関節リウマチの症状の改善

◎血糖値の上昇抑制

◎ストレスホルモンの減少

◎セロトニン(幸せホルモン)の分泌の活性化

◎アレルギー反応の抑制

◎脳の血流量が増加することによる脳の活性化


最初に笑いと健康の関係について注目されたのは1976年のこと。
アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏が発表した闘病体験記でした。

カズンズ氏は49歳の時に原因不明の難病にかかり、診断後数週間で半身不随になってしまいます。

専門医からは「治る確率は500分の1しかない」といわれる中、あることを実践しました。それが笑いだったのです。

カズンズ氏は「ポジティブな感情が、体によい影響をもたらすのではないか」と考え、自分の気持ちをポジティブにするために、笑いを治療として取り入れたのです。

連日ユーモア全集を読み、コメディ番組を見て10分笑うと、その後2時間は痛みがなく、ぐっすり眠れるようになりました。

そしてその生活を続けたところ、次第に歩けるようになり、職場復帰も果たしたというのです。

この報告は世界的に注目を集め、日本でも1990年代に研究が盛んに行われるようになりました。

もちろん、全ての病気が笑いによって治るわけではありませんが、人間がもつ自然治癒力、そしてそれを手助けする笑いの力に驚かされる報告です。

「笑う門には福来る」は本当だったのですね。
【3】幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せ
病気の予防や改善に役立ち、お金もかからず副作用もない。

良いことずくめの笑いですが、残念なことに、笑いは年齢を重ねるごとに減っていく傾向にあるのだそうです。

とあるテレビCMで「子どもは1日平均400回笑う 大人になると15回に減る」
そんなフレーズがあったのを思い出しました。

減ってしまう理由としては、おもしろいと感じるものが減ること、人と会う・会話する回数が減ること、ストレスが増えることなどが考えられています。

笑う回数を年齢別にみると、特に高齢者層で回数が少なく、少ない方ほど健康状態が悪いと訴えるケースが多かったり、認知機能が低下するリスクが2倍になるそうです。

誰しも、いつも笑顔や楽しい気持ちを心がけたいものですが、実際には生きていると辛いこと、悲しいこと、腹が立つこと…様々な場面に遭遇します。

日常生活の中で笑いを増やすのはなかなか難しいことかもしれません。

そんな方に実践してほしいのが「作り笑い」です。

実は、自然に笑っている時でも作り笑いでも、笑いによる効果は変わらないのです。

笑顔を作るために表情筋が動くと、その情報が脳に伝わって、脳は「自分は笑っている」と勘違いし、幸せホルモンが分泌されたり、ストレスホルモンが減少するそうです。

また、意識することで表情筋が鍛えられ、小顔効果が期待出来たり、表情が豊かになりますよ。

まだまだ花粉の多い季節、マスクをしている方も、マスクの下ではなるべく口角を上げるように意識してはいかがでしょうか。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
皆さん、『笑いヨガ』ってご存知ですか。

笑いヨガは“笑いの体操”と“ヨガの呼吸法”を合わせた運動法で、その特徴はユーモア、ジョークやギャグなどは使わず、理由なく笑うというところです。

ヨガと聞くと、ポーズを取るのが難しいイメージがありますが、子どもからご年配の方まで、年齢や性別を問わず、誰にでも実践することが出来ます。(難しいポーズはありません)

『笑いヨガ』は、はじめのうちは作り笑いから始まりますが、グループで行うので自然と周りの笑顔が伝染して、いつのまにか本当に笑ってしまうそうです。

今月の6日は“ワールドラフターデー(世界中が笑う日)”(※)を記念して、笑いヨガのイベントが各地で開催されます。

私も地元で開催されるイベントに参加しようと思っています。
今後の健康コラムで体験レポートもお届けしますので、どうぞお楽しみに!

※笑いヨガの創始者であるインドのマダン・カタリア氏が制定
「笑いを通じて、健康、幸せ、平和を実現するための意識を世界規模で高めよう」というもの
【コラムの無断転載は禁止させていただいております】