健康コラム

no.46
テーマ:「免疫」
2010年12月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

いよいよ本格的に寒くなり、風邪やインフルエンザが流行する季節となりました。
年末年始は、クリスマスやお正月といったイベントが盛りだくさん。
また、仕事や家事がいつもより忙しくなる人も多いでしょうし、試験本番を控えた受験生にとっても大事な時期ですね。
体調を崩している場合ではありません。
いざというときのためにも、普段から免疫力を維持しておきましょう。
【1】体の守護神「免疫」とは・・・?
「免疫」とは、私たちの体内に侵入した様々な外敵と戦う、言わば「生体防御システム」のようなものです。

私たちの周りには、空気中のウイルスや細菌、大気汚染など、体に害を及ぼす環境が溢れています。

これらの有害物質(=外敵)が体内に侵入し、悪さを働くと、体調を崩したり病気になったりしますが、そんな中で、多くの人が病気にならず元気で暮らせているのは、この免疫がしっかり働いているおかげです。

免疫が正常に機能している状態では、体調を崩しにくく、たとえ病気になったとしても早い回復が期待できます。

しかし、免疫の働き(=免疫力)が低下している状態では、体調を崩しやすく、その症状も長引きやすくなります。

また、何らかの原因によって免疫のシステムに異常が生じると、免疫は正常に機能しなくなり、外敵に対して過剰な反応を示したり、外敵ではないもの(=自分自身)まで攻撃してしまうこともあります。

この免疫異常が原因と考えられている病気も知られています。(関節リウマチ、バセドウ病など)

つまり免疫は、バランス良く機能することも大切なのです。

免疫力は、加齢と共に低下していくことが知られていますが、食事や睡眠といった普段の生活習慣や、自律神経の乱れ、ストレスなどの心理状態によっても大きく影響されます。

疲れやすい、疲れが回復しにくい、肌が荒れやすい、口内炎になりやすい、便秘や下痢が続いている・・・などの自覚症状がある人は要注意。

バランスの良い食事や規則正しい生活習慣は言うまでもありませんが、ストレスを溜め込まないように穏やかに過ごすことも大切です。
【2】免疫力を低下させない体づくり
◎バランスの良い食事
免疫が正常に働くためには、何と言っても栄養が欠かせません。
外敵の侵入口である鼻や喉の粘膜を保護するためにも、ミネラルやビタミン、そして良質のたんぱく質を積極的にとりましょう。
また、喫煙や過度の飲酒は免疫に影響を及ぼします。


◎十分な睡眠と休養
質の良い睡眠は、免疫の働きに良い影響を与えます。
夜に十分に眠れない場合には、軽く昼寝をするなど工夫しましょう。
また、体を横にして休めてあげるだけでも良いでしょう。


◎適度な運動
運動は、新陳代謝を活発にし、免疫細胞を活性化します。
寒い時期ではありますが、積極的に体を動かしましょう。
大掃除も兼ねて、家事を大きな動作で行うのも良いですね。


◎体を冷やさない
免疫と体温は深い関係にあり、理想体温は36~37度と言われています。
特に今の季節は寒さによって冷えやすいので、お風呂にゆっくり浸かるなどして体を芯から温めましょう。
また、体を温める食材(しょうが、ねぎ類など)もおすすめです。


◎ストレスを溜め込まない
「ストレスを感じると体調を崩す」という言葉をよく耳にしますが、これは、ストレスが自律神経や免疫に悪影響を与えるためです。
音楽を聴く、映画を観る、散歩をする、友人と会うなど、自分の好きなことをして発散しながら、ストレスと上手く付き合いましょう。
【3】笑う門には健康来たる
最近の研究では、「笑い」と「免疫」が大きく関係していることが証明されつつあります。

漫才や落語、新喜劇などの「笑い」を体験した直後に血液検査を行うとがん細胞をやっつけるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が活性化するという実験結果があることは、以前にも紹介しました。

この実験は、20~60歳代の男女を対象に、漫才や落語、新喜劇などの「笑い」を3時間ほど体験してもらい、その直前と直後で血液検査を行ったものです。

このとき、免疫のバランスを示す指標である、免疫を増強する細胞と免疫を抑制する細胞の比率も一緒に測定されていました。

その実験結果によると、直前の数値が低かった人は直後に上昇、直前の数値が高かった人は直後に低下、というように、ほとんどの人の結果が正常値の方向へと近づいたそうです。

「笑い」には、免疫のバランスを整える力も期待できそうですね。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
子どもの頃、学校で友人とケンカをして、「嫌だなぁ、明日学校へ行きたくないなぁ」と夜中ずっと考えていたら、次の日本当に体調を崩した(しかも胃腸炎で入院)という経験があります。

心と体は繋がっているのだということを、しみじみと痛感する思い出です。

まさに「病は気から」・・・。

生活していく上で、ストレスや悩みごとは尽きないものです。

眉間にしわが寄っていませんか?

難しい顔をして考え込んでいませんか?

毎日毎日大笑いすることは難しいかもしれませんが、鏡に向かって笑顔を作ったり、常に口角を上げるように意識するだけでもストレスの解消や免疫の強化につながるそうです。

そして休日には、自分が楽しいと感じる時間を持ち、心の底から笑い、リラックスして過ごしましょう。

風邪やインフルエンザの予防で神経質になりがちなこの時期、毎日の食事や睡眠、運動などに加え、心のケアも大切ですね。

しっかり食べて、しっかり休んで、しっかり動いて、しっかり笑って、元気に明るい新年を迎えましょう!!
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