健康コラム

no.47
テーマ:「口内炎」
2011年1月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

あけましておめでとうございます。
2011年も、月刊ニックリ健康コラムをよろしくお願いいたします。

さて、年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか?
何かとお酒の席も多く、暴飲暴食傾向となり、年末は忘年会に明け暮れ、年始はゴロゴロと寝正月、といった方も多かったのではないでしょうか。
そんな不規則な生活が続き、気がつくと口の中にできている『口内炎』。
放っておいても治るものがほとんどですが、思うようにしゃべれなくなったり、食事のたびにしみて痛いし、飲み込み辛いし…。
気になって嫌なものですよね。中には、年末年始関係なく頻繁にできて「また口内炎…。」と憂うつになる人もいらっしゃるのでは?

今月は、そんな『口内炎』についてのお話です。
【1】口内炎とその種類
口内炎とは、口の中やその周辺の粘膜に起こる炎症の総称です。

ひと口に「口内炎」と言っても種類は様々。

起こり方や症状によって、いくつかの種類に分けられます。


【アフタ性口内炎】
円形または楕円形で、周囲の粘膜が赤くなり、灰白色にくぼんだ口内炎。
約1~2週間ほどで完治するものがほとんどですが、再発する場合があり、何度も繰り返しできる場合は「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれています。


【カタル性口内炎】
自分の歯で粘膜を傷つけたり、歯列矯正装置や義歯の不具合などによって、赤く炎症を起こす口内炎。
「カタル」には“流れる”という意味があり、「アフタ性口内炎」とは違って、口内炎とそうでないところとの粘膜の境界がはっきりしていません。


【ウイルス性口内炎】
ヘルペスウイルスなどが原因となってできる口内炎。


【口腔カンジダ症】
カビ(真菌)の一種であるカンジダ菌の増殖が原因となってできる口内炎。

この他にも、アレルギー性の口内炎、ヘビースモーカーの人に起こりやすいニコチン性の口内炎などがあります。

※ご注意※ 
口内炎を繰り返し再発する場合には、原因が他に潜んでいることもございます。
詳しい診断やその他の口腔内のトラブルにつきましては、お早めに専門機関へご相談くださいますようお願い申し上げます。
【2】口内炎予防のポイント
口内炎の中でも、最も多く見られるのは「アフタ性口内炎」です。

「アフタ性口内炎」の原因は様々言われており、はっきりした原因を特定するのは、むずかしいようですが、下記のような状況が続くと、起こりやすくなると言われています。


■暴飲暴食、栄養バランスの偏り
■疲労やストレス
■睡眠不足
■風邪などの体調不良、免疫力の低下
■ミネラル・ビタミン不足
■女性の場合では月経前など


そこで、口内炎を防ぐためのいくつかのポイントをご紹介します。


◎栄養バランスの良い食事
栄養バランスの良い食事は免疫力を高めます。
口の中などの粘膜の健康を保つためには、ミネラル・ビタミンは必要不可欠です。
口内炎ができてしまったら、痛みから食事を敬遠しがちですが、栄養バランスが崩れるとさらに治りも遅くなり悪循環です。

 
◎ストレス、疲労を溜め込まない
ストレスや疲労の蓄積は、体内のミネラル・ビタミンを奪って免疫力を低下させ、体調不良を引き金となります。
ゆっくり体を休め、十分な睡眠をとるようにしましょう。
自分なりのストレス解消法を見つけて、気分転換することが大切です。
ストレス解消は、口内炎を防ぐだけでなく、他の健康面にもいい影響を与えてくれます。


◎口腔内を健康・清潔に保つ
口の中に汚れがたまると、雑菌が繁殖し、口内炎ができやすくなります。
口の中を清潔に保つため、食後には歯磨きやうがいを心がけましょう。
ただし、強いブラッシングでの歯磨きは、口の中(粘膜)を傷つけてしまいます。
やさしく丁寧な歯磨きを心がけてください。
噛み合わせがわるいと、唇や口の中を噛んで傷つけ、口内炎の原因となってしまいます。
入れ歯が合わなければ早めに調整してもらい、虫歯あれば治療を受けましょう。
【3】お口の健康を保つ栄養素
口内炎を防ぐには、「栄養バランスの良い食事」が欠かせません。

ここでは、具体的に口内炎の予防・改善に役立つ栄養素をご紹介します。


【亜鉛】
細胞の分裂を促進、新陳代謝を助け、皮膚や粘膜の健康を保ちます。
→カキ・うなぎ・たらこ・カボチャの種などに含まれます。


【鉄】
鉄は、貧血予防だけでなく、皮膚や粘膜を健康に保ち、免疫機能を高めるためにも必要とされます。
→鶏レバー・がんもどき・きな粉・ひじき・小松菜などに含まれます。


【ビタミンB2】
粘膜を保護したり、細胞の成長促進、脂質・糖質代謝などに働き、口内炎だけでなく、肌や髪の毛、爪などの健康維持にも大切です。
→豚レバー・うなぎ・カレイ・納豆・牛乳などに含まれます。


【ビタミンB6】
粘膜の材料となるたんぱく質の代謝を活発にしたり、粘膜を新しく作り出すときに、大切な働きをしています。
また、正常な免疫機能を保つ働きをしています。
→マグロ赤身・サンマ・カツオ・鶏ささみ・バナナなどに含まれます。


【ビタミンC】
細菌やウィルスへの抵抗力を高めたり、ストレスをやわらげる働きがあります。
また、鉄の吸収を高めてくれます。
→柑橘類 、イチゴ、キウイなどの果物・野菜・いも類に含まれます。


【ビタミンA】
粘膜や皮膚の新陳代謝を活発にして、粘膜や皮膚を健康に保ちます。
油との相性の良いビタミンなので、炒めたり、油分を含む食品と一緒に摂ると、吸収が良くなります。
→鶏レバー・豚レバー・卵黄・あんこう肝・うなぎの蒲焼などに含まれます。


それでも口内炎ができてしまったら、食事は、刺激の強いもの、熱すぎるもの、酸味の強いものなどは避け、薄味の野菜スープや肉団子など、一口大で柔らかいものを選ぶと良いでしょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
「セリ・ナズナ(ペンペングサ)・ゴギョウ(ハハコグサ)・ ハコベラ(ハコベ)・ホトケノグサ・スズナ(カブ)・スズシロ(スズシロ)」。

昔から1月7日には、この七草をお粥にして、無病息災を祈って七草粥を食べる習慣があります。

七草には胃腸の働きを助ける酵素やビタミン・ミネラルがたっぷり含まれて、お正月明けの弱った胃腸の回復には、ちょうどよい食べものです。

普段から健康には気をつけているものの、お酒の席や外食が続き、寝不足や疲労が重なってくると、私も口内炎が出来てしまうことがあります。

ひとまず、七草粥で胃腸の調子を整えて、今年は、不快な口内炎の痛さに泣かされないように、十分に気をつけていきたいと思います。

今年はピョンピョン飛び跳ねるうさぎの「卯年」。

皆様のさらなる飛躍とご健康を心よりお祈り申し上げます。
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