健康コラム

no.116
テーマ:「缶詰」
2016年10月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

食欲の秋、運動の秋、読書の秋…
秋とはいいながらも、まだまだ暑い日が続いております。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、いきなりですがクイズです!
10月10日は何の日でしょうか?

正解は缶詰の日です!

1877年(明治10年)、北海道石狩町に鮭の缶詰の工場が設置され、日本初の本格的な缶詰の製造が始まったことにちなんで日本缶詰協会が、10月10日を缶詰の日に制定しました。

缶詰は、今ではスーパーだけでなく、コンビニエンスストアや100円均一のお店など、様々なところで販売されているのを、目にすると思います。

しかし、缶詰の歴史や利点など知らないことも多いですよね。

今回は「缶詰」について見ていきましょう。
【1】缶詰の歴史
缶詰って、いつ・どこの国で生まれたのでしょうか?
調べてみると…
かの有名なナポレオンが関わっていることがわかりました。

1789年フランス革命後、外国遠征をしているナポレオンは、栄養豊富で、おいしい食事を兵士に提供することが、軍隊の士気向上につながると考え、広く新たな食品の貯蔵法について公募しました。

1804年、ニコラ・アペールは、ガラス瓶の中に食物を入れ、密栓し、加熱殺菌をして保存する、新たな食品貯蔵法を発明しました。
この発明により、アペールは、12,000フランの賞金を手に入れたといわれております。

その後、イギリスでブリキ缶が発明され、まもなく工場が誕生しました。
さらに、1821年にアメリカに渡って缶詰の製造は本格化し、アメリカの広い国土と豊かな原料資源に恵まれて、缶詰産業は、近代的な食品工業として大きく発展しました。

日本においては、1871年に長崎で、いわしの油漬缶詰を作ったのが始まりです。
その後、1877年、北海道に日本初の缶詰工場が誕生し、製造を開始しました。(この日が10月10日です!)
鮭をはじめ、かに、まぐろ、いわし、みかんなどの缶詰を作っていました。

昭和の初期には、海外へ輸出されていましたが、1955年(昭和30年)以降は、国内向けが多くなり、多岐にわたる缶詰が、私たち消費者に供給されています。

缶詰の生産は、1990年代中頃をピークに減少に転じました。
その背景には、冷蔵・冷凍技術の向上やレトルト食品の普及などが挙げられます。
しかし最近、保存性の高さなどから、非常食として見直されてきています。

もしナポレオンがいなければ、長期保存に便利な缶詰は、この世に誕生していなかったかもしれませんね。
【2】缶詰の利点
食材をそのまま食べるのではなく、なぜ加工というひと手間を加えてまで、缶詰にするのでしょうか。
先程の話で、保存性に優れていることはわかりましたが、実はそれ以外にも、缶詰には利点があります。

ここでは、缶詰の利点について説明していきます。

〇栄養成分が多く含まれている

缶詰は、真空の状態で加熱殺菌するため、ビタミンなどの栄養素は、生のものを家庭で調理した時よりも、失われにくくなっていることが、明らかになっています。
また、魚は骨ごと食べられるので、カルシウムなど栄養素の摂取にも役立ちます。

〇安全で保存性が高い
 
缶詰は、基本的に食品添加物は使用していません。
また、密栓した状態で加熱殺菌しているため、中身は腐ることなく、常温で長期間保存(長いものだと25年程度)することが可能です。
保存性が高いため、非常食として、缶詰を準備する方も多くなっています。

〇献立の幅が広がる

旬の時期に収穫したものを缶詰にするため、季節に関係なく、いつでも使用することが出来ます。
また、最近は、そのまま食べられるものや、少しアレンジするだけでおかずになるもの、普段は手に入りにくい食材の缶詰など、様々な缶詰が出ているため、多様な料理を楽しむことが出来ます。

〇経済的である

缶詰は、原産地で原料が多く出回る時に大量に買い付けて加工し、流通は常温で行うことが出来ます。
また、輸送時のロスも少ないため、比較的安価で販売されています。
さらに、下処理や味付け済みのものが多く、調理によるロスはほとんどなく、手間もあまりかからないため、このような面からも経済的であると考えられます。
 
説明していると、生の食材よりも缶詰の方が良いのでは?と感じる方もいらっしゃると思います。
補足すると、缶詰は、長期保存を前提に作られているため、濃い味付けになっているもの(塩分・糖分)があったり、一度火を通すので、生の食材の食感ではないなどの特徴があります。
もちろん生の食材の方が、優れている点もあります。
これらをふまえた上で、毎日の食事に適度に取り入れてみてはいかがでしょうか。
【3】缶詰っておいしく食べられるだけではないんです!
様々な利点があり、非常食としての利用も広まりつつある缶詰。
ここでは食べるだけでなく、缶詰の別の活用方法についてご紹介します。

◎知ってると便利!缶詰でランプを作ろう!

〈準備物〉
ツナの缶詰、ひもやティッシュ、ライター等火をつけるもの、缶詰に穴をあけるもの(缶切り等)

①ティッシュを半分に切り、細く折りたたんでねじり、ひも状にする (こよりのようなものを作る)
※油を吸う素材であれば、ひもなどでも可能、長さは缶の高さの2.5倍程度にする(不要な部分はちぎる)
②缶を裏返しにし、①の芯がささる程度の穴を開ける
③缶の上に1cmほど残し、芯を差し込む
④芯が油を吸うまで、数分間待つ
⑤火をつける

以上の作り方で作ったランプは、およそ60分程度明かりを保つことが出来ます。缶詰の油を利用しているので、ツナの缶詰だけでなく、油漬けの缶詰を使うと同じように明かりになります。
しかし、ツナでも水煮缶は油がないため、火がつきません。間違えないようにしてください。

また、ランプとして活用した後でも、パサパサになるまでの油は失われないので、おいしく食べることもできます(少し燻製のような香りがつきますが…)。

≪注意≫
大地震直後などは、粉じんやがれきが多く、火災が発生しやすい状況です。
そのため、地震発生後は、このランプを使わず、懐中電灯などをご使用ください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
缶詰について調べていくと、様々な種類の缶詰が販売されており、また、缶詰は多くの利点があると気づかされました。
なかでも、非常食にするには、とても良いものだと感じました。

非常食に求められるポイントには、様々なものがありますが、その中の1つに「好物を備蓄する」が挙げられています。
また、ただ備蓄するだけでなく、それを使って料理をし、おいしく食べる術を身に着けておくこと、定期的に使うことで、新しいものを常にストックしておく環境を整えることも大切だといわれております。

我が家でも、非常食を少しずつ購入しています。
缶詰を充実させたいと考えていますが、多くの種類があり、どのようなものがよいのか迷っています。

これを機に様々な缶詰を食べ比べ、自分に合った缶詰を探していこうと考えています。皆さんも、缶詰の特徴をふまえた上で、日々の食事を豊かにするためや非常食の一助として、活用していただければと思います。
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