健康コラム

no.113
テーマ:「納豆」
2016年7月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

今日から7月ですね。
雨の多い日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて、7月10日は『納豆の日』です。
「なっ(7)とう(10)」の語呂合わせから定められたそうですよ。

雨が多く、高温多湿な気候で育まれてきた日本の発酵食品の文化は、今や世界からも注目を集めています。

今月は、そんな発酵食品のひとつでもある、納豆についての健康コラムをお届けします。
【1】納豆とは?
納豆といえば、皆さんおなじみの発酵食品ですよね。

スーパーで見かける納豆は、白い発砲スチロールや紙製のカップに入ったものがほとんどですが、昔ながらの納豆といえば、稲わらで包まれたものでした。

そもそも納豆は、稲わらについている納豆菌によって、煮た大豆を発酵させて出来たといわれていて、納豆に稲わらは無くてはならない存在なのです。

その後、納豆菌の純粋培養の研究がすすみ、稲わらを使わずに納豆が製造されるようになりました。

納豆は、原料である大豆の栄養素が丸ごと入っている上、発酵によって作られる大豆にはない成分も含まれています。

ここからは納豆菌や納豆菌が作り出す成分についてみていきます。

◎納豆菌
体内で善玉菌として働き、腸内環境を整えます。
また、酸や熱に強く、細菌やウイルスの働きを抑制します。

◎ポリグルタミン酸
納豆の主なネバネバ成分です。
肌に対する美容効果が高く、肌を守るほか、本来持っている肌の潤いを保つ機能を高めるといわれています。

◎ナットウキナーゼ
納豆のネバネバ部分に含まれるたんぱく質分解酵素で、納豆特有の成分です。血栓の元となるたんぱく質を分解する作用があります。

◎ジピコリン酸
大豆が納豆菌によって発酵することで生成される抗生物質で、強い抗菌作用・抗ウイルス作用が知られています。 
 
◎ビタミンK2
ビタミンKには大きく分けて、レバーや海藻、野菜に含まれるビタミンK1と、微生物が産生するビタミンK2があります。
特にビタミンK2はカルシウムの骨沈着を助け、骨粗鬆症の予防にも有効だといわれています。 

◎ポリアミン
納豆などの大豆発酵食品に多く含まれ、老化防止や動脈硬化の抑制が期待されています。

※その他にも、大豆由来の良質なたんぱく質やミネラル、ビタミン、食物繊維などが豊富に含まれています。
【2】関西は納豆を食べない?
健康効果が多数発見されている納豆。
「健康のために納豆を食べる」という方も多い一方で、「納豆だけはどうしてもダメ」という声もある食材です。

特に、「関西は納豆を食べない」と聞きますが、今や全国どこのスーパーにも納豆は並んでおり、コンビニエンスストアでも納豆巻きを見かけます。

本当にそうなのか、気になって調べました。

総務省の家計調査結果(平成26年)によると、1世帯当たりの納豆の支出額がもっとも高いのは東北地方(4,936円)で、次いで関東地方(4,011円)、北陸地方(3,964円)という結果でした。

反対にもっとも低かったのは沖縄地方(2,196円)で、次に四国地方(2,300円)が続き、近畿地方(2,406円)は3番目に少ないという結果になりました。

【平成26年 地方別1世帯当たりの納豆の支出額(平均)】

1位 東北地方 (4,936円)
2位 関東地方 (4,011円)
3位 北陸地方 (3,964円)
4位 北海道地方(3,786円)
5位 九州地方 (3,040円)
6位 東海地方 (2,961円)
7位 中国地方 (2,542円)
8位 近畿地方 (2,406円)
9位 四国地方 (2,300円)
10位 沖縄地方 (2,196円)

やはり関西など西日本の地域では納豆の消費量は少なく、東日本で特に多いことが分かります。
もっとも高い東北地方は、近畿地方の支出額と比較すると2倍以上の差がありました。

九州地方については、東海地方に比べると支出額が多いのですが、九州内の県によっても好き嫌いが大きく分かれているそうです。

地域によって、納豆を食べる頻度にはこんなに違いがあるんですね。

また、食べ方もたれの他にネギや大根おろし、生卵、キムチなど様々な食品と組み合わせて食べられており、特にびっくりしたのは「納豆に砂糖を入れる」という食べ方です。

一部の地域にとどまらず、北海道や山形県、秋田県、宮城県などの東北圏、新潟県、沖縄県など広い地域で食べられています。

砂糖を入れる理由としては、
・元々料理にたっぷりと砂糖を使う習慣がある
・納豆の粘りをよくする作用がある
・糸引きがよくなり、口当たりがなめらかになる
などが挙げられるようです。

それにしても、納豆の支出額の少ない沖縄県でも砂糖を入れる文化があるのは意外ですね。
納豆文化の奥の深さを感じる結果となりました。
【3】おすすめ納豆レシピ
地域によっても「食べる」「食べない」が分かれる納豆。

そんな納豆が苦手な方にこそ、試していただきたいのが、“納豆ミートスパゲティ”です。

作り方は簡単、ミートソースに納豆を混ぜて麺にあえるだけです。

数年前にテレビで紹介されていたのを真似したところ、想像以上に相性抜群でびっくりしました。

家族にすすめたところ、はじめは「えぇ~納豆?」と敬遠されましたが、今では我が家で“ミートスパゲティ”といえば納豆が欠かせません。

納豆の臭みが苦手な方は、あらかじめ納豆にたれと万能ネギを混ぜておくと、さらに食べやすくなるのでおすすめですよ。

納豆は挽きわりタイプのものは麺にからみやすく、小粒タイプの糸引き納豆は噛みごたえがあり、どちらも美味しいです。

納豆はパスタ以外のうどんやそば、冷麺とも相性がいいので、冷たい麺類が美味しくなるこれからの季節、ますます活躍しそうですね。

納豆が苦手な方も、そうでない方も是非お試しください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
皆さんは「菌活」という言葉をご存知でしょうか。

「菌活」とは、体に良い働きをする菌を積極的にとり入れることを指し、菌を取り入れることで、善玉菌を育て、腸内環境を整えようというものです。

腸内環境を整えることは、お通じだけでなく、免疫機能や脳への良い影響もあることが分かってきました。(※)

最近は発酵食品のもつ健康効果が見直され、納豆の活躍の場も拡大しているそうです。

納豆などの発酵食品のパワーを上手く取り入れながら、体の中からキレイと健康を保ちたいですね。

※腸内環境についてはこちらの健康コラムもご参考ください。
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