健康コラム

no.56
テーマ:「胃」
2011年10月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

秋といえばスポーツの秋、芸術の秋など様々な秋がありますが、やはり「食欲の秋」という方が多いのではないでしょうか?!
秋は美味しいものがたくさん実る季節です。
しかし、おいしいものはたくさん食べたいけれど、なんとなく胃の調子が・・・なんてことはありませんか!?
今月は生活習慣と関係の深い“胃”についてお話します。
【1】知っているようで知らない“胃”について
胃は、アルファベットの『J』の形をした袋状の器官です。

みぞおちのあたりに中心がくるような位置にあります。

通常は、約50~100ミリリットルほどの容積ですが、食べ物が胃の中に入ってくると、約1.8リットルにまで広がります。

さて、私たちの胃にはどのような働きがあるのでしょうか。

胃の働きは大きく分けて2つあります。

①食べ物を消化する:食道から送られてきた食べ物を胃液と混ぜ合わせることで、消化しやすい粥状にし、ぜん動運動で十二指腸へ送り出します。

②食べ物を殺菌する:強酸性の胃酸は、食べ物と一緒に入ってきたウィルスや菌を殺菌し、腸への侵入を防ぎます。
【2】胃に不調を感じたこと、ありませんか?
胃はとてもデリケートな器官です。

胃の不調には、胃の粘膜から分泌される『胃液』が大きく関係しています。

胃液は主に「胃酸」「消化酵素(ペプシン)」「胃粘液」の3つの成分からできています。

胃液は、食べた物を消化するために必要です。

胃酸は、食べ物の消化を助けたり、食べ物を殺菌し、ペプシンは、食べ物に含まれるたんぱく質を消化します。

胃粘液は、胃の粘膜を薄いベールで被い、胃酸から胃を守っています。

胃の正常な働きを保つためには、この胃液中の3つの成分のバランスが大切です。

しかし、何らかの原因で胃酸が過剰に分泌されたり、胃粘液の量が減少すると、胃粘膜が傷つけられてしまい、胃に不快感を感じてしまいます。

胃の働きに影響を与える原因には、次のようなことがあげられます。

■暴飲暴食:暴飲暴食によって、胃壁が極端に引き伸ばされると、胃壁の筋力が低下し、消化のための運動機能も低下してしまいます。
 さらに、食べ過ぎた食べ物を消化しようとして、胃酸が過剰に分泌され、胃粘膜を荒らしてしまいます。
 
■アルコール:お酒の飲み過ぎは、胃を強く刺激し、胃酸と胃粘液のバランスを崩してしまうため、胃粘膜の荒れる原因となります。

■ストレス:胃の働きは自律神経によって調整されています。
 ストレスによって、自律神経のバランスが崩れると、胃に不快感を感じやすくなります。

■喫煙:タバコを吸うと血行が悪くなり、胃の血流量が減少します。
 すると、胃粘膜の酸素不足が起こり、胃粘膜の働きや胃そのものの働きの低下につながります。

■加齢:加齢によって、胃粘液の量の減少やぜん動運動の低下がみられます。
 また、自律神経の働きも低下しやすくなります。
【3】胃にやさしい食事
胃を守るためには、どのような食事を心がければいいのでしょうか。
ポイントを3つ紹介します。

●1日3食のバランスのとれた食事をする

胃が空っぽの時間が長時間続くと、胃酸が過剰に分泌され、胃粘膜が荒れてしまいます。
時間がないから朝食を抜くなどといったことは控え、1日3食決まった時間に食べるようにしましょう。
 
また、食べ過ぎ、飲み過ぎは胃に負担をかけてしまうので注意が必要です。
腹八分目を心がけましょう。


●ゆっくり、よく噛んで食べる

ゆっくり、よく噛んで唾液と混ぜてから飲み込むことで、胃で消化されやすくなり、胃の負担も軽くなります。
さらに、よく噛むと、刺激が脳に伝わり、胃液が分泌されやすくなるため、消化力も高まります。


●脂肪(油)の多いもの、刺激の強いものは控える

揚げ物や油の多い食事は、胃に負担がかかります。
また、刺激の強いもの(味が濃いものや香辛料がきいているもの)の摂り過ぎは、胃粘膜を傷つける原因にもなるので食べ過ぎには注意しましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
さつまいも、梨、秋刀魚など、秋が旬の食べ物は、美味しいものが多いですよね。

また、暑い夏では食欲も落ち気味ですが、涼しくなると回復してきます。

わたしも秋が旬の食べ物が大好きで、ついつい手が伸びて、食べ過ぎてしまうことも・・・(笑)

美味しいものをたくさん食べるためにも、胃にやさしい食事を心がけようと思います。

また、ストレスをうまく発散し、溜めないことも胃を健康に保つためには大切ですね。

胃もいたわりながら、「食欲の秋」を満喫しましょう!
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