健康コラム

no.58
テーマ:「セロトニン」
2011年12月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

寒い日が続いていますね。

・冬になると毎年気分がすぐれなくなる
・異常な眠気を感じる
・甘いものや炭水化物を食べたくなる

皆さん、このような経験はありませんか?
【1】原因は太陽不足・・・?
冬になると、心身に変調を感じる人が多くなる傾向があるようです。
冒頭の3つ以外にも、以下のような症状が知られています。

・考えがまとまらない
・疲れやすい
・イライラしやすい
・落ち込みやすい
・朝起きられない
・睡眠時間が長くなる
・食欲をコントロールできない
・体重が増える

これらの原因のひとつとして、冬の日照時間の短さが挙げられます。

では、なぜ日照時間が短くなると体に変調があらわれるのでしょうか。それには「セロトニン」と呼ばれる物質が大きく関係しています。
【2】知っておきたいセロトニンのパワー
セロトニンとは、脳内で働く神経伝達物質のひとつで、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっています。

セロトニンが不足すると脳の機能の低下が見られたり、心のバランスを保つことが難しくなります。

セロトニン不足は、ストレス障害やうつ、睡眠障害などの原因になりうることも知られています。

また、セロトニンは精神面だけではなく、消化や排便、体温調節など、体の様々な働きに関わっています。

セロトニンが活発に作り出されるためには条件がいくつかあり、そのひとつが「太陽の光を浴びること」です。

太陽の光を浴びると、目から脳に信号が出され、脳内でのセロトニン合成が活発になります。

冬は日照時間が短いため、太陽の光を十分に浴びることができず、セロトニンが不足しやすくなるのです。

自覚症状のある人は、セロトニンを増やす生活を心がけましょう。
【3】セロトニンを増やそう
セロトニンは、日常生活の中の工夫でも増やすことができます。
3つのポイントを紹介します。

★太陽の光を浴びよう
前項でもお伝えした通り、セロトニンの合成には太陽の光が不可欠です。
紫外線などの影響も気になるところではありますが、日照量の少ない季節には、適度に太陽の光を浴びることを意識しましょう。

光を浴びる時間は、季節や天候などにもよりますが、1日20~30分程度が目安とされているようです。

特におすすめなのは朝の日光浴。朝の光は覚醒のスイッチになりますし、体内の生活リズムを整える働きも期待できます。

不規則勤務の人や昼夜逆転の生活をしている人もなるべく太陽の光を浴びるように心がけましょう。

★リズム運動をしよう
ウォーキングやスクワットなど、一定のリズムで同じ動作を繰り返す「リズム運動」によってセロトニンが増えることがわかっています。

また、食事のときによく噛むこともリズム運動のひとつです。
噛むことの効用についてはこちらもご参照ください。
★セロトニンの材料をとろう
食事の基本は、バランス良く色々な食物を食べること。
特定の食物や栄養素に偏らないように気をつけましょう。
ここでは、セロトニンの合成に特に必要な栄養素を紹介します。

◎トリプトファン
必須アミノ酸のひとつで、セロトニンの材料になります。
体の中では作り出せないため食物からとることが必要です。
魚、肉、大豆製品、卵、ナッツ、バナナなどに含まれます。

◎ビタミンB6
トリプトファンからセロトニンが合成されるために必要です。
魚(特にサンマやイワシなど)、肉、レバー、バナナなどに含まれます。

◎炭水化物
脳の唯一のエネルギー源であり、トリプトファンが脳内に取り込まれるのを助けます。
穀類やいも類、果物、砂糖などに含まれます。

※セロトニン不足のときには炭水化物を欲する傾向が見られますが、くれぐれも砂糖(甘いもの)のとりすぎには気をつけましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
冬の季節にだけ心身の変調が現れる場合、「冬季うつ」と診断されることもあるようです。

「うつ」は、今や誰でもなりうる「心の風邪」とも言われています。

あわただしい師走。
生活時間が乱れたり、疲れやストレスがたまりやすい時季でもあります。

体も心もしっかり「風邪」を予防して、元気に新年を迎えましょう。
今年も残り1ヶ月、健やかにお過ごしください。

※何か気になる症状がある場合にはお早めに専門の医療機関へ相談されることをおすすめいたします。
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