健康コラム

no.59
テーマ:「貧血」
2012年1月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

新年のご挨拶を申し上げます。2012年も、月刊ニックリ健康コラムをよろしくお願いいたします。

2011年はどんな1年でしたか?
2012年も健康で元気な1年を過ごしたいですね。

私たちの健康に大きく関わっているのが、全身を流れる血液です。
血液は、酸素や栄養素を体全体に運ぶ大切な働きをもっています。

今回は、血液と関係の深い「貧血」のお話です。
貧血は、よく耳にする病気なのでどうしても軽く思われがちですが、甘くみていてはいけません。

貧血を簡単にチェックする方法、ご存知ですか?
鏡の前でアッカンベーをしてみてください。
下まぶたの裏が白くなっていたら・・・。

それは、貧血のサインかもしれません。
【1】貧血とは
「貧血」は、「貧しい」「血」と書くため、血の量が少ない状態のことだと思っている人も多いのではないでしょうか?

「貧血」とは、血液中の赤血球の数が減ったり、ヘモグロビン濃度が低くなった状態のことをいいます。

赤血球は、血液中の大部分を占める成分で、ヘモグロビンを含んでいます。

ヘモグロビンは、鉄を含む色素(ヘム)とタンパク質(グロビン)でできた成分で、私たちの体内で酸素を運ぶ大切な働きをしています。

ヘモグロビンが減少すると、体の酸素を運ぶ力が低下し、筋肉や様々な臓器が酸素不足になってしまいます。

すると、私たちの体はうまく働かなくなり、動悸や息切れ、めまいなどの症状があらわれます。

一言で「貧血」といっても原因によって様々な種類がありますが、今回はその中でも最も多い『鉄欠乏性貧血』についてお話します。
【2】鉄欠乏性貧血の原因
鉄欠乏性貧血は、ヘモグロビンの合成に必要な鉄が不足し、ヘモグロビンが十分に合成されなくなるために起こる貧血です。

では、なぜ私たちの体は鉄不足になってしまうのでしょうか。
その原因は大きく分けて3つ考えられます。

①食事からの鉄摂取が少ない
食生活の変化や偏食、無理なダイエットなどによって、食事からの鉄の摂取量が少ないのが現状です。
鉄は、現代の日本人の食生活で不足が懸念されているミネラルの1つなのです。

②鉄の消費量が増える
成長期や妊娠期は通常時よりも鉄が多く必要になるため、鉄の摂取量より消費量が多くなってしまいます。

③鉄の排出量が増える(=出血)
通常、ヘモグロビン中の鉄のほとんどは体内で再利用されますが、消化管内などでの出血が長期間続くと(胃潰瘍・痔など)、赤血球が減少し、再利用できる鉄が不足してしまいます。
また、女性の場合は月経によっても鉄を失うので注意が必要です。

鉄不足の状態が続くと、私たちの体には次のような症状があらわれてきます。

■動悸・息切れ、頻脈、疲労感
体の細胞は酸素がないと働くことができません。
そのため、体が酸素不足になると疲労感を感じます。
また、体内の酸素が不足すると、体はもっと酸素がほしいと要求するため、全身に血液を送り出す心臓の鼓動は速くなり、動悸などの症状があらわれます。

■めまい、立ちくらみ、頭痛
脳はたくさんの酸素を必要とする場所です。
そのため、酸素不足になると、めまいや立ちくらみ、頭痛などの症状があらわれます。

■顔面蒼白
体内の酸素が不足すると、私たちの体は脳や筋肉など重要な部分へ優先的に酸素を送るようになるため、皮膚の酸素が不足し、顔色が悪くなります。

■爪の異常
細胞代謝には鉄が必要なため、鉄不足になると爪がもろくなり、そり返って中心がくぼんだスプーン状の爪になります。

■舌炎、口角炎、嚥下障害
粘膜細胞の代謝にも鉄が必要なため、口のまわりや舌が荒れやすくなります。また、鉄不足によって食道が萎縮してしまうため、飲み込みにくい(嚥下障害)といった症状もみられます。
【3】鉄欠乏性貧血を予防するために
鉄欠乏性貧血を予防するためには、鉄の摂取はもちろんですが、吸収を助けてくれる栄養素などを一緒に摂取することも大切です。
1日3食のバランスのよい食事を心がけましょう。

★鉄
ヘモグロビンの構成成分です。
鉄には、肉や魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄(吸収率:約25%)と野菜や海藻類などに含まれる非ヘム鉄(吸収率:約5%)があります。

非ヘム鉄の吸収率はヘム鉄に比べると低いですが、たんぱく質やビタミンCなどと一緒に摂ることで吸収率が上がります。(ヘム鉄:レバー、カツオなど/非ヘム鉄:小松菜、ひじきなど)

※コーヒーや緑茶に含まれるタンニンや生のほうれん草(茹でればOK)に含まれるシュウ酸は、鉄と結合し吸収を妨げるため、鉄を含む食品を摂取するときには注意が必要です。

★銅
ヘモグロビンが作られるときに必要な酵素の構成成分です。(レバー、タコ、大豆、ごまなど)

★亜鉛
赤血球の膜の構成成分であり、丈夫な赤血球を保つために必要です。(牡蠣、牛肉、うなぎ、大豆など)

★たんぱく質
鉄の吸収を助けると同時に、鉄とともにヘモグロビンを作ります。(カツオやマグロなど赤身の魚、牛肉など) 

★ビタミンC
鉄の吸収を助けます。(緑黄色野菜、いも類、柑橘類など)
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
この前、献血に行ってきました。

冬は、献血をする人が少ないそうです。
寒さが厳しいこの季節、風邪やインフルエンザなどで体調を崩してしまう方も多いため、足が遠のいてしまうのでしょうか。

私の行ったところでも、特にこの時期は、積極的な献血を呼びかけていました。
ちなみに、貧血だと献血は受け付けてもらえないようです。

昨年の震災の影響もあり、献血やボランティアに対する関心はより一層高まっているようですが、社会貢献をするにしても、まずは健康な体が一番大切ですね。

まだまだ寒い日が続きますが、今年も健康な体づくりに励んでいきましょう。

私たちも皆さんの健康づくりの役に“タツ”情報をお届けできるようがんばります!本年もどうぞよろしくお願いいたします。

※今回の健康コラムでは一般的な原因と対策についてお届けしましたが、気になる症状がある場合には、お早めに専門の医療機関に相談されることをおすすめいたします。
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