健康コラム

no.114
テーマ:「すいか」
2016年8月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

今年も暑いですね…

京都は連日暑い日が続いております。
皆さんはこの暑い日々をいかがお過ごしでしょうか。

私は「毎年今年が一番暑い、もう無理…」と思いながら何とか夏を乗り切っています。

さて、暑い日に食べたくなる果物といえば、何を思い浮かべるでしょうか。
「キンキンに冷えたすいか!!」おいしいですよね。

すいかは水分が多いので、体を冷やす働きがあるのは多くの方がご存知かと思いますが、すいかって実はそれだけではないんです!!

暑い夏を食べ物で乗り切ろうということで、今回の健康コラムでは、すいかについてお話したいと思います。
【1】すいかって野菜?果物?
この議論、一度は聞いたことがあると思います。
甘いから果物?それとも畑で獲れるから野菜?さてどちらが正解でしょうか?

正解は野菜でもあり、果物でもあります!

農林水産省では、2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを「果樹」とし、果物として扱います。

そのため、果物と呼ばれることの多いいちごやメロン、すいか(いずれも一年生草本植物)などは野菜として扱います。

野菜として扱いますが、果物として認識されることが多いため、「果実的野菜」という表記をしています。

しかし、スーパーでは果物コーナーで販売されているように、私たちの手に届くまでに「野菜と果物」どちらにも分類されます。

また、家計調査(総務省)、国民健康・栄養調査(厚生労働省)では果物に分類されており、国においても明確な判断がついていないのが現状です。

このように明確な分類が出来ないのは、生産・流通・消費などの分野において、分類する観点が異なるためです。

すいかは「果実的野菜」で、「野菜、果物のどちらでもある」とするのが一番正しいのではないかと思います。 
【2】すいかの栄養について
冒頭でも述べましたが、すいかは体を冷やす食べ物として知られており、なんと90%以上が水分です。

夏場に起こりやすい脱水には、水分はもちろん、汗と共に失われるミネラル類を補給する必要がありますが、すいかはミネラルなどの栄養素も多く含んでおり、天然のスポーツドリンクとも言われます。

ここではすいかに含まれる栄養素についてみていきましょう。


【主な栄養素】

◎カリウム
細胞内外の水分量の調節に関わっています。
また、筋肉の働きをコントロールしたり、血圧の調整にも関わります。

カリウムは多くの食品に含まれるため、ダイエットなどで偏った食生活をすることなく、通常の食事をしていれば、不足しないと言われていますが、下痢や汗をかいた時などは排出が多くなり、不足しがちになります。
 
◎βカロテン
緑黄色野菜などに多く含まれ、強力な抗酸化力をもつ栄養素です。
体内では必要量に応じてビタミンAに変換されます。
ビタミンAは皮膚や目の健康をサポートします。

◎リコピン(=リコペン)
強力な抗酸化力をもつ栄養素です。
βカロテンと同じカロテノイドの一種ではありますが、こちらは体内でビタミンAには変換されません。

◎シトルリン
アミノ酸の一種で、利尿作用があり、体内の老廃物の排出をサポートします。
シトルリンはすいかから発見された成分であり、すいかの学名Citrullus lanatusから名づけられたものです。
昔は腎臓病に効くとされ、果汁を煮詰めて薬として使われていたそうです。

◎ビタミンC
肌を日焼けから守り、皮膚に大切なコラーゲンの合成にも関わります。

ここでは主な栄養成分についてご紹介しましたが、その他にもマグネシウムや亜鉛など普段の食事で不足しがちな様々な栄養素が含まれています。
これこそ「天然のスポーツドリンク」と言われる由縁ですね!
【3】すいかを最後までおいしく食べよう!
すいかの果肉を食べたらあとは「ぽいっ」と捨てていませんか。
実は、皮や種にも様々な栄養素が含まれていて、どちらもおいしく食べることができるんです。

せっかくなら、すべておいしく食べたいですよね。捨てるところ(ゴミ)も減るので一石二鳥です!

●皮 
シトルリンは果肉よりも皮の部分に多く含まれています。

●種
たんぱく質、脂質、カリウム、鉄、カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシンなど多くの栄養素が含まれています。
なかには種を食べるために、種の大きい品種をつくる国もあるようです。


【皮をおいしく食べよう!】

◎すいかの皮の漬物 
ぬか漬けや浅漬けなど、きゅうりと同じように漬けてみてください。

◎すいかの皮のスープ
細く切ったすいかの皮、その他野菜やベーコンなどを、お好みのスープで煮込んでください。
鶏がらスープがおすすめです。
※外の硬い皮は必ず剥いてください!


【種をおいしく食べよう!】

◎炒った種
フライパンで空炒りし、少し塩を振ります。中の白い部分を食べてみてください。

◎種のお茶
炒った種をつぶす(すり鉢でつぶしてもいいですが、キッチンペーパーなどで種を包みコップの底でたたくだけで簡単につぶれます)。
つぶしたものを茶こしに入れて、熱湯を注げば完成です。香ばしい香りがたまりません。
※黒い種のまま食べないでください!


紹介したものは一例ですので、興味を持たれた方は、「すいか 皮(種) 料理」と検索してみてください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
今回すいかについてお話ししようと思ったのは、私にとって「夏といえばコレ!!」というほど、想い出深いものだからです。

なかでも一番想い出深いのはすいか割り!! 食べる前からわいわい楽しむことが出来て、小さいお子様からご高齢の方までみんなが笑顔になれるからです。
食べる前から多くの方の笑顔を見ることが出来る食べ物も少ないですよね。

また、私の経験上、水分を好んで摂らない方でも、すいかだとおいしく食べるという方を多く見てきており、脱水予防の一助としてすいかがあるということを、多くの方に伝えることが出来ればいいなと思ったからです。

この健康コラムの作成にあたり、すいかについて調べていると、果肉を食べて、おいしく脱水予防が出来るだけでなく、今まで捨てていた皮や種にも、様々な栄養素が含まれていると知り勉強になりました。

皮や種まで栄養たっぷりな「天然のスポーツドリンク」とも言われる「すいか」で、脱水予防・栄養補給をし、暑い夏を乗り切りましょう!!
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