健康コラム

no.108
テーマ:「豆類」
2016年2月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

春の陽気が待ち遠しいこの頃、 あさっては2月3日、節分ですね。

本来、節分とは季節の分かれ目の意味で 「立春、立夏、立秋、立冬」の前日のことです。

日本では立春は1年の始まりとして特に大切にされ、 室町時代あたりから節分といえば、春の節分を指すようになりました。

また、季節の変わり目には邪気(鬼)が入りやすいと考えられており、 邪気(鬼)を追い払い、無病息災を願うために 節分の行事が始まったといわれています。

今回は節分の豆まきにちなみ、 「豆類」をテーマにした健康コラムをお届けします。
【1】豆類とは?
豆の仲間(マメ科の植物)は世界で約1万8000種類もあり、植物の世界でも大きなグループのひとつです。

そのうち、種子を食用にできるものが約70種類あり、「豆類」と呼ばれています。

豆類にはいろいろな種類があり、料理や加工品など、身近に利用されています。

ここでは主な豆類の特徴と加工品をご紹介します。

●大豆
大豆は熟した豆の色で種類が分かれます。黄色の黄大豆が一般的ですが、青大豆、黒大豆、赤大豆、茶大豆といった色の大豆もあります。

「畑の肉」と呼ばれ、良質なたんぱく質やビタミンB群が豊富です。

[大豆の加工品] 豆腐、納豆、味噌、醤油、油揚げなど


●落花生(ピーナッツ)
多彩な用途に活躍する豆で、日本では食用として作られ、世界的には大豆、ひまわりに次ぐ油糧作物となっています。

乾燥重量の約50%が脂質で、不飽和脂肪酸であるオレイン酸・リノール酸が豊富です。

[落花生の加工品] 煎り豆、ピーナッツバター、甘納豆、ジーマーミ豆腐、ピーナッツ油など


●いんげん豆
17世紀に中国の隠元禅師から伝わったことが和名の由来。
豆の仲間のうちで最も品種が多く、金時豆・大福豆・うずら豆などがあります。
世界中で食べられていますが、豆だけで甘く調理する国は日本だけです。

カルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルが豊富です。

[いんげん豆の加工品] 煮豆、甘納豆、豆きんとん、あん、豆菓子など


●小豆
古くから厄除けやお祝いごとに用いられ、粒の大きさが小豆よりも大きいものは大納言と呼ばれます。

カリウムやビタミンB1、B2、食物繊維が豊富で、皮にはポリフェノールの一種であるアントシアニンを含みます。

[小豆の加工品] あんパン、最中、どら焼き、羊羹、汁粉、ぜんざいなど


●ささげ
小豆よりもやや大粒で、皮が硬く、煮くずれしにくいのが特徴です。
小豆は煮ると皮が破けやすく、「切腹」を連想させることから、武家社会の関東では縁起を担いでささげの赤飯が好まれたそうです。

栄養成分は小豆に似ていて、ビタミンB1、B2、食物繊維が豊富です。

[ささげの加工品] 赤飯、煮豆、ささげもち、甘納豆など


●そら豆
完熟した豆を乾燥させたもので、熟す前の豆は野菜として出回っています。形が似ているところから、お多福豆とも呼ばれます。

たんぱく質、ビタミン類、カリウム、鉄、銅などをバランスよく含みます。

[そら豆の加工品] 甘納豆、あん、豆板醤、いかり豆、はじき豆など


●えんどう
日本で一般的なのは青えんどうで、砂糖で煮たものをうぐいす豆と呼びます。
また、グリーンピースは完熟前のえんどう豆のことです。

ビタミンB1や食物繊維、鉄が豊富です。

[えんどうの加工品] 煮豆、甘納豆、みつ豆、豆大福、うぐいすあんなど

ちなみに枝豆、さやいんげん、さやえんどうなどは熟す前の若い豆を収穫したもので野菜として分類されています。
【2】節分にはなぜ大豆?
健康コラムの冒頭でお話した節分ですが、節分にはどうして大豆が使われているのかご存知ですか。

大豆は五穀(米・麦・あわ・きび・豆)のひとつで、強い霊力を宿すと信じられ、米に次いで神事に用いられてきました。

米よりも粒が大きく、悪霊を払うのに最適とされたことや、豆は「魔滅(まめ)」に通じ、無病息災を祈る意味があります。

このように古くから、豆類は日本の行事やお祝いごとに欠かせないものでした。

その代表的なものがお正月のおせちです。
おせちは地域やご家庭によって様々ですが、豆料理はつきものですよね。

黒大豆を煮た黒豆には「まめ(勤勉)に働き、まめ(健康)に暮らせるように」、大福豆を煮た豆きんとんには「財産が増えるように」、そら豆を煮たお多福豆には「多くの福があるように」という願いが込められています。

その他の主な行事やお祝いごとの豆料理には以下のものがあります。


●鏡開き
鏡もちを割って入れたお汁粉などを食べて、1年の家族円満を願う。

●ひな祭り
小豆あんの入った桜色のおもちを食べて、女の子の成長を祝う。

●彼岸
春はぼたもち、秋はおはぎをお供えして、ご先祖様を供養する。

●端午の節句
小豆あんのもちを柏の葉で巻いたものを食べて、男の子の成長を祝う。

●お祝い
もち米に小豆かささげを入れて蒸したお赤飯を食べる。


伝統食には小豆を使ったものが多く見られます。
これは、小豆の赤い色には神秘的な力があると信じられていたためで、「病気にならないように」「邪気を払う」といった魔除けの意味でも小豆が食べられているんですよ。
【3】時短・簡単な豆の下ごしらえ
乾燥豆の調理は「手間がかかって面倒」というイメージがあるかもしれません。

今回ご紹介するのは電子レンジを使った、時短かつ簡単な豆の下ごしらえです。
下ごしらえをマスターすれば、もっと気軽に豆料理が楽しめますよ!

①ボールや鍋などの容器に乾燥豆を入れ、たっぷりの水でさっと洗う。
②乾燥豆150gをひと晩水に浸す。(豆に対して約4倍の水)
③耐熱容器に浸漬した豆と重曹小さじ1/2、水3カップを加え、クッキングシートを豆の表面を覆う位の大きさに切ってかぶせる。
④③を500Wの電子レンジで20分加熱する。
⑤茹で汁を捨てて豆を洗い、ぬるま湯を入れてさらに5~10分加熱する。
⑥指でつぶせる位の硬さになったら、出来上がり。

★ポイント★
・豆を洗う際、浮き上がってきた豆は未熟粒や虫食いなど質の良くない豆のため、取り除きましょう。
・急いで豆をもどしたい時は、水の代わりに熱湯を使うと、浸漬時間を2時間程度に短縮出来ます。
・加熱中は重曹の発泡によって皮がはじける場合があるので注意!


豆類は一度にまとまった量を茹で、小分けに保存しておくと料理にもすぐ使えて便利です。
水煮や蒸し煮にしてある豆も出回っていますが、乾燥豆を使う方がぐっと割安ですよ。

また、自分の好みや料理に合わせて硬さを調節することも出来ます。
冷蔵なら密封容器に入れて、夏は2~3日、冬は3~4日。
冷凍ならファスナー付きビニール袋などに入れて1ヶ月位で使い切りましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
大学生の頃、調理実習の授業で余った食材を各グループで自由に使って試食する機会がありました。

大根の切れ端を使ったスープ、野菜のすき焼き風煮など簡単なものが多かったと思います。

その時、とある子が煮豆を作ってくれたことがありました。

私の中で豆料理は、“おばあちゃんが作ってくれるもの”、“料理好きの人のレパートリー”というイメージが強く、「煮豆がさらっと作れるなんてすごい!」と尊敬したのを覚えています。

おそらく普段から豆料理をよく作っていたのでしょう。
手際よく味付けをしていて、家の煮豆より美味しくて衝撃を受けました。

今回のコラムを調べているうちに、その事をふと思い出し、「私もさらっと煮豆を作れるようになりたい!」と決意が固まりました。
まずは、豆の下ごしらえをマスターしたいと思います。

皆さんも是非、毎日の食事の中に豆類を使った料理を取り入れ、健康の維持・増進、生活習慣病の予防に役立ててくださいね。
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