健康コラム

no.190
テーマ:「神経伝達物質とメンタル」
2022年12月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」…

人の行動や感情は、上記のような脳内の神経伝達物質の働きが深く関係しています。

楽しい気分になったり、どうしようもなく不安になったり…メンタルのコントロールが難しいときって誰にでもありますよね。

今回のテーマ【神経伝達物質】の仕組みが分かれば、感情とうまく付き合うヒントになるかもしれません!
【1】心って?
どんな場面でもメンタルが安定している人のことを、「心が強い」とよくいいますよね。

この「心」の定義は、今と昔では少し違っていたようで…

約6000年前のエジプトでは「心は心臓にある」と考えられており、約4000年前のバビロニアでは「心は肝臓にある」と考えられていました。

現在は「心は脳の活動によって生じる」というのが一般的な考え方です。
 
脳の中には約1千億以上の神経細胞が存在し、目や耳から受け取った情報は、電気信号として伝わっていきます。

神経細胞同士が情報を伝えていき、この情報が記憶と組み合わさることで「心」が生まれます。

情報伝達で重要な役割を果たしているのが【神経伝達物質】で、これらの“種類”と“量”が心の状態を決めているんです!
【2】神経伝達物質の種類
神経伝達物質は約100種類ほどありますが、どのように働くかが明らかになっているものはかなり少ないそうです。

そんな謎の多い神経伝達物質ですが、大きく分けると【興奮性】と【抑制性】の2種類に分類されます。

代表的なものは、以下の通りです。

【興奮性の例】
ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン など

【抑制性の例】
GABA(γ-アミノ酪酸)、グリシン など

興奮性の神経伝達物質が多すぎるとイライラが増し、不足すると気分が低下してうつのような状態になってしまいます。

抑制性も、多すぎたり少なすぎたりすると体や心に異常をきたします。

栄養素と同じで、バランスよく存在することが大切なんですね。

過去にセロトニンについても取り上げていますので、こちらもぜひご覧ください!
【3】抑制性の代表格『GABA』
『GABA』という言葉、何となく聞いたことありませんか?

GABA(γ-アミノ酪酸)は、体内でグルタミン酸から生成されるアミノ酸の名称です。

ノルアドレナリンやドーパミンがアクセルだとしたら、GABAは脳内のバランスを保つブレーキのような役割をしています。

神経の興奮や緊張、不安を鎮める働きがあるので、睡眠障害やうつ病など様々な精神疾患に関連していると考えられています。

精神の安定に関わっているGABAですが、増やすために必要なことは大きく2つ。
【良質な睡眠】と、【たんぱく質・ビタミンB6の摂取】です。

GABAは睡眠中に体内で合成されるので、できるだけ毎日決まった時間に就寝し、十分な睡眠時間を確保することを心がけましょう。

また、たんぱく質やビタミンB6は体内でGABAを合成するために欠かせない栄養素です。

【たんぱく質】
牛・豚の赤身、魚介類、納豆、乳製品 など

【ビタミンB6】
マグロ、カツオ、レバー、バナナ、さつまいも など

上記の食材に多く含まれているので、ぜひ積極的に摂取してみてください!
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
早いもので、今年も残すところあと1か月となりましたね!

年々1年が過ぎるのが早くなっていて、少し怯えています…(笑)

年齢を重ねるほど時間が早く経つように感じることを【ジャネーの法則】と呼ぶそうです。

神経伝達物質の話もそうですが、脳やメンタルに関することは奥が深いなぁと感じていました。

元気に新年を迎えられるように、心と体を労りながら過ごしていきましょう♪
【コラムの無断転載は禁止させていただいております】