健康コラム

no.189
テーマ:「続・免疫」
2022年11月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

長引くコロナ禍で“免疫”というキーワードが注目されるようになって久しいですね。

「免疫力アップ」をうたった健康法や商品、特定の食品・栄養成分に人気が集まるなどこれからもその傾向は続きそうです。

第46回の健康コラムでも同じく“免疫”をテーマに取り上げましたが、今回は「免疫とはどういうものか」について最新の情報もふまえてご紹介します。

まずはこちらからご覧ください。
【1】“免疫力”って?
普段、私たちがよく目にする“免疫力”という言葉。

実は医学的な用語でなく、造語なのはご存知でしょうか。

学問の世界に“免疫学”はあれど、“免疫力”という言葉は使われないそうです。

それはなぜか、一言でいうとしたら「免疫とはシステム(総合力)であり、単一の値で測ることはできないから」です。


私たちの体内では様々な種類の免疫細胞が、それぞれ異なる役割を持ってチームで機能しています。

皆さんも一度は聞いたことがある『好中球』や『マクロファージ』、『T細胞』『B細胞』などもそのひとつです。

例えばある人の学力を測る場合、『数学』の点数だけでは評価できないですよね。
また、『数学』だけを勉強すれば学力全体が上がるということもありません。

免疫も同じで、1つの種類の免疫細胞だけ活性化すれば“免疫力”が上がったことになるかというとそうではないのです。

免疫は私たちが考えるより複雑なシステムになっているのですね。
【2】これって本当?免疫Q&A
Q.全ての免疫細胞を活性化する方法は?

A.現状、そのような方法はないようです。


Q.免疫は働けば働くほど良い?

A.免疫は安定していることが大切。
免疫が働き過ぎることで起こる病気もあり、働けば働くほどよいというものではないようです。


Q.日常生活で免疫機能を維持する方法は?

A.十分な睡眠、バランスのよい食事、適度な運動、ストレスを溜めないといった基本的なことの他に特効薬になるようなものはないのが現状だそう。

また、過度な運動やダイエットはかえって免疫機能が落ちてしまうことが知られています。
何事もほどほどが大事ですね。


Q.ストレスで免疫機能が低下するって本当?

A.1日くらいでは大きく下がりませんが、ストレスが1週間以上続くと下がることがあるようです。
【3】鼻うがいやってみた!
11月になると気温が低下し、空気が乾燥してくると風邪を引く方が増えます。
また、秋の花粉症や衣替えによるハウスダストやダニのアレルギーでくしゃみや鼻水などの症状が出るという方も…。

アレルギーや風邪などで鼻がつまっていると、口呼吸になる方も多いですよね。

鼻は異物や細菌、ウイルスなどの侵入を防ぎ、空気を適度に加温・加湿してから肺に届けてくれるという天然のフィルターの役割を果たしています。

口にはそういったフィルターの役割はないため、細菌やウイルスの侵入、粘膜の炎症などが起こりやすくなってしまします。

そんな鼻づまりにお悩みの方におすすめなのが、鼻うがいです。

私も元々副鼻腔炎や花粉症で鼻のトラブルが多かったので、8月から鼻うがいにチャレンジしてみました!


●どうやってやるの?

(1)お湯(37℃前後)に食塩を溶かし、0.9%の生理食塩水を適量作ります。(300mlなら食塩は2.7g)

(2)生理食塩水を容器に入れます。(ドレッシングボトルやコップでもOK)

(3)前かがみの姿勢で片方ずつ鼻に容器を使って生理食塩水をゆっくり注入します。(慣れないうちは「あー」と声を出しながらやるのがおすすめ)

(4)もう一方の鼻や口から生理食塩水が出てきたら、飲み込まずそのまま出します。

(5)終わったら優しく片方ずつ鼻をかみます。

私自身は鼻うがい専用の容器と分包タイプの洗浄剤を購入し、お湯はミネラルウォーターを電子レンジで温めたものを使用しています。


●痛くない?

お湯を使わずに水でやると鼻に入る瞬間は痛いです。(プールで鼻に水が入った時を思い出します)
ただ、人肌くらいに温めたお湯を使うとほとんど痛みを感じず、スーッと洗い流すことが出来ました。


●よかったことは?

鼻づまりが解消されてすごくスッキリしました!
寝る前にしておくと、気持ちよく眠れるようになった気がします。
また、人混みに行った後も鼻うがいをしておくと何となく安心できます。


●困ったことは?

初めの頃、鼻に残った水が後からボトボト出てくることがあって慌てましたが、その後は終わった後にしばらく下を向いてティッシュで押さえておくと解決しました。


●注意点は?

・1日1~2回程度にしましょう。
・急性中耳炎、浸出性中耳炎、声帯麻痺、誤嚥を起こしやすい人、膿性鼻汁の多い人はしないようにしましょう。
・鼻うがい中に水を飲んだり、終わった後に強くかむと中耳炎になる恐れがあるので気をつけましょう。
・雑菌が繁殖しないように使い終わった後は月に一度は容器を消毒するか、買い替えるようにしましょう。

※鼻うがいが新型コロナウイルス感染症予防に有効というエビデンスは現状確認されておりません
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
皆さんは体調を崩す(免疫機能が下がる)時のパターンのようなものはありますか?

「毎年この時期は必ず寝込んでしまう」「睡眠不足が続くと体調を崩しやすい」「環境の変化に弱い」などなど…。

私は忙しくてもあまり風邪は引かない方ですが、精神的な疲れが溜まっている時は体調を崩すことが多いと感じます。

今までは“家でゆっくり過ごす”が自分にとっては一番休養に効果的だと思っていましたが、最近は“多少おっくうでも外に出かける”ことがむしろストレス発散になっていることが分かりました。

外に行くのはなかなか腰が重いですが、一日中家にいても気が晴れないし、家事もそんなにはかどらないんですよね…。

それからはなるべくウォーキングついでに外で食事をしたり、川や山へ出かけたり、買い物に行ったりと体を動かすことを心掛けています。

「そういえば、友人と毎月山登りに行っていた時はもっと元気だったな…」と思い出し、アウトドア用のウェアや靴もちょっとずつ新調しています。

皆さんも「こうしていると元気になれる」というものを続けてみてくださいね。
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