健康コラム

no.101
テーマ:「うなぎ」
2015年7月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。
梅雨が明けると、いよいよ夏本番です。

みなさん夏休みのご予定はもうお決まりですか?

たくさんのイベントが待っている夏ですが、気を付けたいのが夏バテですね。

暑い夏は食欲も落ち、栄養バランスも乱れがちです。

そこで!
夏バテの強い味方といえば!みなさんご存知『うなぎ』です。
さらに今月は土用の丑の日がありますね。

今回はそんな『うなぎ』についてお話したいと思います。
【1】土用の丑の日とは?
夏の『土用の丑の日』にうなぎを食べるというのはとても有名ですね。

ではそもそも、『土用の丑の日』とはなんでしょう。

まず『土用』とは、立春、立夏、立秋、立冬の前日までの18日~19日間を指し、次の季節の準備をする時期に当たるのだそうです。

そして『丑の日』の丑とは、十二支の『丑』のことです。
昔から、日にちに十二支を割り当てていますが、土用の丑の日とは、土用の18~19日の間で丑に当たる日のことです。

『土用の丑の日』と聞くと、夏のイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実際には、各季節ごとに『土用の丑の日』があるのですね。

ではなぜ、冬が旬のうなぎを夏の土用の丑の日に食べるようになったのでしょう。

この風習が庶民に定着したのは江戸時代だと言われています。

これには様々な説がありますが、一番有名なお話をご紹介します。

江戸時代、夏はうなぎの旬の時期から外れていることもあり、なかなか売れませんでした。

そこで、なんとか売上を伸ばしたい鰻屋に相談を受けた学者・平賀源内が、「本日土用の丑の日」と書いた看板を店の前に掲げました。

聞きなれない言葉が書かれている看板に足を止める人を、鰻屋の主人が呼び込み(平賀源内直伝の宣伝文句を使ったとも言われています)、その鰻屋は大繁盛したそうです。

そして、このことを知った他の鰻屋が真似をするようになり、以来、夏の土用の丑の日にはうなぎを食べるという風習が生まれ、定着していったそうです。

ちなみに、これがヒットした背景に、当時は、土用の丑の日に「う」のつくものを食べると病気にならないという風習があったそうです。
【2】うなぎのパワー
しかし、夏にうなぎを食べる理由は鰻屋さんの宣伝ばかりでなく、ちゃんとした理由があるようです。

「夏バテ予防に効く食材」としても知られるうなぎ。

夏バテは、汗をかくことによる体内の水分・ミネラル不足や、暑い屋外と冷房のきいた屋内の気温差からくる自律神経のバランスの乱れによって起こると言われ、食欲不振や倦怠感、疲労感、不眠など様々な症状が出てきます。

そして、冷たいものを摂取する機会が増えることで胃腸の働きが低下したり、食欲不振によって栄養バランスが乱れてしまい、更なる悪循環を招くことになります。

うなぎには、良質なたんぱく質や脂質に加えて、下記のような体にとって大切なビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

●ビタミン:A・B1・B2・D・E
●ミネラル:鉄・亜鉛・カルシウム
●その他:DHA・EPA・コラーゲン

特にビタミンAは、ビタミン類の中でも豊富に含まれていて、免疫機能を高め、細菌やウイルスに対しての抵抗力をつけます。
また、皮膚細胞を活性化したり、のどや鼻の粘膜を健康に保つ働きもあります。

さらにビタミンB1は、炭水化物(糖質)をエネルギーに変え、疲労物質(乳酸)の蓄積を予防するので、疲労回復に重要な役割を果たしています。
不足することで、疲労や倦怠感を感じやすくなってきます。

また、夏になると脱水や、冷房による体の冷えによって、血行不良に悩む人も多いのではないでしょうか。
血行不良は、体内に疲労物質をため込みやすくするため、さらに夏バテを悪化させる原因となります。

そこで、その滞った血流に働くのが、血液をサラサラにする効果があるとして注目されているDHAとEPAです。

うなぎに含まれるDHAやEPAなどの脂質は不飽和脂肪酸といって動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用を持っているのです。
【3】関西と関東の調理法の違い
関西と関東では、うなぎの調理方法が違うのをご存知でしたか?

まず、関東では、背開きにし白焼きにした後、蒸してから再び焼くため、ふわっとして柔らかい食感が特徴です。

一方関西では、腹開きにした後、蒸さずにそのまま焼くため、パリッとした香ばしさが特徴です。

では、一体なぜ関西と関東で調理法に違いがあるのでしょうか。

まず関東風の背開きですが、武士などの文化が強い関東では“腹を切る”ということは「切腹」を意味してしまい、縁起が悪いとされ、背開きをするようになったそうです。

関西風の腹開きに関しては、商業や商人の文化が強く、「お互い腹を割って話をする」といったところから腹開きをするようになったと言われています。

関西と関東の文化の違いには他にも様々なことがありますが、こんなところにも違いがあったのですね。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
今年の夏の『土用の丑の日』は、7月24日と8月5日です。

十二支はその名の通り12の数に対し、土用は18~19日なので年によっては『土用の丑の日』が2回ある年もあります。

今年はまさしくその年で、丑の日が2回あります。

このように土用の間にもう一度丑の日がまわってくることを『二の丑』と呼ぶそうです。

なんだか少し得をしたような気分になりますが、これだけうなぎの価格が高騰すると、どちらか1回しか食べないという人も多いのではないでしょうか。

そんなうなぎの価格が高騰している中、嬉しい?面白い?ニュースを見かけました。
「うなぎ風味のなまずを研究」どんな味・食感なのかとても気になりますが・・・
これから先、今以上にうなぎの入手が困難になってくると、こういった研究がどんどん進んでいくかもしれませんね。
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