健康コラム

no.103
テーマ:「期限表示」
2015年9月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

真夏の暑さのピークは過ぎたものの、まだまだ暑い日が続いています。

食中毒といえば、じめじめした梅雨時や真夏を思い浮かべますが、秋口も油断は禁物です。
実は9月も食中毒の発生件数が多いのです。

夏の暑さで胃腸が弱って体力が低下している体は、食中毒菌などに感染しやすくなっています。

食中毒の予防のためにも、安全な食品選びは大切です。

今月は、食品選びのポイントととなる食品の“期限表示”について注目します。
【1】食品の“期限表示”って?
お店で売られているほとんどの食品には、食品表示がされています。
そして、その表示の中には日付の印字があります。

日付が年月日で表示されているものや、年月だけのもの「表面下部に記載」と欄外へ印字されているものもありますが、この日付が“期限表示”(※)です。

“期限表示”はその食品を食べられる期限を判断する目安となります。

さらに“期限表示”をよく見てみると、「賞味期限」となっているものと、「消費期限」となっているものの2種類があるのです。
一体何が違うのでしょうか?

※下記の場合には“期限表示”の省略ができます。

・野菜などの生鮮食品(一部を除く)で、畑の横の直売所など、作っている場所で直接販売している場合
・店内で焼いたパンや量り売りの惣菜など、対面で販売したり、製造してその場で直接販売する場合
・容器または包装の面積が30平方cm以下であるもの
・品質の変化が極めて少ない場合 例えば、でんぷん、砂糖、塩、旨味調味料、チューインガム、冷菓、アイスクリーム類、飲料水、清涼飲料水(ガラス瓶入り<紙栓のものを除く>、ポリエチレン製容器入りのものに限る)、氷など

詳しくはこちらをご参考ください。
【2】賞味期限と消費期限
●賞味期限●
容器や包装が未開封の状態で、決められた方法で保存した場合のおいしく食べられる期限を示しています。

牛乳やヨーグルト、バターといった乳製品、清涼飲料水、スナック菓子、即席麺類、レトルト食品、缶詰など比較的傷みにくい食品に表示されています。
賞味期限までの期間が製造から3ヶ月を超えるものについては、「年月」での表示が認められています。
 
●消費期限●
容器や包装が未開封の状態で、決められた保存方法で保存した場合、腐敗、変敗、その他品質の劣化によって、安全性が損なわれることがなく、食べても安全な期限、言い換えれば、表示の日付を過ぎたら食べない方が良いことを示しています。

弁当、惣菜、調理パン、生菓子類、生麺類など劣化の早い、傷みやすい食品に表示されています。

賞味期限・消費期限、どちらも開封する前の、保存方法に記載されている方法で保存した場合の期限です。

開封後の品質も保証されているわけではありません。
開封した食品は、表示された期限にかかわらず、早めに食べるようにしましょう。

次項では、“期限表示”がどうやって決められているのかを見ていきましょう。
【3】“期限表示”はこうやって決められている
まず、誰が“期限表示”を設定しているのでしょうか?

“期限表示”の設定については、厚生労働省と農林水産省の共同の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」によって、期限表示設定の基本的な考え方や、期限表示の算出方法が示されています。

そうすると、公の専門機関が賞味期限や消費期限を決めていると思われるかもしれませんが、実は、製造業者、加工業者または販売業者によって設定されています。

製造業者らは、ガイドラインに基づいて食品の安全性や品質などを的確に評価するため、微生物試験、理化学試験、官能試験などの試験を行っています。

では、どのような試験なのか、簡単に説明します。

◎微生物試験
一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数など細菌の数を調べ、食品の製造日から品質劣化を微生物学的に評価する試験です。
◎理化学試験
粘度、濁度、過酸化物価、比重、pHなどを測定し、食品の製造日から品質劣化を理化学的分析方法により評価する試験です。
◎官能試験
実際に食べる、臭いをかぐ、目で見るなどによって状態を調べ、食品の性質を人間の視覚・味覚・嗅覚などの感覚を通して、それぞれの手法にのっとった一定の条件下で評価する試験です。
このように“期限表示”は、科学的、合理的根拠をもって適正に決められているのです。

また、“期限表示”は食品の特性に応じた「安全係数」を設けることが要請されているようです。
そのため、科学的に安全性を保証できる期限を算出した後、その算出された期限に安全係数(1未満の係数)をかけて設定されています。

つまり、本来の期限の8割程度の期限を設定するようになっているのです。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
安売りで食品をまとめ買いしたものの、賞味期限切れになり、結局使わずに捨ててしまった…
とか、
数日前に買った食品を冷蔵庫の奥へ押しやってしまっていて、気が付けば賞味期限が過ぎていた…
なんて、誰しも1度や2度は経験があるのではないでしょうか。

現在、日本は“飽食”という風に言われますが、地球レベルで考えると、食糧難で飢えに苦しんでいる国や人が存在するのです。
「食べ物は大切に」と子供の頃に言い聞かされて育ちました。
無駄な食品の廃棄は、本当に「もったいないな~」と思います。

今回は、安全な食生活のため、食品の選別ポイントの1つとして、“期限表示”についてお届けしてきました。
賞味期限については、期限を数日過ぎたからといって、著しく劣化するわけではありませんし、食品の無駄な廃棄も極力抑えたいと思いますが、9月はまだまだ暑さが続き、食中毒の危険性があります。

安全な食生活のため、“必要な物を、必要な時に、必要な量だけ”これが人にも地球環境にもやさしいのかもしれませんね。
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