健康コラム

no.157
テーマ:「糖質制限」
2020年3月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

近年話題の“糖質制限”。

太る原因となるのは『糖質だから!』と糖質を食べないようにしている人も多いと思います。

しかし、過度な制限は体に負担をかけるとも言われていますし、糖質をやめることで、甘いものなどが食べられずにイライラが募る方も…。

以前、炭水化物(糖質)で健康コラムをお届けしていますが、6年前のことなので、今回は現在の最新情報も織り交ぜながらお話しします
(太りにくい食べ方の豆知識もあります!!
目からウロコが落ちるように感じる方もいらっしゃるかも!?)。

前回の炭水化物(糖質)についての健康コラムはこちら!
【1】なぜダイエットに“糖質制限”?
糖質を摂取すると…
血糖値が上昇→血糖値を下げるためにインスリンが分泌→血糖値が下降

※血糖値を上げるのは糖質だけです。
糖質を単体で摂ると、より急激に血糖値が上がります。

という流れが体で起こります。

ここでポイントとなるのが“インスリン”。
インスリン(ホルモン)の働きには以下のようなものがあります。

●血糖値を下げる働き
●脂肪の合成を促進し、体脂肪を増やす働き

2つ目の働きがあるので、特に空腹時に糖質を摂りすぎるとインスリンが大量に出て脂肪を増やしてしまいます。

また、インスリンが大量に出ると、その働きで血糖値が急降下します(1つ目の働きで)。
急降下することで、お腹が減りやすくなり、過食にもつながります。

以上のことから、インスリンの分泌を極力少なくする(=血糖値の推移をゆるやかにする)ためには、糖質制限がよいと考えられます。

このような理由を知った上で行われるべき糖質制限ですが、世間では意外と理由を知らずに行っている人も多いです。

知識もなく行うのは危険ですし、自分の体に関わる問題なので、正しい知識に触れる機会を作りましょう。
【2】糖質制限をしても体に負担はないの?
糖質をほとんど摂らない食事として糖質制限食やケトン食があります。

糖質制限食は糖尿病の治療に、ケトン食(※)は、がんやてんかん治療の方の食事として活用されています。

※ケトン食…糖質をほぼ摂らず、脂質を多めにとる食事のこと。
ケトン体が体内で作られ、エネルギー源になる。

治療で行う場合は、医師の指導の下で行われますし、ケトン食にする場合も安全性が認められている1年程度を限度(数年程度との記載もあり、幅がある)に行われています。

中には治療目的でなく糖質を摂らない場合であっても、脂質やたんぱく質でカロリーさえ確保していれば、健康に害はないとおっしゃる人もいます。

このように特定の方には利点があり、一般の方が行っても害はないとも言われていた糖質制限ですが、最近では、糖質を過度に制限することで、制限していない人と比べ死亡率が上がるなどのデータも出てきています。

このようなところから、病気の治療目的ではないのであれば極端なことはしない方がよいと思います。

極端な一例として…
★糖質制限という名前の響きで、『糖質だけをやめるもの』と思い込み、糖質を全く摂らない
→1日の摂取カロリーが足りなくなる(エネルギーが足りない)→体調不良

ただし!
太る原因=“糖質”は、正しいことですので、糖質の食べ過ぎはやめ、食べる時も適量を心がけましょう!
(適量は“日本人の食事摂取基準”を参考にしてください。)

さらに、糖質を食べる時には太りにくい食べ方で食べるようにしましょう。
その食べ方を実践すれば、過度な糖質制限は必要ありません!!
【3】太りにくい食べ方
太りにくい食べ方について見ていきましょう。

●食事はサラダから?

「サラダから食べると太りにくい」、なぜでしょうか?
よく言われる言葉ですが、本当は「“食物繊維”の多いものから食べると太りにくい」です。
(野菜には食物繊維が多いものが比較的多いので、家でも外でも手軽に食べられる“サラダ”となったのでしょう。)

食物繊維には、中性脂肪や糖質を吸着して排泄させる働きがあります。
さらに、水分を吸って膨らむので、満腹感も得ることが出来ます。

そのため、例えば食物繊維の少ないきゅうりやレタスだけのサラダと
きのこたっぷりのソテーがついた定食を食べるとしたら…
食物繊維たっぷりのきのこのソテーから食べましょう!
ポイントは“食物繊維から食べる”です。


●サラダもきのこもない場合は?

では、食物繊維が豊富なおかずがない場合はどうすればいいのでしょうか?
インスリンがたくさん出るのは血糖値が高くなっているからなので、血糖値を緩やかな上昇にすることが大切です。

そのためには、「出来るだけ糖質単体で摂らないようにする+食事の最後の方に糖質を摂る」を意識して…

1:ラーメンや丼など単品メニューを避ける
2:おかずから先によく噛んで食べる 
3:ごはんなど主食は最後に少量のおかずと食べる

どうしても単品ものしか選べない場合は…
例えばうどんやそばであれば、たんぱく質のトッピングをする(えび天やたまご天など)、カップ麺であればお湯とともにとろけるチーズをいっぱい入れる、お好み焼きであればソースを控えめにし、マヨネーズをたくさんかけるなどです。

いずれも糖質単体で摂取するよりも脂質やたんぱく質と一緒なので、吸収が緩やかになり、血糖値が急上昇しにくくなります。


●アイスが食べたくなったら…

選ぶ時は、脂質の多い高脂肪のアイスクリームを選びましょう!

糖質量は変わりませんが、脂質量が多くなることで満足感が違います。
ただし食べる量は半量にしましょう!

さらに、血糖値の上昇を緩やかにするためには、抹茶入りの緑茶を飲みつつ食べたり、ヨーグルトと混ぜたり、ナッツや果物をトッピングしたり…
ひと手間加えて食べましょう!!

※氷菓は脂質が少ないため血糖値が急激に上がるので注意
 アイスには様々な種類がありますので、表示を見て選びましょう
 (“アイスクリーム”を目印に!!)。


●しょっぱいお菓子の代表格 ポテトチップスは?
 
揚げているので、そのままのじゃがいもよりは血糖値を上げにくくなります。
ただ、ついつい量を食べてしまいがち。

たんぱく質や脂質、食物繊維を足すことで、少ない枚数で満腹感を得やすくし、血糖値の急上昇を防ぐようにしましょう。

たんぱく質を足すには…チーズ
さらに食物繊維を足すなら…アボカド 

チーズやアボカドのデイップと一緒に食べましょう!


昔は高カロリーが一番ダメでしたが、今一番ダメなことは、「糖質を単体で食べること」です。

過度に制限しすぎるのはよくないので、太りにくい食べ方も参考にし、健康的な体を保ちましょう!!
運動をして、筋肉をつけることもお忘れなく!!
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
ここまで糖質制限についてお話ししましたが、私は、ごはん(白米)が大好きなので、糖質制限には全く取り組んでいません(笑)。

過度な糖質制限は、体のエネルギー源を奪ってしまうことになり、体によくないのではないかと考えているので取り組んでいないというのもあります。

ただ、太りにくい食べ方のところは、理にかなっていますし、自分の中にすっと入ってくる部分があったので、出来る範囲で実践しています。

昔の考えであれば、「お好み焼きにマヨネーズなんて…」と言われていましたが、今はむしろかけた方がいいんです!!
(焼きそばやお好み焼きにマヨネーズをかけるの、私は好きではないですが、最近はたまーにかけるようにしています。)

しかし、かけたらいくらでも食べてもいい!という考えは間違いですので、くれぐれも適量を食べるようにしてください。
【コラムの無断転載は禁止させていただいております】