健康コラム

no.153
テーマ:「糖化」
2019年11月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

「体のサビ」というのは耳にする機会も増え、多くの方に認知されるようになったと思います。

では、「体のコゲ」はいかがでしょう。

聞いたことはありますか?

体のサビが“酸化”と言われるのに対して、体のコゲは“糖化”と言われています。

“糖化”は体に一体どんな影響を与えるのでしょう?
【1】糖化って?
冒頭でもお話ししましたように、活性酸素によって細胞がサビついてしまうことを酸化と呼びますが、糖化は、たんぱく質と過剰になった糖が結びつくことで起こる反応のことを言います。

体の中でたんぱく質と糖が結びつき、それが体温によって温められると、「AGEs(糖化最終生成物)」という物質が生成されます。

これは別名“老化物質”とも呼ばれ、悪玉物質の一種なのです。

このAGEsは、分解されにくいといった特徴があり、肌や髪、骨の老化を進行させたり、糖尿病や高血圧、動脈硬化などの原因にもなると言われています。

実はこの糖化、体の中でだけ起こる現象ではないのです。

ホットケーキを作る工程を想像してみてください。

小麦粉、卵、牛乳、砂糖を混ぜ合わせて加熱すると、こんがりと焼き色がつき、香ばしい香りが食欲をそそりますよね。

あのこんがりとした焼き目こそが、糖化(コゲ)の正体です。

小麦粉や砂糖の糖と、卵や牛乳のたんぱく質が結びつき、加熱されることで、糖化が起こるのです。

このように、「たんぱく質+糖+熱=糖化」は、体内で起こるだけでなく、もう1つの取り込みルートとして、焼く・揚げるなどによって出来た焦げ目を摂取することでも、体の中に摂り入れてしまうことになります。
【2】糖化で老化
糖化は私たちの体に様々な影響を与えますが、なかでも大きく影響を受けやすいのが皮膚だと言われています。

コラーゲン線維にAGEsが結合すると、皮膚のハリや弾力が失われ、たるみやシワの原因になると考えられています。

さらに、結合したたんぱく質と糖は糖化の過程で褐色になるため、AGEsが増えるとくすみの原因にもなります。

日焼け対策頑張っているのに、なんだか肌が黒くなったなぁ・・・くすんできたなぁ・・・という方がいらっしゃれば、それは日焼けではなく糖化が原因かもしれません。

さらに、骨にもコラーゲン線維が含まれているので、AGEsの増加で骨の老化が早まり、骨粗鬆症のリスクが高まります。

他にも、悪玉コレステロールが糖化されると、動脈硬化の原因となり、血管は全身を巡っていることから、様々な体のトラブルを引き起こしてしまいます。

例えば“目”です。

動脈硬化によって網膜の血管がもろくなると、眼底出血を起こしやすくなり、これが悪化すると、緑内障を併発するケースもあるようです。

このように、糖化は全身にわたって影響を与えるのです。
【3】糖化予防
私たちの体はたんぱく質で出来ています。

そのため、体内で糖が過剰になると自然に糖とたんぱく質が結びつき、糖化が起こります。

それを防ぐためには、①食べる順番 ②食材選び ③調理法
この3つのポイントに気を付け、血糖値の急激な上昇を避けることが大切です。


まずは①食べる順番です。

「ベジタブルファースト」という言葉を聞いたことはありますか?

その名の通り“野菜を最初に食べる”という意味なのですが、まずは野菜やきのこ類、海藻類など食物繊維を多く含む食品を食べます。

その次に、肉や魚、卵、豆製品などからたんぱく質を摂取し、最後にごはんやパン、麺類などの炭水化物を食べましょう。

そうすることで、急激な血糖値の上昇を防ぐことが出来ます。


そして②食材選びです。

食材選びのポイントは、“低GI値”のものを選ぶことです。

GI値とは、食品に含まれる糖質の吸収度合を示したもので、基準を100とし、この数値が低いほど血糖値の上昇が穏やかになります。

では、GI値が低い食品※にはどのようなものがあるでしょうか?
※目安は60以下と言われています

例えば、
精白米よりも、精製されていない玄米や雑穀米。
白糖よりも、メープルシロップ。
うどんやパスタよりも、蕎麦。
じゃがいもよりも、さつまいも。

このように、一見同じジャンルに分けられる食材の中でも、GI値の高いものもあれば、そうでないものもあります。

また、GI値の低い食品に共通しているのが、比較的ゆっくりと吸収されるという点です。

そのため腹持ちも良く、糖化予防だけでなくダイエットの視点から見ても、とても効果的だということが言えます。


そして最後は③調理法の工夫です。

同じ食材でも、調理法でAGEsの量は大きく変わります。

ホットケーキの例でご説明した通り、こんがりとした焼き目は糖化によってAGEsが作られた証拠です。

そのため、なるべく高温で揚げたり、焼いたりするよりも、生で食べる、もしくは蒸す・茹でる・煮るといった調理法を選びましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
“スルフォラファン”って聞いたことありますか?

ブロッコリーなどに含まれるファイトケミカルの一種で、なかでも新芽(スプラウト)の部分に多く含まれています。

摂取することでAGEsの血中濃度が減少したという実験結果も出ているそうです。

このスルフォラファンをより効率よく摂取するためには、「生」のまま「よく噛んで」食べることが大切です。

では、手軽に食べられる簡単なレシピをご紹介します!

【材料】
・ブロッコリースプラウト:20g
・たまねぎ:1/4個
・鶏ささみ:約50g
★ごま:大さじ1
★ごま油:大さじ1
★にんにく:小さじ1
★塩:少々

【作り方】
1)たまねぎをスライスし、水にさらした後、しっかりと水気をきる
2)鶏ささみは茹でて、さいておく
3)ブロッコリースプラウトとたまねぎ、鶏ささみを混ぜ合わせ、★の調味料で和えたら完成

とっても簡単ですし、お酒を飲まれる方はおつまみにもピッタリではないでしょうか。

また、時間が無い時は、ブロッコリースプラウトをシーチキン缶と和えて、マヨネーズで軽く味をつけるだけでもとっても美味しいですよ。

是非一度お試しください。
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