健康コラム

no.152
テーマ:「日本茶」
2019年10月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

10月に入りこれからますます秋も深まり、秋の味覚が楽しみな時期になってきました。

さて、毎年10月1日と10月31日は日本茶の日とされています。

以前にもお茶をテーマにお届けしたことがございましたが、今回はお茶の中でも日本茶に的を絞りながら、フードペアリングと呼ばれる、より良い食べ合わせの方法についてご紹介いたします。
【1】日本茶とフードペアリング
日本茶は、私たち日本人の生活に欠かせない飲み物で、様々なシーンにおいて身近な存在です。
その中でも日本人に最も馴染み深いのは緑茶ですが、その緑茶にも様々な種類があります。

煎茶や玉露、番茶の他、加工茶と呼ばれる玄米茶やほうじ茶なども緑茶の仲間であり、これらをまとめて「日本茶」と言います。

つまり「日本茶=緑茶」であり、日本茶は見た目や香りのバリエーションが、非常に幅広い飲み物であると言えます。

様々な種類がある日本茶ですが、実は元々同じ植物の葉が原料となっています。

さて、皆様はどのような場面において日本茶を召し上がるでしょうか?

主に食事やティータイム時、または水分補給時などではないかと思います。

前述した通り、日本茶には多くの種類があり、それぞれ香りや味、色などに違いがあります。
その為、料理によって相性の良い日本茶を使い分けることもできます。

日本では昔から食べ合わせについて「うなぎと梅干」をはじめ、様々な例があげられていますが、辞書には「一緒に食べると害になるもの」とあり、食べ合わせると悪い組み合わせをいうことが多いようです。

しかし、世界に目を向けてみると「ペアリング」、フランスでは「マリアージュ」と呼ばれている伝統的な考え方があります。

マリアージュというのは「結婚」という意味で、フランスでは結婚になぞらえてこう呼んでおり、食べ合わせると、よりおいしさや栄養成分による効果が増すような飲み物や食べ物を考えることを指します。
【2】ペアリングの法則と日本茶特有のリセット効果
ペアリングを考える上でのキーワードは、「同調」と「ギャップ」の2つです。

同調は、香りや味が同じものや似たもの同士をペアリングする方法です。

例えば、果物のタルトとフルーティーな紅茶や様々なスパイスで味付けしたお肉とスパイシーなワインなどです。

さらに、フランス産の生牡蠣と白ワインのように同じ産地のものも同調のペアリングと言えます。

同じ大地や風、日光のもとで生まれたものは味にも共通する部分があると考えられてきたためです。

では、ギャップとはどのようなものでしょう?

例えば、スイカに塩やメロンに生ハム、ゴルゴンゾーラチーズにはちみつといった具合に違った香りや味を持つものを食べ合わせることで変化を楽しみます。

また、カキフライにレモンもギャップのフードペアリングになります。

これは、レモンの香りがカキフライの生臭さを、酸味が塩気を抑える効果を持っているからです。
さらに、レモンに含まれるビタミンCやクエン酸には、カキに含まれるミネラルの吸収率をアップする働きもあり、一石二鳥のペアリングでもあります。

そして、日本茶には同調とギャップの法則の他に「リセット効果」というものがあります。

日本茶の渋み成分タンニンには抗菌作用があり、口の中の脂分を洗い流してリセットしてくれる効果があります。
【3】ティーペアリング
それでは、同調とギャップのティーペアリングの例をご紹介いたします。

【同調】
カレー×深蒸し煎茶
味の濃いカレーには、それに負けない濃厚な深蒸し煎茶がおすすめです。
甘く濃厚な深蒸し煎茶は、カレーにも負けない飲み応えのある味わいです。
スパイスの効いたカレーほどお茶の甘みが引き立ち、まろやかな口当たりが楽しめます。
冷茶にするとすっきり感が高まり、カレーのスパイスが爽やかに感じられます。

餃子×ほうじ茶
肉汁のうま味とニンニクの風味が効いた餃子には、どっしりと飲み応えのあるほうじ茶がおすすめです。
深みのある香ばしい香りと豊かな甘みが、餃子の肉汁と脂のうま味に厚みと奥行きをもたらします。

マカロン×玉露
濃厚な味わいでくちどけの良いマカロンには、それに負けない濃さを持ち渋みの少なくまろやかな味わいの玉露がおすすめです。
フルーツムースやプリンなどの乳製品を使用したものとも相性が良いです。

【ギャップ】
焼肉×ジャスミンティー(茉莉花茶)
お肉の脂分を洗い流してくれるすっきりとしたジャスミンティーがおすすめです。
ギャップのティーペアリングだけでなく、前述した日本茶のリセット効果も期待できます。
ジャスミンティーというと、日本茶ではないのでは?と思われる方も多いですが、原料は、緑茶つまり日本茶で、ジャスミンの花の香りをつけたものです。
味と香りのバランスに優れたジャスミンティーは、甘みの強いタレにもすっきりと調和します。
また、繊細なマリアージュを楽しむなら、お肉は塩でいただくのもおすすめです。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
個人的にも好きな日本茶ですが、同じく好きなチョコレートともペアリングができるのでおすすめをご紹介いたします。
実はチョコレートと日本茶の組み合わせは前々から注目されており、世界的に有名なショコラティエのピエール・マルコリーニさんもチョコレートに一番合う飲み物は、水か緑茶と推奨される程なんです。

ビターチョコレート×ほうじ茶
ほうじ茶の豊かな香りと味わいがビターチョコレートにマッチし、おすすめです。

ミルクチョコレート×煎茶
甘いミルクチョコレートには、まったりとしながらもやや渋みのある煎茶と相性が良いです。

ホワイトチョコレート×抹茶
優しい甘さのホワイトチョコレートには、抹茶のほろ苦さが良く合います。

生チョコレート×抹茶
チョコレートに生クリームや洋酒を混ぜた濃厚な甘さの生チョコレートには、コクのある抹茶がおすすめです。

これから寒くなり、チョコレートをよりおいしく感じる季節ですが、
今年は日本茶とのティーペアリングにチャレンジして味わいたいと思います。
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