健康コラム

no.104
テーマ:「更年期」
2015年10月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

日も短くなり、どんどん秋らしくなってきましたね。

食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋…みなさんはどんな秋をお過ごしでしょうか。

10月18日は、『世界メノポーズデー』です。

みなさんは、この名前を聞いたことがありましたか?

これは、更年期の健康に関わる情報を全世界へ提供する日として平成11年に開催された第9回国際閉経学会にて採択されました。

10月18日の『世界メノポーズデー』にちなんで、今回は“更年期”についての健康コラムをお届けします。
【1】更年期とは
閉経前後の10年間を“更年期”と呼びます。
(※閉経とは卵巣の活動が次第に低下し、月経が停止することを言います。一般的には12ヶ月以上月経が来ないと閉経とされています。)

この期間に現れる様々な症状の中で、他の病気に伴わないものを“更年期症状”と呼び、その中でも症状が重く日常生活に支障をきたすものを“更年期障害”と呼びます。

更年期障害は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌の減少が主な原因だと言われています。

若いころは、エストロゲンの分泌量が低下しても、それを察知した脳が、卵巣に分泌を促すように指令を出せば、エストロゲンは分泌され、エストロゲンの量が保たれています。

しかし、更年期になると、卵巣の機能が低下してくるため、いくら脳が、卵巣にエストロゲンを分泌するように指令を出しても、エストロゲンの分泌量が増えなくなるのです。

そのような状態が繰り返されるうちに、ホルモンバランスや自律神経のバランスが乱れ、体調不良が引き起こされてしまいます。

症状には個人差があり、ほとんど症状が出ない人もいれば、日常生活を送るのが困難になる人もいますが、主な症状として下記のようなものがあります。

【身体症状】ほてり、のぼせ、めまい、動悸、頭痛、息切れ、肩こり、手足の冷え 等
【精神症状】イライラ、不安感、意欲低下、不眠 等
【2】更年期障害は女性だけのもの?
更年期障害と聞くと、女性だけのものと思われがちですが、男性にも更年期障害はあります。

男性更年期障害は、男性ホルモンであるテストステロンの減少が主な原因だと言われています。

最もテストステロン値が高い時期は20代で、そこからは年齢とともに徐々に下がっていきますが、下がり方には個人差があります。

男性には、女性でいう閉経のようにはっきりとしたホルモンの変化に区切りがなく、体調の変化や症状に気付きにくいといった点があります。

そういったことから、“年齢のせい”と片付けられてしまうことも多いようです。

主な症状としては、女性と同様の【身体症状】【精神症状】に加え、ED、性欲の減退、頻尿などの【性機能障害】も現れます。
【3】対策
男性も女性も更年期障害の原因は、ホルモンの減少とお話ししましたが、【環境】【運動】【食事】なども深く関わっています。

【環境】
ストレスを感じやすい環境にいると、心身が不安定になり、症状も悪化しやすくなると言われています。

特に更年期(40~50代)は、子どもの受験・就職・独立や、職場での立場や人間関係、親の介護など生活環境が変わる時期でもあり、心身ともに疲れやストレスを感じやすいと言えます。
また、睡眠不足もホルモンの分泌に大きく影響を与えると言われています。

【運動】
適度な運動は、筋肉・骨を丈夫にする、免疫機能を高める、ストレスを解消する、ホルモンが活性化されるなど様々な効果があります。
また、ウォーキングなどの有酸素運動は、自律神経のバランスを整えますので、更年期障害の対策としても効果的であると言われています。

しかし、無理をしないことを前提として行う必要があります。
過度な運動は逆にストレスを高めたり、ケガの原因にもなります。
特に更年期では骨粗鬆症などで骨が弱まっている場合がありますので、負担のかかりすぎない、楽しく・長続きする運動を心がけましょう。
 
【食事】
不規則な食生活をしていると自律神経のバランスの乱れへと繋がります。
自律神経のバランスの乱れはホルモンバランスの乱れに繋がります。

まずは、毎日3食規則正しく食事を摂ることを基本とし、ホルモンバランスを整える作用がある「ビタミンE」や「亜鉛」、女性ホルモンと似た作用のある「イソフラボン」、自律神経の働きを調整する「ビタミンB1・B12」、ストレスから体を守るために必要とされる「ビタミンC」、骨粗しょう症や骨軟化症を予防する「カルシウム」などを意識し、バランスの取れた食事を心がけましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
さんま・まつたけ・くり・なし・さつまいも…秋は美味しい食材がたくさんありますね。

過ごしやすい気候になり、夏の暑さで食欲がなかった…なんていう人も、美味しい秋の味覚に少しずつ食欲が戻ってきたのではないでしょうか。

先ほどもお話ししましたように、“更年期障害”では、栄養バランスが大切です。

食べ過ぎに気をつけながら、美味しい秋の味覚で、栄養をたっぷり摂りましょう。

また、更年期の症状には個人差がありますが、誰にでもやってくるものです。
気負いせず、ひとりで悩みすぎないようにしましょう。

そして、更年期を迎えるにあたって、趣味に没頭する時間や、普段からリラックスできる時間・空間を見つけておくのも良いですね。
日常生活の中にうまくそういった時間を取り入れ、心と体のバランスを取りましょう。

なお、「やる気が起きない」「イライラばかりしている」「気分が沈むことがよくある」など…
更年期にあたる年齢になってこうした症状が出てきたら、無理をせず早めに病院へ行きましょう。

大切なのは我慢をしすぎないことです。
適切な診断・治療を受けて、更年期を快適に過ごしましょう。
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