健康コラム

no.147
テーマ:「骨」
2019年5月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

誰しも『“健康”で長生き』がいいですよね!
健康で長く生きるためには、様々なことが大切ですが、“骨”が一番といっても過言ではありません!!

最近、『骨は私たちの若さを保ってくれる』とまでいわれています。

数年前に骨については取り上げたことがありますが、再び骨について見ていきましょう。

前回の「骨」の健康コラムはこちら!
【1】なんで骨のつくり替えは行われるの?
骨は大人になってもつくり替えが行われています。
こどもであれば、目に見えて成長していくので、わかりやすいですが、大人でもだいたい3~5年で、全身の骨が新しいものに入れ替わっています。

なぜつくり替えが必要なのかというと…

骨は古くなると弾力性を失いもろくなってしまいます。
骨が生まれ変わることにより、しなやかさと強さ、つまり若さを取り戻すことになります。

皮膚の上から触ると硬く感じるので弾力性?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、骨は弾力のある構造をしています。
(骨の構造について気になられる方は、調べてみてください。)

次に骨のつくり替えの仕組みを説明します。
骨は若さを取り戻すために、古い骨は壊され(骨吸収といいます)、新しい骨が作られます(骨形成といいます)。

◎骨吸収
骨を壊すのは、破骨細胞(はこつさいぼう)。
古くなった骨のカルシウムやコラーゲンを、酸や酵素で溶かします。
溶かされたカルシウムは、血管を通って全身に運ばれます。

◎骨形成
骨をつくるのは、骨芽細胞(こつがさいぼう)。
骨芽細胞は、破骨細胞が骨を壊したことによって出来た骨の穴に集まり、骨の材料となるコラーゲンなどを分泌し、それにリン酸カルシウムが沈着して修復されます。

これはどのような方でも行われており、この骨の代謝を骨代謝(こつたいしゃ)と呼びます。

役目を終えた骨芽細胞の一部は、骨の中に入って「骨細胞(こつさいぼう)」になり、骨の表面で休止状態になります。

また、骨細胞は、骨の形成におけるアクセル役とブレーキ役のメッセージ物質を出しています。

◎骨をつくり替える必要がある場合
骨細胞が「骨を作って」と呼びかけるアクセル役のメッセージ物質を出し、それによって骨芽細胞が活動を再開します。

◎十分な骨が出来た場合
骨細胞が骨をつくるのをやめようと語りかけるブレーキ役のスクレロスチンというメッセージ物質を出し、骨芽細胞の活動が停止します。


私たちの若さを保つために行われる骨のつくり替え。
ただ、最新の研究では骨は骨以外の部分にも働きかけ、若さを保っているといわれています。

次はその点について見ていきましょう!
【2】“若さを保ってくれる”はどういう理由から?
先ほどお話しした「骨芽細胞」。
骨芽細胞は、骨細胞の出すメッセージ物質(骨の形成におけるアクセル役・ブレーキ役)により、骨の形成に関わるのはもちろんですが、実は、骨芽細胞自身も様々なメッセージ物質を出しているといわれています。

骨の生まれ変わりだけでなく、そのメッセージ物質の影響によっても、体に様々な「若さ」がもたらされています。


~骨芽細胞が出すメッセージ物質~

◎オステオカルシン
記憶力・筋力・生殖力の維持に関わります。

◎オステオポンチン
免疫力の維持に関わります。


例えば免疫力でお話しすると、免疫力が正常に保たれていることで、私たちは健康に生きることが出来ます。
その免疫力が落ちると…体の抵抗力が落ちるので、様々な病気にかかりやすくなってしまいます。

免疫力を例にしてみてみましたが、オステオカルシンやオステオポンチンといったメッセージ物質が減ることで、上記の働きが低下し、老化につながっていきます。

成人以降も骨をつくることは出来るので、骨芽細胞を動かし続け、様々なメッセージ物質を出させるようにして、若さを保つようにしましょう。
【3】骨を健康に保ち続けるにはどうすればいいの?
「骨をつくり替えたい」「もっと骨をつくってほしい」と私たちが心で思っても、実際に体が作ってくれるとは限りませんよね。

骨をつくるためには、『骨に衝撃を与え、骨細胞を働かせること』が必要です。

骨に衝撃がかかると…
①骨細胞が衝撃を感知(骨細胞は全身に数百億個あります)
②骨細胞は、「骨をつくるのをやめよう」というブレーキ役のメッセージ物質の量を減らし、「骨をつくって」と働きかけるメッセージ物質を発する
③そのメッセージに伴い、骨芽細胞が増える
④骨芽細胞が骨形成を行う

実際、骨量減少が見られる方(成人以上)に、1日30分のジャンプ運動を週3回、1年間継続したところ、9割以上の方で、骨量増加と、さらに骨形成のブレーキ役(スクレロスチン)の量も減少したという研究もあるようです。

このようなところから、骨は私たちが活動的に動いている限りは、骨細胞の衝撃感知から始まる一連の流れの骨の形成と併せて、骨芽細胞からもメッセージ物質を出し、若さを保ってくれます。

ただし、活動をやめてしまうと、骨は若さを保つ必要がないと判断するので、メッセージ物質を止めてしまい、骨の形成も少なくなります。
また、骨の形成が少なくなることで、骨芽細胞も減り、そこからのメッセージ物質も減ってしまいます。

そのため、何か運動をすることは大切です。


骨という観点だけでみると、衝撃がかかるかどうかが大切なので、
ランニングやジャンプ運動>自転車
です。

もちろん自転車も運動という観点でみれば、悪いというわけではありません。
有酸素運動で、心肺機能も高まりますし、脚の筋肉も強化できます。

しかし、先ほどもお話ししたように、骨のつくり替えを促し、若さを保つためには、骨に衝撃がかかるかどうかが大切なので、積極的にランニング(ウォーキング)やジャンプ運動(階段昇降)などをしましょう!

ただし、高齢の方であれば、ジャンプなどは膝に負担がかかり、よくない場合もありますので、その場合は、その場で「かかとの上げ下げ」をするだけでも構いません。

肝心なのは、体に適度な衝撃を与え、「まだまだ若さを保たないと!」と思わせることです!
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
職業柄、骨について話をすることがあります。

数年前までは、骨は20歳ごろまでしかつくれないから、そのピークまでに骨量を高くすること、それ以降は維持を目標に!と話していました。

今でも、若いうちに骨によいこと(食事・運動・日光浴など)をたくさんすることで、骨量のピークを高めることはもちろん大切です。

しかし、今からでも遅くない!と伝えることが出来るようになったことで、みなさん(聞く側の方)の気持ちが違うように感じます。

私は人に伝える立場なので、自らも実践することが大切と思い、毎日歯みがきをしながら、かかとの上げ下げの運動を行っています。

日々の活動の積み重ねが、私たちの体の“若さ”を保ってくれますので、共にがんばりましょう!!

骨によい栄養素や食事などについては下記をご確認ください(再掲)。
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