健康コラム

no.145
テーマ:「砂糖」
2019年3月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

3月になりました。

さて、今月の3月10日は“砂糖の日”です。
「さ(3)とう(10)」の語呂合わせで、砂糖の優れた栄養価などを見直す日として制定されました。

甘い物がお好きな方もそうでない方も、砂糖について知識を深めてはいかがでしょうか。

※11月30日「いい(11)さ(3)とう(10)」の語呂合わせから、同じく“砂糖の日”に制定されています。
【1】砂糖の種類
お店に行くと、いろんな種類の砂糖が並んでいますよね。

原料や製法によって様々なものがありますが、砂糖は大きく分けると“分蜜糖”と“含蜜糖”に分けられます。

分蜜糖とは、砂糖の成分であるショ糖と糖蜜を分けてショ糖の結晶だけにしたもので、「グラニュー糖」「上白糖(白砂糖)」「三温糖」などがその代表です。
味にクセがないので様々な料理やお菓子、飲み物などに利用されています。

含蜜糖は、ショ糖と糖蜜を分けずに作られるもので「黒砂糖」がその代表です。
糖蜜の中にはミネラルやビタミンが含まれていることから、ヘルシーな食材として利用されることが多いようです。
味わいにコクがあり、やさしい甘みが特徴です。

また、砂糖以外の甘味料(天然甘味料、人工甘味料)もあり、糖尿病の方が血糖コントロールのために使用されたり、低カロリー、低糖質をうたった製品にも多く使われています。

例えば「カロリーオフ」「カロリーゼロ」と書かれている飲み物などは、ほぼ間違いなく砂糖以外の甘味料が入っています。
【2】知ってるようで知らない砂糖パワー
料理をする際には欠かせない砂糖。
その目的は単に甘みをつけるだけではありません。

砂糖は料理の味わいや食感を良くし、長持ちさせてくれる役割もあります。
ここからは主な砂糖の働きをご紹介します。


①肉をやわらく、卵焼きはふわっとさせる

肉料理の下ごしらえで少量の砂糖をもみ込むと、砂糖がたんぱく質(コラーゲン)と水分を結びつけて肉をやわらかくしてくれます。
また、卵焼きも砂糖を入れることによりふわっとします。


②泡立ちを保つ

卵白に砂糖を加えて泡立てると、砂糖が卵白の中の水分を吸収し、しっかりとしたきめ細かい泡のメレンゲになります。
生クリームでも同様に泡が安定し、しっとりとした仕上がりになります。


③でんぷんの老化を防止する

砂糖にはご飯や餅などのでんぷん食品をしっとりやわらかくする働きがあります。
でんぷんは時間がたつと老化して固くなりますが、砂糖はこれを防いでくれます。
羊かんや餅菓子、すし飯が固くならないのはこのためです。


④腐敗を防ぐ

カビや細菌は食べ物の水分を利用して増殖します。
ジャムや羊かんなど砂糖をたくさん使った食品が腐りにくいのは、砂糖が食品の水分を抱え込み、微生物が水分を利用しにくくなるからです。


⑤パンをふっくらこんがり焼く

パン生地(小麦粉)に砂糖を加えるとイーストの発酵をより活発にし、パンをふっくらとさせる他、美味しそうな焼き目がつくのも砂糖による働き(褐変反応)です。


⑥油脂の酸化を防ぐ

油脂を使った食品は時間とともに酸化して嫌な臭いがします。
砂糖は油脂の酸化を防ぐ働きがあり、ケーキやクッキーなどの風味を守るのにも一役買っています。


いかがでしたでしょうか。
何気ない、当たり前に思っていたことが、実は砂糖の働きによって成り立っていたのですね。

まさに料理は科学です。
【3】砂糖の雑学あれこれ
ここからは砂糖にまつわるちょっとした雑学をご紹介します。


・上白糖は日本独自の砂糖

日本で砂糖と言えば上白糖(白砂糖)が思い浮かびますが、実は世界ではグラニュー糖が一般的。
上白糖を使っているのは日本ぐらいだそうです。

ちなみに上白糖の名前は、江戸時代に砂糖の等級を上・中・下で分けていたことに由来していると言われています。

砂糖は「中・白糖」を基準とし、それよりも優れているものを「上・白糖」と区別していたようです。


・生わさびに砂糖を混ぜると辛くなる

生わさびに砂糖を混ぜると一見、辛さがマイルドになりそうですよね。
砂糖を入れると、生わさびに含まれている苦みが消え、香りと辛さがいっそう引き立つそうです。

おろし金の上に少量の上白糖をのせ、茎のついた方からすりおろすのがおすすめだそうですよ。


・固まった砂糖はパンを入れるとサラサラに

砂糖を容器に入れていたら、固まって使いづらくなった経験はありませんか。
塩は湿気ると固まりますが、砂糖は反対に乾燥すると固まる性質があります。

そのため、水分を与えると元のサラサラの状態に戻ります。
やり方は簡単、食パンやロールパンをちぎって砂糖の容器の中に入れておくだけです。

5~6時間もすればパンに含まれる水分が適度に吸い取られ、元通りに。
その他にも容器のフタに濡らしたキッチンペーパーを貼りつける方法もあります。


これ以外にも雑学ではありませんが、砂糖に関する食文化を調べていると面白い発見がありました。

納豆についての健康コラムを作成した時、納豆に砂糖を入れる地域が多いことにも驚きましたが、茶わん蒸しやトマト、アメリカンドッグに砂糖をつける地域もあるようです。
(どんな味がするのでしょうか…)

※納豆についてはこちらの健康コラムもご参考ください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
2月、3月はバレンタインデーやホワイトデーの時期ということもあり、お菓子売り場が華やいでいますね。

家族がダイエット中のため、要らないと言われるかなと思いつつ、「バレンタインに何がほしい?」と聞いてみたところ、「砂糖の入っていないチョコレート」と返事がありました。

「そんな(甘くない)チョコレートある?」と思わず返してしまいましたが、調べてみると、今は糖質オフスイーツ全盛の時代…しっかり売られていました。

といっても全く甘みがないわけではなく、砂糖の代わりに甘味料を使うことで、“砂糖不使用”をうたっているようです。

「糖質を抑えたいなら甘い物は控える」というのはもう過去の話なのかもしれません。

国内での砂糖の消費量については年々減少傾向(※)にあり、砂糖離れが指摘されていますが、砂糖の消費量が減ってはいても、甘い物が廃れることはないのだな…と感じました。
それほど、甘みを欲する本能は強いのかもしれませんね。

皆さんもどうぞ、ほどほどを心がけながら美味しく召しあがってください。

※ 精糖工業会 国内砂糖消費量(2002年~2016年)より
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