健康コラム

no.105
テーマ:「温州みかん」
2015年11月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

落ち葉が風に舞う季節となりました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

明日、11月3日はみかんの日です。
「いい(11)み(3)かん」の語呂合わせで、全国果実生産出荷安定協議会と農林水産省が制定しました。(※)

今回はこれから旬を迎える“温州みかん”の情報をお届けします。
※12月3日も「いつ(12)も み(3)かん」の語呂合わせでみかんの日とされています
【1】みかんといえば?
みかんといっても実に様々な品種が存在します。
伊予かんやポンカン、甘夏やはっさくなど…。

そのなかでも一番イメージしやすく、馴染みのあるみかんといえば、
“温州みかん”ではないでしょうか。

皮が薄くてむきやすく、子供たちの給食にもよく登場します。
果物のなかでは日本一の収穫量を誇ります。

温州みかん発祥の地は鹿児島県の長島といわれています。
江戸時代、長島は中国との交易が盛んな土地でした。

中国から長島へ伝わった柑橘の種から偶然発生したのが“温州みかん”です。
英語では“Satsuma Mandarin”(サツママンダリン※)と呼ばれ、欧米で「サツマ」といえば、芋でなく温州みかんのことを指します。

ちなみに「温州」というのは中国の地名で、柑橘類の名産地である温州地方にあやかってつけられたそうです。
そのため、中国原産と思われがちですが、日本生まれの果物です。

温州みかんの種類は、収穫時期の早い順に、「ハウスみかん」「極早生みかん」「早生温州」「普通温州」の4つに大きく分けられ、それぞれの種類で数多くの品種が栽培されています。

店頭では“有田みかん”や“愛媛みかん”など、地域の名前をブランド名として販売することが多いそうです。
※サツマ[薩摩]=現在の鹿児島県のことです
【2】温州みかんパワーと甘く食べるコツ
昔から冬の果物として食べられてきた温州みかん。
最近は生鮮食品として、初めて機能性表示食品の認可(※)を受けたことでも注目を集めました(以下、みかんと表記)。
※みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンが骨の健康に役立つとして認可

ここからはみかんに含まれる栄養素と甘く食べるコツについてお話します。

<★みかんに含まれる主な栄養素★>

◎β-クリプトキサンチン
みかんに含まれる色素の一種で、骨密度や骨強度の低下を抑制し、骨粗鬆症の予防にも役立ちます。
ポンカンなどの柑橘類にも含まれますが、特にみかんに多い成分です。

◎ビタミンC
コラーゲンの合成に関わり、血管や皮膚の健康維持にも欠かせません。また、抗酸化作用や抗ストレス作用もあります。 

◎クエン酸
疲労回復を助ける栄養素です。

◎ヘスペリジン
みかんの白い筋に含まれ、ビタミンCの吸収をよくしてくれます。
その他にも毛細血管を強くして、動脈硬化予防にも働きます。


<★みかんを甘く食べるコツ★>

みかんは食べる前にもんだり、コロコロするとより甘味を感じやすくなります。
これは衝撃を受けると、みかん自身がクエン酸(酸っぱい成分)を使うからだそうです。
また、見た目ではへたの軸(丸い部分)が細めのものを選ぶと、甘い場合が多いそうですよ。

皆さんもみかんを食べる時に是非試してくださいね。
【3】やってみよう!「和歌山むき」
突然ですが、皆さんはどんな風にみかんをむきますか?

一番多いのはへたのある方を下にして、放射状に皮をむいてから、食べやすい大きさに割っていくやり方かと思います。

実はみかんの本場、和歌山には「和歌山むき」なるものがあるんです。覚えておくと、手早くみかんがむけてとても便利ですよ!

<★やってみよう!和歌山むき★>

①みかんのくぼんでいるところに両手の親指をあてる
②みかんを皮ごと半分に割る(下の皮はつなげたまま)
③さらに半分に割って、4分割にする
④みかんの中心側(底)から皮をはがせば完成

へたのある方を下にするところまでは同じですが、「和歌山むき」はみかんを皮ごとパカッと割ってから皮をはずしていくのが特長です。

このむき方はみかん農家の方が、収穫時に手袋をつけたまま味見をする時、また作業の合間に手早くむく方法といわれているそうです。

皮がバラバラになりにくく、爪もよごれにくいのも嬉しいですね。

また、皮がついたままだと乾燥しにくいので、1個丸ごと食べきれなかった時にも便利です。

その他にもみかんのユニークなむき方が多数紹介されています。
興味を持たれた方は『みかんアート』で検索してみてくださいね。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
毎年、実家では冬になるとみかんを箱で購入し、玄関に置くのが常でした。

誰かがみかんを取りに行くと、「私の分も取ってきて」と誰からか呼び声がかかります。

段ボールの底が見えるようになると、青カビがびっしり生えたかわいそうなみかんが見つかるのも年中行事でした。
私の中では家族団らんの象徴の果物です。

ところで、みかんを食べすぎると「手が黄色くなった!病気?!」と心配になった経験はありませんか。

これはみかんに含まれる色素によるもので、しばらく食べるのを控えていればすぐに色はなくなります。
病気ではありませんので安心してくださいね。

この頃は朝晩の気温差が厳しく、こたつが恋しい季節です。

こたつとみかんといえば日本の冬の風物詩!
自然と表情もやわらかくなる空間ではないでしょうか。

風邪やインフルエンザに負けないよう、こたつで温まりながら、みかんパワーで元気に冬を乗り越えましょう。
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