健康コラム

no.110
テーマ:「はちみつ」
2016年4月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

今日から4月ですね。
まだまだ寒い日もありますが、季節は春です。

春は花粉が辛い…という方も多いかもしれませんが、その花から「はちみつ」が採れることはみなさんご存知ですよね。

今回は、そんなはちみつについての健康コラムをお届けします。
【1】はちみつが出来るまで
はちみつとはミツバチが花から採集した花蜜のことで、自然界で最も甘い蜜と言われています。

ミツバチは吸った蜜をお腹に入れて巣まで戻りますが、その時にミツバチ自身が持つ酵素によって【ショ糖】から【ブドウ糖と果糖】に分解されます。

もともと花蜜自体に、はちみつほどの甘さを感じることはありませんが、ミツバチの体内で分解されることにより、あの濃厚な甘さになるのです。

採ってきたばかりの蜜は、水分が60%とサラサラした状態ですが、ここから羽ばたきによって扇ぎ、水分が20%になるまで蒸発させます。

水分をとばし糖度をあげることで、甘味が高まるだけでなく腐敗防止にも繋がります。

このようにして、花蜜からはちみつが作られていきます。
天然の食品ではありますが、ある意味ミツバチによって加工された加工食品ですね。

このため、他の食材や人工的に加工を施した食品にはない様々な性質や効果がはちみつにはあります。

では次の項目で、はちみつに含まれる栄養について見ていきましょう。
【2】はちみつに含まれる栄養
はちみつの主成分はブドウ糖と果糖ですが、良質なビタミンも含まれています。

ビタミンには「活性型」と「非活性型」があり、はちみつに含まれるビタミンのほとんどが「活性型」で「不活性型」のビタミンよりも効果が高いことが分かっています。

その他にも、カルシウムや鉄など27種類のミネラルと、22種類のアミノ酸、80種類の酵素、ポリフェノールなど150を超える栄養成分を含む栄養豊富な食品なのです。

味は、色が薄いほどマイルドな味になり、濃いほど味が強くなり香りも増します。

気になるのはカロリーですが、白砂糖が100g当たり384kcalであるのに対して、はちみつは100g当たり294kcalと、意外にはちみつの方がカロリーが低いのです。

また、はちみつの主成分はブドウ糖と果糖だとお話しましたが、これはどちらも【単糖類】のため、体の中に入ると短時間で吸収されて、胃腸へ負担がかからずエネルギー源となります。

このことから、からだが弱っている時や疲れがたまっている時、運動後の肉体疲労に対しても効率よく栄養を吸収し短時間で効果的な回復が期待出来ます。

部活動などの差し入れで、“レモンのはちみつ漬け”が定番だったりしますが、これは、はちみつの効果に加えてレモンに含まれるクエン酸にも疲労回復効果があるので、とても理にかなった食べ方です。
差し入れにもぴったりですよね。

また、最近よくはちみつを使った化粧品やリップクリーム、さらにはシャンプーなどもよく見かけますが、はちみつには女性に嬉しい「保湿効果」や「メラニン生成の抑制」などの働きもあると言われています。
【3】はちみつの種類
はちみつは加工処理によって3つのタイプに分けられます。

①一切の加工処理を行わない『純粋はちみつ』
②水あめや異性化糖などが人工的に加えられた『加糖はちみつ』
③加熱し、減圧釜などによりはちみつを脱色脱香した『精製はちみつ』

この中で一番品質が良いのは手を加えていない『純粋はちみつ』です。②や③のように加工を施すとビタミン類が壊されてしまい、本来の栄養がなくなってしまいます。

見分けるポイントは、
■透明度が低く、濁っているかどうか
純粋はちみつには花粉が含まれているため濁っています。
※種類によっては純粋はちみつでも透明度が高いものもあるため、あくまでも目安です。

■白く結晶化している
純粋はちみつは低温になることで、ブドウ糖が結晶化します。
※アカシアはちみつなど、果糖を多く含んでいるはちみつは、純粋はちみつでも結晶化しにくい場合もあります。
  
■泡が出ているかどうか
純粋はちみつには酵素が含まれているため、発酵し細かい泡が見られます。

透明度が高く、透き通ったはちみつの方が品質がよさそうに見えますが、実は、濁っていたり結晶化しているはちみつの方が本物だったのですね。
さらに、はちみつは花の種類によって様々なものがあります。

今回はお店でもよく見かける種類のはちみつをいくつかご紹介します。

レンゲ:
フローラルな香りで、味には上品なコクがあります。
日本を代表するはちみつで、【はちみつの王様】とも呼ばれています。

ブドウ糖の割合が多く、温度が下がると結晶になりやすいのが特徴です。
料理(肉・魚)などの隠し味に使うと、臭みを和らげたりツヤ出しにもなります。
≪主な効果≫ 便秘解消、利尿効果、肝機能向上

アカシア:
こちらも癖がなく後味がすっきりした種類です。
レンゲがはちみつの王様なのに対してこちらは【はちみつの女王】と呼ばれています。

低温になると固まってしまうのがはちみつの特徴ですが、アカシアのはちみつはレンゲとは反対に果糖が多いため、固まりにくく、寒い時期でもトロっとしたはちみつが食べられます。
≪主な効果≫整腸作用、喉や気管支の炎症の鎮静
 
みかん花:
その名の通り、みかんの花からとれたはちみつです。

さっぱりしていて甘酸っぱく、さわやかな味が特徴です。コクがあり、こちらも癖がなく食べやすい種類のひとつです。
≪主な効果≫咳止め、便秘解消

ここで、ご紹介したはちみつはほんの一部で、他にもたくさんの種類のはちみつが存在します。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
1匹のミツバチが一生に採れるはちみつの量は、なんと、“ティースプーン1杯分”だそうです。

先日、はちみつの専門店へ行き、色々なはちみつを試食しましたが、「あの1口がミツバチが一生かけて集めた量だったのか」と思うと、ありがたいような申し訳ないような…なんとも複雑な気持ちになりました。

お店では、初めて見るはちみつもたくさんありとても興味深かったです。
試食してみた感想ですが、やはりレンゲやアカシアのはちみつが癖がなく食べやすかったです。

あと、みかん花のはちみつは甘酸っぱくて本当に美味しかったです。
こちらも癖がなく、ほのかに果物の香りがするので、ヨーグルトにかけて食べると合いそうだな~といった印象でした。

もちろん癖のあるはちみつも独特の味わいがあっていいですし、癖のないはちみつはそのままでも食べやすく、お料理に入れても邪魔をせず使いやすいですね。

ご飯を炊くときに少量のはちみつ(癖の少ないもの)を加えると、ふっくらとツヤのあるご飯に炊きあがり、ご飯の甘さが引き立つそうです。

また、スライスした生姜をはちみつで漬け込んだ「ジンジャーシロップ」なんて使い方も簡単でいいですよね。

お茶に入れて「はちみつジンジャーティー」や炭酸で割って「ジンジャーエール」など色々な楽しみ方が出来ますよ。

はちみつ独特の癖が苦手…という方でも、アカシアやレンゲなどあっさりしたはちみつからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

おいしくて、栄養もたっぷり!一石二鳥ですよ!
※1歳未満のお子様は「乳児ボツリヌス症」の危険性があるため、食べるのをお控えください。
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