健康コラム

no.206
テーマ:「ポリフェノール」
2024年4月号
「ポリフェノール」はファイトケミカルの一種で、野菜や果物・豆類に含まれる、色素・香り・苦味などの化学成分のことをいいます。

健康を維持するための様々な働きをもつ成分で、代表的な働きとして体のサビの原因(活性酸素)を抑える“抗酸化作用”が挙げられます。

ポリフェノールはファイトケミカルの代表格で、その種類はなんと5000種類以上。

まだまだ未知な部分も多いですが、5大栄養素に加え、意識して摂取したい成分です。

過去の記事はこちらからご覧ください!
【1】植物の生命を守るポリフェノール
植物は太陽の光を浴びて、空気中の炭酸ガスと水からブドウ糖を作ります。
これが“光合成”です。

さらにそのブドウ糖から、ビタミンなどの生命の維持に必要な成分を産生していきます。

植物にとっての最重要事項は「花を守って種子を残すこと」なので、いかに紫外線や害虫から身を守ることが出来るかが、とにかく重要です。

産生されている成分の中でも、ポリフェノールは生命の維持や種の保存のために無くてはならない存在です。

【紫外線対策】

・反射させるために、花にポリフェノール色素を入れる。
※花が白や薄黄色、赤色系などの明るい色が多いのはそのため。

【害虫対策】

・花と同様、草や木の葉にもポリフェノールは含まれており、カテキンやタンニンなど、虫が嫌いな味や匂いを産生している。

その他の野菜や果物などでも、生命を守るためにポリフェノールが活躍しています。
【2】赤ワインはポリフェノールの宝庫
ワインは、ポリフェノールが豊富な飲み物として知られていますよね。
白やロゼなどの種類がありますが、特に赤ワインに豊富に含まれています。

古代ギリシャの哲学者ヒポクラテスは「ワインは最も価値のある飲み物であり、最も美味しい薬である」という言葉を残しており、大昔から健康効果を期待して活用されていたことが分かります。

日本でも、医薬品の基準を定めた“日本薬局方”に、1886年制定の最初から“赤酒”の名称で記載されています。

古代ギリシャ時代にはなぜ体に良いのか解明されていませんでしたが、これがポリフェノールの働きによるものだと、数千年の時を経て明らかになりました。

赤ワインには、フラボノイド・アントシアニン・カテキンといった、数種類のポリフェノールが含まれています。

これは、ブドウがポリフェノール豊富な食材ということに加え、果皮や種子、茎の一部まで一緒に発酵させ、木の樽に入れて長期間熟成させるという工程によるものです。

果皮や果肉、種子などから違った形のポリフェノールがゆっくり溶け出し、熟成の間にも、反応や結合を繰り返しながら様々な種類のポリフェノールが作り出されています。
【3】皮まで上手く活用しよう!
【1】でも説明した通り、植物は外敵から身を守るためにポリフェノールを作り出します。
そのため、特に果物や種子の皮に多く存在している点が特徴です。

せっかくのポリフェノールを無駄にしてしまうのはもったいないですよね!
余すことなく摂取する食べ方や、その他活用法をご紹介します♪


●柑橘類の皮

みかんにはヘスペリジン、はっさくやグレープフルーツにはナリンギンやノビレチンというフラボノイドが含まれています。

ヘスペリジンは“ビタミンP”とも呼ばれ、血管の老化を予防する作用が知られており、ナリンギンにも血管を強くする働きがあるほか、食欲抑制にも働くといわれています。

【食べ方】みかんやオレンジは筋を取らずに食べる。
【活用法】皮をマーマレードにする、お風呂に入れる、乾燥させて薬味にする。


●たまねぎの皮

ケルセチンというフラボノイドを多く含みます。

血管を強くし血液循環をスムーズにしてくれるほか、抗酸化作用や抗炎症作用も期待できる成分です。

【活用法】スープを作るとき、皮を一緒に煮込む。
     乾燥させて粉砕し、粉末だしとして使う。


●ナッツ類の渋皮

皮つきのカシューナッツにはカテキンが含まれ、落花生には赤ワインにも含まれるレスベラトロールが多く含まれています。

どちらも抗酸化作用があり、特にレスベラトロールは、老化を防止する“サーチュイン遺伝子”を活性化させるといわれています。

【食べ方】茹でたものでなく、炒ったものを渋皮ごと食べる。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
少し遡りますが、皆さんバレンタインにチョコレートは召し上がりましたか?

最近は自分へのご褒美として、ちょっと良いものを買われる方も多いですよね。

そんなお高めのチョコレートやブラックチョコレートに豊富に含まれる「カカオマスポリフェノール」も、名前の通りポリフェノールの一種です。

ポリフェノールの中でも、比較的体内に吸収されやすいものだといわれています。

5大栄養素だけではなく、健康な体を維持するためには本当に様々な成分が関わっていますね。

どうしても苦手なものはありますが…好き嫌いせず、色んな種類の食材にチャレンジすることの大切さを改めて感じています。
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