健康コラム

no.172
テーマ:「プロテイン」
2021年6月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

筋肉をつけたいと思う方にとって、昔から欠かせない存在の“プロテイン”。

ひと昔前まで、「筋肉をムキムキにしたい人が飲むもの」という世間の声が多かったですが、少しずつ正しい知識が広がり始め、現在は運動をせず飲んでいる方も!

食事から栄養素を摂るのが一番ですが、補えない部分を助けてくれるので、賢く使えば筋肉をつくるためや運動によって失われるたんぱく質の補給のために有効です。

ただし、大量に飲むと良いというわけでもないのです!
(知識がない方が飲むと体の不調をまねくことも…。)

プロテインには様々な種類があり、飲む際には、用途に応じて正しく選ぶことが大切です。
今回はプロテインについて学んでいきましょう♪
【1】そもそもプロテインとは?
「プロテイン」とは、英語でたんぱく質のことです。
しかし、日本語でこの言葉を使う場合には、たんぱく質の摂れるサプリメントを指すことが多いように感じます。

プロテインとひと口に言っても、たんぱく質が摂れるものだけでなく、ビタミンやミネラルが配合されているものもありますし、少ないですが、中には無添加のものも。

運動している方は、運動によるエネルギー消費の回復、筋肉の修復のためによりたんぱく質は必要です。

ただし、過度なたんぱく質の摂取は、体に負担をかけてしまいますし、摂った分すべてを筋肉に出来るわけではありません。
余剰分は、脂肪として体内に蓄えられてしまいます。

さらに、プロテイン(たんぱく質)だけを意識して摂る方が多いのですが、たんぱく質を体でうまく代謝するには、ビタミンやミネラルも必要です。
ビタミンやミネラルは多くの方で不足しがちですので、そちらにも意識を向けるようにしましょう。

偏食や激しい運動をしないで、通常の生活をしている場合は、食事だけで十分だと思います。
「プロテイン」に安易に頼るのではなく、毎日の食事にたんぱく質(肉・魚・卵・乳製品・豆製品)のおかずを揃えることを意識してみてください。

※ものによっては、甘みをつけるために甘味料や糖が使われていたり、添加物等も使われていますので、食材から十分に補える場合には、個人的には食事を優先するべきだと考えます。
【2】プロテインの種類について
ここからは、運動などをし、食事だけでは補えない場合について見ていきましょう!

プロテインを生活に取り入れたいと思っても、「種類が多いので、迷う…」という声も。

プロテインの種類は大きくわけて、牛乳からたんぱく質を抽出した「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」と、大豆からたんぱく質を抽出した「ソイプロテイン」があります。


それぞれの違いを簡単に説明すると…

◎ホエイプロテイン【消化吸収にかかる時間:早い(1時間前後)】
牛乳に含まれるホエイたんぱく質を抽出したプロテイン。
もっとも一般的で商品の種類が多いです。
牛乳に含まれる乳糖を残した「WPC」とたんぱく質以外の成分をほぼ除去した「WPI」があります。

「WPC」
乳糖が残っているので、牛乳が苦手な方(乳糖不耐症)には不向きです。
そのような方の場合、下痢や胃の不調を引き起こすことも…。
たんぱく質含量は、WPIよりやや低いです。

「WPI」
乳糖をほぼ除去しているので、WPCよりもたんぱく質量は多く、糖質や脂質は少ないです。
価格はWPCより高いです。

ろ過や分解の方法の違いでWPCとWPI以外にも種類はあり、いずれも利点はありますが、価格はWPCより高め。
気になった方は「WPI」と併せて「CFM」「WPH」も調べてみてください。


◎カゼインプロテイン【消化吸収にかかる時間:とても遅い(6~8時間)】
牛乳に含まれるカゼインたんぱく質を抽出したプロテイン。
カゼインはチーズの主成分。


◎ソイプロテイン【消化吸収にかかる時間:遅い(5~7時間)】
大豆に含まれるたんぱく質を抽出したプロテイン。
植物性たんぱく質とともに、大豆に含まれるイソフラボンやレシチンも摂取出来ます。


違いを知ったところで、摂取タイミングを見ていきましょう!

※消化吸収にかかる時間は目安です。
【3】タイミングに応じたプロテインの摂取
なんとなく筋肉をつけるために飲んでいる…という方は、以下のタイミングと種類に気をつけてみてください。


★運動前
運動中の筋肉の分解を抑制するためにたんぱく質を摂る。
消化吸収のことを考えて、食事は2~3時間前までに済ませましょう。
食事が摂れない場合は、消化吸収の早いホエイのプロテインを1時間前までに飲むようにしましょう。

★運動中
血液中のアミノ酸濃度の低下を抑えるために、アミノ酸(※)を摂ることもひとつです。

★運動終了直後
筋肉の分解を食い止め、運動により傷ついた筋肉を修復するためにたんぱく質が必要です。
すぐにたんぱく質を摂りましょう。(エネルギー補給のために糖質も摂りましょう。)
その際には吸収の早いホエイがおすすめです。

★就寝前
筋肉でのたんぱく質の合成が睡眠中も続くように、就寝前にプロテインを飲む方もいらっしゃいます。
その際には、消化吸収が緩やかなカゼインやソイを選ぶようにしましょう!


※アミノ酸
たんぱく質を構成しているもの。
アミノ酸が連なってたんぱく質が出来ている。
プロテイン(たんぱく質)を摂っても、そのまま体内の筋肉(たんぱく質)とはならず、一度分解され、アミノ酸になってから再度筋肉(たんぱく質)となるので、運動中はアミノ酸を摂る場合も多い。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
先ほどからお伝えしているように、個人的には、“基本は食事”だと考えていて、たんぱく質に関してはほぼ食事から摂れると思うので、食事に気をつける方が先決だと思っています。

以前の健康コラムでもお話ししたように、基本は「まごはやさしいの食材を日々の食事に取り入れる」「主食・主菜・副菜を揃える」です。

健康コラム139号「続・食育」で詳しくお伝えしています!
「食事が適当でもプロテインを飲めば何とかなる」などと考えている方がもしいらっしゃれば、この機会に考えを改めていただければ幸いです。

そんな中、今回プロテインを取り上げたのは、知人がプロテインの種類を変えたことも原因のひとつ?で体調不良を起こしたことがあったからです。(ソイ→ホエイに変えたとのこと。)

普段からプロテインを飲んでいる方でも、吸収の違いなど詳しく知らないこともあるのではないかと考え、お伝えしました。

プロテインは、基本的には運動をされる方で、効率よくたんぱく質を補っていきたい場合に、バランスのとれた食事と併せて正しく使うようにしていきましょう!

私自身は、本気でスポーツをしている訳でもないですし、食事をある程度は気にしているので、プロテインは飲んでいませんでしたが、今回健康コラムで取り上げるにあたって、飲み始めてみました。

朝に飲んでみようと思ったので、ホエイで探しました。
いろいろ探して、無添加のホエイプロテイン(WPI)を飲み始めました。
(私は乳糖不耐症なのか、牛乳を飲むと胃腸の調子が悪くなるので…。)
無添加のため、甘みや香料もなく飲みにくいですが、しばらく続けてみます。

何事も人それぞれに合う合わないがありますので、ご興味ある方は、無理のない範囲でお試しください!
【コラムの無断転載は禁止させていただいております】