健康コラム

no.171
テーマ:「呼吸」
2021年5月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

長引くコロナ禍、知らず知らずのうちにストレスや不安をため込んでいませんか。
過度なストレスや疲れで免疫機能は低下しやすいといわれています。

そこで注目したいのが『呼吸』です。
【1】呼吸の効果って?
普段、私たちが何気なく行っている呼吸。

吸っては吐いてを繰り返すこと、1日におよそ3万回!

その呼吸を意識すると免疫機能が整ったり、メンタルヘルスにもよい影響を及ぼすことが知られています。

まず、呼吸について説明していきましょう。
“胸式呼吸”と“腹式呼吸”という2つの名前は聞かれたことがあるかもしれません。

胸式呼吸は普段、私たちが無意識に行っている呼吸であり、浅く・短いものが多く、交感神経に働きやすい呼吸です。

腹式呼吸は肺の下にある横隔膜の動きを利用した呼吸です。
横隔膜は自律神経が集中しており、息を吐く時には副交感神経が強く働きます。

そのため、ゆっくりとした大きな呼吸は副交感神経をスムーズに働かせ、体をリラックスさせることが出来ます。

自律神経は自分の意思でコントロールすることが出来ないものですが、呼吸を意識することでコントロールすることが出来るのです。

また、副交感神経は免疫の働きを正常化させる働きもあるため、呼吸を整えることがひいては免疫機能にも良い!という訳です。

「なかなか腹式呼吸をするのは難しい…」という方にやっていただきたいのが、これからご紹介する『10秒呼吸法』です。


【10秒呼吸法】

(1)目をつぶって、いったん体に入っている息を「フーッ」と吐き出す
(2)3秒で鼻から息を吸う
(3)1秒で息を止める
(4)6秒で口からゆっくり吐く
(5)(2)~(4)を1分程度繰り返す

※姿勢は座っていても、立っていても横になっていてもOK

※10秒呼吸法の最後は10回ほど手をグーパーさせると◎


私も気持ちが焦っている時にやっています。
仕事中に目を閉じるのは難しいので、目は開けたままですが、やった後は肩の力が少し抜けたような感じがします。

次からは、コロナ禍ならではのお悩みとその改善方法をご紹介します。
【2】口呼吸が増えている?
もはや日常になりつつある、“新しい生活様式”
ところが、その変化によって口呼吸になる人が増えているそうです。

例えばマスクの息苦しさから口呼吸になったり、人と会うことや会話が減ることも舌・口周りの筋肉が衰えることに繋がり、口呼吸になりやすいといわれています。

口呼吸になるとどんな問題があるのでしょうか。

鼻は加温・加湿と空気清浄を一気に行うフィルターの役割を果たしています。
つまり鼻呼吸は『天然のマスク』をしているようなものです。

反対に口はもともと呼吸をするための器官ではないため、口呼吸になると、汚れたままの空気がそのまま肺に送られてしまい、感染症などにかかりやすくなってしまいます。

また、口呼吸ではどうしても浅い呼吸になってしまい、酸素と二酸化炭素の交換が不十分になってしまいます。
浅い呼吸は交感神経が優位になりやすく、副交感神経も十分に働くことが出来ません。

「自分も口呼吸になっているかも?」と思ったら、口を閉じた状態で舌の位置がどこにあるかチェックしてみてください。

本来、鼻呼吸をする時、舌は上あごについています。
舌の筋力が衰えて舌の位置が下がってしまうと口呼吸になりやすいのだそうです。

舌先が上の歯の裏や下の歯の裏についていた方、舌がどこにも触れず宙ぶらりんの方は注意が必要です。


口呼吸・鼻呼吸については前回の「呼吸」の健康コラムもご参考ください。
【3】あいうべ体操
「舌の位置が下がっている」「口で呼吸をしてしまう」という方におすすめなのが『あいうべ体操』です。

やり方は簡単。
「あ」「い」「う」と口を大きく動かした後、「べ~」と舌を3回思い切り下に伸ばすだけです。


【あいうべ体操】

(1)「あ~」と口を大きく開ける(1秒キープ)
(2)「い~」と口を大きく横に広げる(1秒キープ)
(3)「う~」と口を強く前に突き出す(1秒キープ)
(4)「べ~」と思いっきり舌を出し、下に伸ばす(1秒ずつ3回)
(5)(1)~(4)を30回繰り返す(10回を1セットとして3セットに分けてもOK)

※口を動かすだけで声は出しても出さなくてもOK

※入浴中は口が乾燥しにくいのでおすすめ

また、『あいうべ体操』は口呼吸の改善だけでなく、顔のむくみ解消やたるみ・しわへの効果も期待出来るそうです。

皆さんもちょっとした時間にやってみてくださいね。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
「マスクって化粧しなくてもいいし、口元も見えないし便利だな~」と思っていた私。

マスクをしていると見えない分、いろんな筋肉が衰える原因にもなっていたのですね。
そういえば以前よりも滑舌が悪くなったり、口角が下がってきているような…。

そこではじめてみたのが『ガムを噛むこと』です。
口周りや舌の筋肉が鍛えられ、口呼吸の予防にもなるそうです。

毎日とはいきませんが、仕事机の中に入れておき、煮詰まったら気分転換をかねて噛むようにしています。

“口の中でガムを丸めて、舌を使って上あごにガムをくっつける”という動作も効果的だそうですよ。
ガムを使ったお口のトレーニングには他にも色々なものがあるので、興味がある方は検索してみてくださいね。

そして鼻から吸い、深く・長い呼吸を心がけていきたいと思います!
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