健康コラム

no.28
テーマ:「髪の毛」
2009年6月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

まもなく入梅。
汗ばむ季節ですね。
シャンプーの香りをほんのりと漂わせた、清潔で艶やかな髪はどんなにファッションにも勝る、そして誰にでも出来るお洒落です。
そこで、今回は「髪の毛」について、考えてみました。
【1】意外と知らない髪の毛の色々
毎日触れる髪の毛ですが、意外と知らないことが色々。
あなたには、こんな悩みや疑問はありませんか?

1)このごろ、髪のダメージが気になります。
→髪は、熱や摩擦、紫外線などによって傷みます。
 これから夏場にかけて、紫外線やプールの塩素の影響が出やすい時期です。

2)毎日シャンプーをしているのに、フケがおさまりません。
→シャンプーをしすぎて頭皮が乾燥しているのかもしれません。
 また、シャンプーがきちんと洗い流せていないと頭皮を刺激し、フケの原因となることもあるので、見直してみましょう。
※改善しない場合は、皮膚科で受診されることをお勧めいたします。

3)男性が薄毛になりやすいのは何故?
→髪の脱毛には男性ホルモンが関わっている他、男性は頭皮の皮脂分泌が盛んで毛穴がつまりやすい傾向があります。
 男性は頭皮を意識してシャンプーをすることが大切です。

4)ドライヤーと自然乾燥、髪の毛にやさしいのはどっち?
→髪にやさしいのは自然乾燥。
 しかし、乾かさずに寝るよりは、ドライヤーを使って乾かす方が良いでしょう。
 ぬれた髪や頭皮は摩擦に弱いので、枕などでこすれて傷みの原因になります。

5)白髪は抜いてもいいの?
→『白髪を抜くと増える』といわれますが、根拠はありません。
 毛を抜くと毛根が傷んで髪が生えてこなくなることもあるので、抜くよりは根元から切るほうがよいでしょう。

6)抜け毛を防ぐ方法はありますか。
→頭皮を清潔に保ち、頭皮の血行をよくすることが、髪を健康に保つ秘訣です。
 喫煙、ストレス、運動不足など、血行を妨げる生活習慣は薄毛・抜け毛を進行させると言われています。

髪の健康を左右するのは、髪の毛だけでなく、頭皮も重要になってきます。

頭皮の表面に出ている部分を「毛幹部」、埋もれている部分を「毛根部」、毛根の下端の丸く膨らんでいる部分を「毛球」といいます。

毛球の内部には血管や神経が集まっている「毛乳頭」と毛乳頭から指令を受けて髪の毛を作る「毛母細胞」があります。

「毛乳頭」から栄養補給を受けた「毛母細胞」が分裂増殖活動を繰り返して髪の毛をつくり、その髪が上に押し上げられて髪は成長しています。

ということは、髪が健康でいるためには、頭皮が健康であることが大切なのです。
ところが、不規則な生活習慣、血行不良や男性ホルモンの関係等の影響で、毛母細胞がうまく働かなくなると、薄毛の原因や髪の毛のトラブルを招いてしまいます。
【2】髪と頭皮をいたわるシャンプー法
いつものシャンプー、ちょっとしたコツで髪や頭皮へのダメージがかわってきます。

【正しいシャンプー法】
1)髪が長い場合には、シャンプー前にブラッシングを
・・・シャンプー前のブラッシングは、髪の毛のもつれを取り、頭皮の汚れを浮かせてくれます。
また、最初にお湯でよく流すことで、ホコリなど70%の汚れが落ちると言われています。

2)シャンプーは手のひらでよく泡立ててから
・・・シャンプーは容器から直接髪につけず、手のひらに取り、よく泡立て洗いましょう。
シャンプーの量が少なくてすむだけでなく、頭皮への刺激が軽減されます。

3)洗うときは、爪を立てず、指の腹を使って
・・・髪ではなく、頭皮を洗うことを意識します。
髪の量が多く、長い場合には、髪と頭皮に分けて、二度洗いをしてもよいでしょう。
洗うとき、髪をこすらないようにしましょう。

4)すすぐときも、意識するのは頭皮
・・・シャンプーが頭皮に残らないよう、しっかり洗い流します。
リンスやトリートメントの後も頭皮をよくすすぎましょう。
最後に首筋や顔を洗うのを忘れずに。

5)早めに乾かして頭皮を清潔に
・・・地肌がいつまでも湿っていると、菌が繁殖し、フケや臭いの原因となります。
タオルで髪をこすらず押さえるようにして水分を取りましょう。


【リンスとトリートメントの違いは?】
リンスは髪の表面に膜を作り、髪を滑らかにする働きが大きいのに対し、トリートメントはキューティクルのすき間から内部に浸透し、髪の潤いを保ちます。
【3】髪と頭皮を元気にする生活習慣
▼抜け毛予防は禁煙から
ストレスや睡眠不足、栄養不良、喫煙などが重なり血流が阻害されると、髪は成長できずに抜けてしまいます。
特に「百害あって一利なし」と言われるタバコ。
髪にとっても大敵です。
髪への栄養は血液を介して供給されますが、ニコチンは交感神経を刺激して、血管を収縮させると、頭皮の血行と、髪の毛への栄養供給が悪くなり、髪の成長も妨げます。

▼髪によい食事とは?
髪の毛の主成分はケラチンというたんぱく質です。
髪の主成分となる魚、肉、大豆・大豆製品、卵などの良質たんぱく質はもちろんですが、たんぱく質が有効に利用されるためには、ミネラルやビタミンも積極的に摂取することが大切です。
 
具体的に、健康な髪の毛に必要な栄養素とは、
【たんぱく質】  髪の毛の主成分であるケラチンのモトとなります。
→魚、肉、大豆・大豆製品、卵などに含まれます。

【亜鉛】 細胞の分裂を促進し、ケラチン生成、髪の成長を助け、頭皮の健康を保ちます。 
→カキ・うなぎ・たらこ・カボチャの種などに含まれます。
※特に亜鉛が不足すると、たんぱく質のケラチンの合成が出来なくなるので、抜け毛が増えたり、新たな髪がはえてこないなど、髪、頭皮トラブルの発生リスクを高めてしまいます。

【ビタミンB群】
たんぱく質の代謝をよくし、ケラチンの生成に関係しています。
体内に取り込んだたんぱく質をアミノ酸へ分解したり、アミノ酸から再びたんぱく質を合成する際に欠かせません。
→さば・さんま・いわし・牛乳・うなぎ・玄米・豚肉・鮭・青魚・ゴマ・納豆・ジャガイモなどに含まれます。

【ビタミンE】
血行を良くし、髪の毛へ栄養素を運びやすくします。
→玄米・胚芽米・ゴマ・ナッツ類などに含まれます。

【ビタミンC・クエン酸】
亜鉛の吸収を助けます。
→柑橘類・イチゴ、キウイなどの果物・野菜に含まれます。

食事で摂った栄養分は、心臓や脳など生命に関わる器官や、疲労回復など、体にとって不可欠なところから順に補われる為、栄養が髪に行き渡るのはその後。
髪が元気なときは、全身が健康である証拠であると言えます。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
ストレスと抜け毛など、精神状態が髪や頭皮環境に影響することは、前項でお話した通りですが、「髪は女の命」とか「失恋したら髪を切る」等・・・髪の毛は昔から、なにかと女性の心情をあらわすことも多いようですね。

名作といわれる文学の中にも「髪」をテーマにした話が見られます。

代表的なものに「赤毛のアン」があります。

1880年代、カナダを舞台とした孤児の少女アンの成長物語で、主人公のアンは、赤毛というコンプレックスを持っています。

日本にも、髪をモチーフとして、女性の熱い恋心や情熱を表現した歌集があります。

与謝野晶子の「みだれ髪」や「ながるる黒髪の千すじの髪のみだれ」などです。

髪にまつわる、アメリカ小説には、O.ヘンリーの「The Gift of the Magi(賢者の贈り物)」。

貧しい夫妻が相手にクリスマスプレゼントを買うお金を工面しようとするお話です。

妻のデラは、夫のジムが祖父の代から受け継ぎ大切にしている金の懐中時計にピッタリな立派な鎖を買うために、自慢の美しい髪を美容室でバッサリ切り落とし、売ってしまいます。

一方、夫のジムはデラが欲しがっていた鼈甲の櫛を買うために、自慢の懐中時計を質に入れてしまいます。

クリスマス当日。

奮発して贈ったプレゼントそのものは、すごく高価であったにもかかわらず、結果的に役に立つことのない、行き違ったものとなってしまいます。

しかし、相手の大切にしているものをよく知り、自分の大切なものを犠牲にしても、喜ばせたいと思う、強い純粋な想いがあったという点では、価値ある貴重な贈り物であったのではと思います。

誰かにプレゼントを贈るとき、相手の喜ぶ顔を想像し、私は探しに出掛けます。

なかなかピンとくるものが見つからないこともよくあります。

だからこそ、逆にプレゼントをされたとき、自分を想ってプレゼントを探し回ってくれた時間を想像すると、プレゼント以上にすごく嬉しさが込み上げてきます。

今月、第3日曜日は父の日です。

皆さんはお父さんに何か贈り物をされますか。

私は・・・父を想い、喜ぶことが起きることを想像し、発毛剤を探しにいってきます。(笑)
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