健康コラム

no.29
テーマ:「便秘」
2009年7月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

7月に入り、ますます暑い日が続いていますね。
夏に意外と多いお悩み・・・それは「便秘」です。
薄着になり、肌の露出が増えるこの季節。
便秘に伴う肌トラブルやぽっこりお腹も、私たちを悩ませます。
便秘の原因は、食生活、生活習慣、ストレスなど、人それぞれ。
特にこの時期は、体内の水分が失われやすいため、腸内の水分も少なくなり、便が硬く出にくくなってしまったり、食欲が低下し食事量が減ってしまうことによって、排便に欠かせない栄養素を十分に摂取できていないこともあります。
さぁ、夏本番に向けて、スムーズなお通じと、スッキリお腹を手に入れましょう!
【1】知っているようで知らない?便秘とは?
「便秘」とは、一体どのような状態のことを言うのでしょうか?

毎日お通じがなければ「便秘」でしょうか?

実は、「便秘」には明確な定義がありません。

もちろん、1日1回規則正しい排便習慣は理想的だと考えられますが、排便の回数や間隔には大きな個人差があり、排便回数によって一概に決めるのは難しいとされています。

例えば、2~3日に1回の排便であっても、規則正しくスムーズであり、残便感や不快感がなければ、特に毎日の排便にこだわる必要はないそうです。

逆に、毎日きちんと排便習慣があっても、排便が困難であったり、残便感や不快感を感じる場合には、全く問題がないとは言えません。

通常、その人の排便習慣が乱れて排便が遅れたり、排便が困難であったり、残便感や不快感を感じたりする状態のことを「便秘」と呼んでいます。
【2】便秘の種類と対処法
一言で「便秘」と言っても、その症状は様々であり、便秘の種類によって原因や対処法が異なる場合もありますので、自分がどのタイプの便秘なのかを知ることも大切です。

まず、便秘は大きく2つに分けることができます。

大腸自体の病気(大腸がんや腸管の癒着など)によって便の通過障害が起こる【器質性便秘】と、大腸の機能低下によって便が出にくくなる【機能性便秘】です。

【機能性便秘】には、環境の変化などによる一過性の【急性便秘】と、長期間にわたって排便の不具合が続く【慢性便秘】があります。

さらに、【慢性便秘】は原因によって3つに分けられます。対処法もあわせてご紹介しましょう。


【弛緩性便秘】
…大腸のぜん動運動(便を送り出す運動)の低下により生じる便秘です。
女性や高齢者に多く見られ、お腹が張るのも症状の一つです。
→便が腸内に停滞することで、水分量が減少し硬くなってしまいますので、 水分や食物繊維を積極的にとるようにしましょう。

【痙れん性便秘】
…不規則な痙れん性のぜん動運動によって生じる便秘で、ウサギの糞のような、硬いコロコロとした便が特徴です。
→香辛料、アルコール、カフェインなどの刺激物や、 暴飲暴食、濃い味付け、ストレスなどは避けるようにしましょう。
 冷たい飲み物や不溶性食物繊維も、腸への刺激となりやすいため、過剰摂取には注意が必要です。

【直腸性便秘】
…排便反射の減弱により生じる便秘です。
 便意があっても我慢する人、浣腸を多用する人に多く見られます。
→我慢せず、便意にしたがって排便することを習慣づけ、自分に合った排便のリズムを見つけましょう。
(注意) 便秘の症状には個人差があります。
ご心配な場合は、専門の機関にご相談ください。
【3】快腸・快便のポイント
便秘になってから苦しい思いをするよりも、普段から便秘とは無縁のスッキリした生活を送りたいですね。

ここでは、日常生活でのポイントをご紹介します。


(1)食物繊維をとりましょう

日本人は、食物繊維の摂取量が不足しがちだと言われています。
便の水分を適度に保ち、排便しやすくしてくれる「水溶性食物繊維」と便量を増やし、腸の活動を活発にしてくれる「不溶性食物繊維」をバランス良く食事に取り入れるようにしましょう。
 ※水溶性食物繊維・・・海藻類、こんにゃく、野菜、熟した果物などに含まれる
  不溶性食物繊維・・・穀類、豆類、野菜、未熟な果物などに含まれる

(2)ミネラル・ビタミンをとりましょう
ミネラルやビタミンは、胃腸の働きを保つために欠かせません。
暑いからといって、さっと簡単な食事で済ませてしまったり、外食やコンビニ弁当などの食生活が続く場合には、特に注意しましょう。

(3)水分をとりましょう
腸内の水分が少なくなると、便が硬くなってしまいます。
食物繊維が豊富な食事とあわせて、水分も適度にとりましょう。

(4)適量の食事をバランス良くとりましょう
過剰なダイエットなどで食事量が少なくなると、腸への刺激やぜん動運動が弱まり、便秘になりやすくなります。
また、脂肪抜きに偏った食生活も便秘を招いてしまいます。
バランスのとれた食事をよく噛んで食べるようにしましょう。
  
(5)規則正しい生活を送りましょう
睡眠不足や不規則な生活、疲れ、過度のストレスが続くと、自律神経やホルモンのバランスが乱れ、便秘の原因となります。
規則正しい生活習慣によって、排便のリズムを整えましょう。

(6)適度な運動習慣を身につけましょう
運動不足は、血行不良や筋力低下を招き、便秘の原因にもなります。
日常生活の中でなるべく歩くようにしたり、時間があればストレッチや体操を取り入れるようにしましょう。

(7)身体を冷やさないようにしましょう
身体が冷えると血液循環が悪くなり、胃腸の働きを低下させてしまいます。
クーラーの当たりすぎや、冷たいもののとりすぎにも要注意。
お風呂につかったり、腹巻をするなどして、身体を温めましょう。

(8)便意を感じたら我慢せずトイレに行きましょう
通常、最も便意を催しやすいのは朝食の後だと言われています。
忙しい朝は、朝食を抜いたり、トイレを我慢する人も多いのでは・・・?
きちんと時間をとって、朝食→排便のリズムをつけましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
私も、普段から食生活や生活習慣に気をつけていますが、付き合いでの外食や不規則な生活が続いたり、ストレスが重なったりすると、どうしてもお通じのリズムが乱れやすくなります。

そんなときは、いつも以上に自分をいたわるようにしています。

普段より手間暇かけて作った栄養たっぷりの食事と、十分な休息。

家族や友人との楽しいお喋りや、どこかへ出かけることで気分転換をしつつ、一人でゆっくりのんびり過ごす時間も大切に・・・。

こうして、身体にも心にも「栄養」が行き届くと、いつもの快適なお通じが戻ってきます。

「便所」は、身体からのお便りを受け取る「お便り所」とも読めます。

毎日のお通じは、健康のバロメーター。

身体からのSOSサインを見逃さないようにしたいですね。
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