健康コラム

no.33
テーマ:「乾燥肌」
2009年11月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

朝晩の冷え込みも厳しく、冬の訪れを感じる季節となりました。
この時季、気をつけたいのが「乾燥肌」。
面倒だからと言ってケアを怠り放っておくと、気付けば、ガサガサの肘や膝、ひび割れた踵、粉をふく頬・・・。
それに伴う痛みやかゆみも、悩みの種となります。
今月は、そんな「乾燥肌」についてお話します。
【1】なぜ?秋冬は肌が乾燥する季節??
「乾燥肌」とは、その名の通り、肌が乾燥している状態を言います。

通常、私たちの肌の表面は皮脂膜に覆われています。

皮脂膜とは、皮脂(油分)と汗(水分)が程良く混ざり合ったものであり、外部の刺激から肌を保護したり、水分の蒸発を防いでくれます。

他にも、肌の柔軟性を保ったり、異物や細菌の進入を防いだり、皮脂膜は、肌を健康な状態に保つために重要な役割を果たしています。

この皮脂膜が薄くなったり、なくなったりすると、水分が蒸発しやすくなり、乾燥肌やその他の肌トラブルが起こるのです。

乾燥肌には、生まれつきの体質によるものもありますが、そのほとんどが、日頃の生活習慣や食生活の乱れ、加齢、紫外線、精神的ストレスなどが原因で起こると言われています。


秋から冬にかけては、気温や湿度が低下し、空気が乾燥することで、肌の水分が奪われやすくなります。

屋外だけでなく屋内も、暖房器具の使用によって空気が乾燥しがちです。

また、寒さによって肌の血液循環や新陳代謝が低下すると、皮脂の分泌や肌細胞の再生力も低下してしまいます。

このように、この時季は乾燥肌を招く要因がたくさんあるため、より積極的な肌のケアが必要となります。

「どうせ乾燥肌だから・・・」と諦める前に、もう一度、生活習慣や食生活を見直してみませんか?
【2】知っておきたい肌のケア ~生活編~
①洗いすぎに注意する
体の汚れの大部分は、お湯に浸かるだけでも落ちるといわれています。
その上、ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗ってしまうと、必要な皮脂や角質層まで落としてしまいます。
石鹸などを泡立て、手のひらか綿のタオルで優しく洗いましょう。
洗顔も同じで、必要以上の洗顔によって肌の皮脂が奪われると、水分が蒸発しやすくなり、油分も水分も不足した肌になります。
自分に合った洗顔方法で、油分と水分のバランスを保ちましょう。 

②洗顔後・入浴後にはしっかり保湿する
洗顔後や入浴後すぐの肌は水分を含んでしっとりしていますが、皮脂を洗い落としているため乾燥しやすくなっています。
なるべく早めに化粧水などで水分を補い、その後、水分を逃がさないために乳液やクリームで保湿しましょう。

③熱すぎるお風呂や長湯は避ける
皮脂が溶けて流れてしまい、水分を肌に留めておけなくなります。
ぬるめのお湯で体の芯から温まりましょう。

④暖房器具の使いすぎに注意する
暖房器具は、肌をより乾燥させてしまいます。
必要以上の使用は避け、使う場合には加湿器を併用したり、濡れたタオルを部屋に干すなど工夫しましょう。

⑤水分補給をこまめにする
肌が乾燥している人は、水分が蒸発しているため、体の中の水分も不足していると考えられます。
常温以上の水分をこまめに補給するようにしましょう。

⑥適度な運動を心がける
適度な運動は、体を温め、血液循環を促進してくれます。
血液循環が良くなると、新陳代謝や水分代謝も活発になりますし、体の隅々にまで栄養が行き渡ります。
体調に合わせて、定期的に続けるようにしましょう。

⑦睡眠をしっかりとる
肌細胞は日々生まれ変わっていますが、特に夜間に活発になります。
不規則な生活は避け、夜はぐっすり眠るようにしましょう。
まさに「美人は夜つくられる」なのです!
【3】知っておきたい肌のケア ~食事編~
食生活の基本は、1日3食バランス良く。
ここでは、特に肌を健康に保つために必要な栄養素を紹介します。

◆たんぱく質
 …肌細胞の主成分であり、肌をみずみずしく保つために必要です。 →魚、肉、大豆製品、卵、乳製品などに含まれます。

◆亜鉛
 …肌細胞の新陳代謝に必要であり、コラーゲンの合成にも関わります。 →牡蠣、牛肉、豚肉、うなぎ、納豆などに含まれます。

◆ビタミンB2
 …肌細胞の新陳代謝に欠かせない栄養素です。 →納豆、緑黄色野菜などに含まれます。

◆ビタミンB6
 …たんぱく質の分解、再合成に必要であり、肌の健康に欠かせません。 →穀類、魚、肉、レバー、バナナなどに含まれます。 

◆ビタミンC
 …亜鉛と共にコラーゲンの合成に関わります。 →果物、野菜、いも類などに含まれます。

◆ビタミンA
 …皮膚や粘膜を正常な状態に保ってくれます。 →緑黄色野菜、レバーなどに含まれます。

◆ビタミンE
 …血行促進作用があり、肌に潤いを与えてくれます。 →種実類、アボガド、かぼちゃなどに含まれます。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
今月は乾燥肌についてお届けしましたが、「肌に良い栄養素」と聞くと、コラーゲンを思い浮かべる人も多いでしょう。

コラーゲンは、私たちの体の中に最も多く存在するたんぱく質で、食品では、鶏手羽、鶏皮、軟骨、豚足、カレイなどに多く含まれます。

肌に潤いを与えたり、弾力を保つために働き、美容やアンチエイジングに関心の高い女性の強い味方と言えます。

最近では、コラーゲン入りの食品や化粧品などもたくさん出ていますね。

ただし、食品から摂ったコラーゲンがそのまますぐに体内で利用されるわけではないことをご存知ですか?

食品から摂ったコラーゲンは、一度アミノ酸に分解された後、再び合成され、初めて体内でコラーゲンとして利用されます。

このコラーゲンの再合成に欠かせないのが【3】で紹介した亜鉛やビタミンCなどのミネラル・ビタミンです。

つまり、これらのミネラル・ビタミンがなければ、せっかくのコラーゲンも体内で効率的に利用できないというわけです。

毎日の食事の中で、ミネラル・ビタミンを積極的に摂り、体内のコラーゲン合成を活性化してやることも大切なのですね。


ところで、私は先日「未来の食卓」というフランス映画を観てきました。

オーガニック給食の実践とその背景を追ったドキュメンタリーなのですが、現代人の食生活や栄養、健康について、深く考えさせられる内容でした。

この映画の舞台はフランスですが、今の日本も、様々な食品や食材が溢れている状況です。

自分や家族が食べているものの実態を「知る」こと、そして、自分や家族が口にするものを吟味して「選ぶ」ことは、すごく重要なことなのだと改めて感じました。

現代の食生活とうまく付き合っていくために・・・皆様の「知る」「選ぶ」にお役立ていただけるような情報を私たちも発信していきたいと思います。
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