健康コラム

no.34
テーマ:「冷え」
2009年12月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。
【1】「冷え」はなぜこわい?

「冷え」は、血液循環が滞ったり、水分バランスやホルモンバランスの崩れ、臓器の働きが低下しているサインです。肩こりの主な原因の1つは、血行不良です。身体が冷えると、身体を縮めたり首をすくめたり、身体が緊張した状態が長く続きます。こうした状態は、血液の循環を悪くさせるために、疲労物質がなかなか排出されず、筋肉にたまり、肩こりを起こしてしまいます。さらに「冷え」が続くと、自律神経を乱し、手足の冷えやほてり、頭痛、めまい、腰痛、便秘など、体の様々な不調を引き起こします。特に、女性特有の病気は「冷え」が悪化要因になるとも言われています。
【2】「冷え」を予防するには?

①その日の「冷え」はその日のうちに。入浴はシャワーだけで済ませず、お湯につかって体を芯から温め、「冷え」を翌日に持ち越さないようにしましょう。38度くらいのぬる目のお湯にゆっくりつかる半身浴がお勧めです。筋肉の疲労による肩こりは、入浴や軽い体操などでも緩和します。

②口から「冷え」を取り込まない。暖房の効いた室内で冷たいビールやアイスクリーム・・といった食生活は、最も体を冷やします。 冷たい飲食物は内臓を冷やし、特に胃など消化器系の働きを低下させます。また、白砂糖を多く含む甘いもの、高脂肪のもの、ビール、ワインといったアルコール類も摂り過ぎは体を冷やします。

③体の内から温めて「冷え」予防。冷え性対策に重要な栄養素は、ビタミンE、C、B群、そして良質のたんぱく質です。栄養素の主な働きは下記の通りです。
 ビタミンE :血行を改善して女性ホルモンバランスを整えます。
 ビタミンC :鉄の吸収を助けて貧血予防、細い血管の働きを維持します。
 ビタミンB群:糖質、たんぱく質、脂質をエネルギーに変えるのに必要です。たんぱく質 :筋肉やホルモンの原料になります
 
 その他にも体の内から温める食材として、生姜、根菜類(だいこん、かぶ、ごぼう、れんこん、山芋など)、香味野菜(ニンニク、玉ねぎ、ニラ、らっきょなど)、香辛料(唐辛子、カレー、胡椒、ゆず胡椒など)があります。また、白砂糖や白い食パンなど、精製された食品には、ミネラルやビタミンなどの栄養素が少ないことが多いので、白砂糖より黒砂糖、白い食パンより胚芽パンなど、「白より茶色」の食べ物を選ぶこともひとつのポイントです。
【3】体を温める食べ方、3つの『か』

【かねつ】加熱して食べる
生野菜や果物など、冷たい食べ物は体を冷やすので少量にとどめ、煮る・炒める・蒸すなど加熱調理した温かいメニューを中心にしましょう。しかし、熱すぎる食べ物も胃に負担をかけるので、注意が必要です。

【からみ】辛味をきかせる
唐辛子や生姜、ねぎ、だいこん、ニラなどの辛味成分には血行を促進する作用が期待できます。お鍋などの薬味として活用しましょう。ねぎや玉ねぎなどのねぎ類は、少量を生で使うとより効果的です。また、だいこんは胃腸の消化を助ける酵素を多く含み、食物繊維が豊富なので、腸内の老廃物の排泄を助けます。

【かむ】よく噛んで、腹八分目
よくかむと少量でも満腹感が得られやすく、食べすぎの防止になります。食べすぎや肥満はコレステロールが血管内に溜まる原因となり、血の巡りを滞らせて、冷えを招くことにもなりかねません。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆

寒い夜はお鍋に限ります。特に旬の根菜類を取り入れた温かいお鍋料理は、風邪予防と冷え対策にピッタリです。冬に採れる根菜類は、寒い土の中でじっくりとうまみと栄養をたくわえ、さまざまなミネラルやビタミン、食物繊維や消化酵素などの栄養が豊富。お鍋も「もつ鍋」に「カレー鍋」「コラーゲン鍋」「トマト鍋」など、年々バリエーションが広がっています。
鍋の中でも、最近「タジン鍋」が注目を集めているようです。「タジン」は、三角帽子のような独特な形のフタをした“鍋(土鍋)”。モロッコの伝統的な無水鍋です。使われる鍋の名前も「タジン」、その鍋で作られた料理もすべて「タジン」と呼ばれます。食材からの蒸発した水蒸気が、フタのてっぺんまで上がると、水蒸気が冷やされて水滴に戻り、フタの側面を伝って流れ落ちてきます。モロッコの水が貴重な砂漠の知恵から生まれた、独特な形のフタのお鍋が、食材から出た水分を上手く循環させて、料理をする仕組みです。

この寒い時期だからこそ、加熱調理でしっかり摂りたいたっぷりのお野菜。スープのように野菜からでた栄養素も一緒に摂ることの出来る料理は別ですが、ビタミンCやビタミンB群などの栄養素は、煮る、茹でるといった加熱調理では、せっかくの栄養分が水分中に逃げてしまいます。そこで、おすすめは蒸し料理。タジン鍋を使った蒸し料理はいかがですか?例えば、豚肉とニラ。その他、お野菜を何でも加えて、ゴマたれで食べると、冷え対策に役立つ豚肉のビタミンB群、香味野菜のニラからはビタミンC。ゴマたれからは、ビタミンEが補えます。他には、じゃがいも、かぶ、レンコン、ごぼう、人参といった根菜類に、ブロッコリーなど、野菜をタジン鍋へ。バーニャカウダ※をつけて食べれば、お鍋でイタリアン。体も心もポカポカです。

※アンチョビ、ニンニク、くるみ油(オリーブ油)のディップ・ソースのこと。