健康コラム

no.35
テーマ:「高血圧」
2010年1月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

あけましておめでとうございます。
2010年も、月刊ニックリ健康コラムをよろしくお願いいたします。

さて、相変わらず寒い日が続いていますね。無意識のうちに体を小さく丸めて、全身に力が入っていませんか?
家の中で運動不足になっていませんか?
寒さが私たちの体に及ぼす影響は色々とありますが、今回は「血圧」について注目したいと思います。
【1】「サイレントキラー」の正体は・・・?
「血圧」とは、心臓がポンプ作用によって全身に血液を送り出すときに、その血流によって血管にかかる圧力のことをいいます。

心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力が収縮期血圧(最高血圧)、収縮後の心臓が元に戻ったときの圧力が拡張期血圧(最低血圧)です。

年齢などによる個人差はありますが、通常、収縮期血圧:140mmHg以上、拡張期血圧:90mmHg以上が日常的に続く状態を「高血圧」と呼びます。

高血圧は、長期間放置しておくと血管や心臓に負担を与え、動脈硬化や心臓病、脳血管疾患などを引き起こす要因となりますので、早期発見・早期改善が大切です。

しかし、高血圧は、自覚症状がほとんどなく、自分でも気付かないうちに悪化していくことが多いため、別名「サイレントキラー」とも呼ばれています。

高血圧を引き起こす要因には、肥満、運動不足、塩分過多、アルコール過多、過労、ストレス、喫煙などが考えられます。

これらの生活習慣に心当たりのある人はそれを見直し、さらに、定期的な血圧測定によって自分の血圧を把握することで、血圧を正常範囲内にコントロールしましょう
【2】冬の高血圧注意報
血圧は、日常生活の様々な影響を受けて絶えず変動しており、1日の中でも上昇・下降を繰り返しています。

例えば、運動したときや興奮したときには一時的に上昇し、安静時やリラックスしているときには落ち着くため、血圧測定は安静時に行うことが基本です。

また、朝から昼間にかけて高くなり、夕方や夜、就寝中には低くなることも知られています。

そして、1年を通して見てみると、冬は血圧が高くなりやすい季節だと言われています。

高血圧で悩んでいる人の中には、「冬は血圧が安定しない」という人も多いのではないでしょうか。

では、なぜ冬は血圧が高くなりやすいのでしょう?

寒さによって体に力が入ると、体は緊張状態になり、血管が収縮します。

そこへ普段と同じ量の血液が通ろうとしますので、当然、血管への圧力が大きく(=血圧が高く)なるわけです。

屋内と屋外、室内と廊下・お風呂・トイレなどの寒暖差も血管や心臓の負担となるので注意しましょう。

また、冬は外に出る機会が少ないため、運動不足になりやすいことも、血圧が上がる一因と考えられています。

運動不足が続くと、余った栄養分(中性脂肪やコレステロールなど)が血液中に溜まり、血液は粘って流れにくくなります。

さらに、それらが血管の内壁に取り付くことで血管の内径(血液の通り道)が狭くなり、同じように血管への圧力が大きく(=血圧が高く)なってしまうのです。
【3】こんな場面にご用心
★外出時
しっかり防寒対策をして出かけましょう。
ただし、重たい服やコートなどを着込むと、体に負担がかかり、血圧上昇の原因となるため、薄くて暖かい下着や衣類がおすすめです。

★室内
まず、部屋全体を暖かく保つことが大切です。
前述のように重たい衣類は体に負担をかけてしまうため、薄くて暖かい下着や部屋着を身につけると、動きやすく快適に過ごせます。
廊下やお風呂、トイレなどの寒い場所に行くときにはカーディガンなどを羽織るようにしましょう。

★お風呂
お風呂に入る前には、あらかじめ湯船のふたを開けておくか、シャワーを出しておくと、数分で浴室全体が暖まります。
脱衣所も、暖房器具(※)を利用するなどして暖かく保ちましょう。
また、熱すぎるお湯は血圧上昇を招きますので、
お湯は少しぬるめ(38~40度位)に設定しておきましょう。

★トイレ
寒いトイレと冷たい便座も、血圧上昇の原因となります。
暖房器具(※)でトイレの中を暖かくし、保温式便座や便座カバーの利用をおすすめします。

★その他
ゴミ出しのとき、庭やベランダで洗濯物を干すとき、車から降りて駐車場を歩くとき・・・「少しの間だから大丈夫」と薄着のまま外に出ていませんか?
短時間でも、暖かい場所から寒い場所へ行くときには上着を着てしっかり防寒しましょう。

(※)暖房器具は安全なものを使い、取り扱いにご注意ください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
新年を迎えると気持ちが引き締まり、何か新しいことを始めてみたくなりますね。

今年は、冬季オリンピックやサッカーW杯が開催されます。

スポーツイヤーに便乗して、少し体を動かしてみませんか?(※※)

体を動かすといっても、本格的なスポーツだけが運動ではありません。

特に、高血圧の人には、激しい運動や無酸素運動(筋力トレーニングなど)は不向きなため、ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を、息が少し上がる程度、軽く汗ばむ程度に行うことをおすすめします。

もちろん、寒いときにはしっかりと防寒対策をして行いましょう。

屋内の施設を利用するのも一つの方法ですね。

忙しくて運動の時間がとれないという場合には、日常生活の中で工夫して運動量を増やしましょう。

買い物には車や自転車を使わず歩いて行く、通勤途中で一駅分歩く、エスカレーターやエレベーターではなく階段を使うなど、運動のチャンスは様々な場面に転がっています。

また、毎日家事をする人の場合、意識して動きを大きくすれば、それだけで運動量もアップします。

掃除をすればするほど部屋もキレイになり、一石二鳥ですね。

決して無理をしないことが、長続きの秘訣です。

できることから“トラ”イしてみましょう!


(※※)高血圧やその他の疾患がある場合には、運動してもよいかどうか、どのような運動が適しているか、運動を始める前に必ずかかりつけ医にご確認ください。
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