健康コラム

no.36
テーマ:「花粉症」
2010年2月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

2月3日の節分が過ぎれば、その翌日は立春。
暦の上では春です。
春と聞くだけで、くしゃみが・・・というと、少し大袈裟ですが、花粉症の方にはつらい季節がやってきます。
そんなつらい季節をなんとか乗り切るための今から出来る花粉症対策に関するお話です。
【1】数字で覚える花粉症対策
【50%】部屋の湿度は50%くらいに
花粉は微粒子なので、乾燥した空気中では飛び散り、湿った空気の中では水分を含んで落下する傾向にあります。
エアコンなどで空気が乾燥した部屋は、加湿器で湿度を調整するとよいでしょう。

【12:00~15:00】ピークの時間を避けて外出を
花粉が最も多く飛ぶ時間帯は、昼の12時から午後3時くらいまでです。
花粉との接触を避けるため、この時間帯の外出はなるべく控え、窓を開けたり、布団や洗濯物を外に干すのも避けましょう。

【0.03㎜】見えない場所にも花粉がたくさん
直径0.03㎜といわれるスギ花粉。屋外の人込みはもちろん、室内でも舞い上がっています。
床やソファー、棚、カーテンなど、ほこりが溜まりやすい場所に花粉も溜まります。
こまめに掃除をしましょう。

【8m/秒】ちょっとの隙間でも油断は禁物
花粉の飛ぶ速さは、8m/秒といわれます。
少し窓を開けるだけでも室内に入ります。
窓はなるべく閉めておきましょう。
高いところは花粉の飛ぶ量も多いので、高層階では花粉の多い昼間は窓を開けないようにしましょう。

【10℃】気温10℃以上の日は要注意
暖かく湿度が低い日、風が強く吹く日、雨が降った翌日などは、花粉が多く飛びます。
天気予報をチェックして、マスクなどの対策をしっかり行いましょう。
【2】花粉と戦う体をつくる
健康な体づくりの基本は、食事・運動・休養です。

【アレルギー対策には、洋食より和食を】
よく「食の欧米化」といわれますが、日本人の食生活は、肉や魚、乳製品などの摂取量が増え、高たんぱく・高脂肪食になりました。
食生活の変化は、過敏体質の人や花粉症の人の増加とも関わりがあるといわれています。
野菜や穀物を中心とした和食を見直してみましょう。

【体を動かし、自律神経を安定化】
適度な運動で汗をかくことで、鼻づまりが取れやすくなります。
また、運動は体の緊張を取り、リラックスさせ、自律神経のバランスを整える効果も期待できます。
次の日に疲れが残らない程度の運動を、室内で行うとよいでしょう。

【十分な睡眠、休養を】
睡眠不足やストレスは、花粉症の症状をひどくする原因になります。
十分な睡眠や自分なりのリラックス方法を見つけて、心身を休め、抵抗力を高めましょう。

⇒食生活の対策ポイント
花粉症の症状は、特定の食品ですぐに改善するということはありません。
症状を悪化させる食べ物を避け、栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。

注意したい食べ物は
×辛いもの
香辛料などの刺激物は鼻の粘膜を刺激します。

×冷たいもの
体の冷えは鼻の粘膜の防衛機能を妨げます。
衣類などで寒さ対策をするのはもちろん、冷たい食べ物や飲み物を摂り過ぎないようにしましょう。

×油もの
肉などに含まれる動物性脂肪や、マーガリン等に含まれるリノール酸はアレルギー症状を悪化させますので、取り過ぎに注意です。
同じ脂肪でも、青魚などに含まれるEPAやDHAはアレルギー症状を緩和する効果が期待されています。

×アルコール
飲酒は鼻の粘膜の充血やうっ血を引き起こし、鼻づまりをひどくするので、避けたほうがよいでしょう。
【3】花粉をストップ
【花粉から身を守る】

■マスク、めがね、帽子の3点セットで
花粉症で症状が出やすい鼻や目をマスクや眼鏡でガードしましょう。
髪についた花粉が鼻や目に入ることもあるので、帽子をかぶったり、長い髪はまとめるようにしましょう。

■洋服の素材をチェック
ウール素材のコートやマフラーなどは花粉が付着しやすいのでなるべ避け、コートなどの上着類はつるつるした素材や、目の詰まった素材を選びましょう。
また、衣類とこすれる首元は、花粉が付着すると炎症を起こしやすいので、露出を避けましょう。

■外から花粉を持ち帰らない
外から帰ったら、室内へ入る前に、洋服にブラシをかけ、髪についた花粉を払いましょう。
すぐに着替えるのも有効です。
こうした対策は、同居している人全員で行うことが大切です。

■花粉症は原因から対策を
毎年2月頃からスギ花粉を筆頭に、猛威をふるいだす花粉症ですが、アレルギー症状を引き起こす花粉は他にもあります。
症状に心当たりのある方は、医療機関を受診し、原因となる植物を調べ、その植物が近くにある場合は、あらかじめ除去しておくのも手段の一つです。


【花粉を追い出す】
 
■目や口をこまめに洗おう
帰宅したときだけでなく、職場などの外出先でも屋内から室内へ入った際には、こまめに手洗い・うがいを。
可能ならば、顔や目も洗うと良いでしょう。
粘膜についた花粉をこまめに洗い流すことで、症状の悪化を防ぎます。

■拭き掃除で花粉を退治
花粉は掃除機をかけると舞い上がり、除去しにくくなるため、ぬれ雑巾での拭き掃除がおすすめです。
拭き掃除は、花粉だけでなく、アレルギー症状を引き起こすダニなどのハウスダストの除去にも有効です。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
環境省が実施している調査研究報告(速報)によると、平成22年春のスギ・ヒノキ科花粉総飛散量は、平成21年春と比較して、ほとんどの地域で昨シーズンよりも少なくなると予測されています。

また、スギ花粉の飛散開始時期は、昨シーズンとほぼ同様で、例年よりも1週間程度早くなるようです。

しかし、一部地域を除き、全国的に花粉症を発症しうるレベルであると考えられるため、前シーズン比や例年比での増減にかかわらず、予報に基づいた早めの花粉症予防対策等が必要、とありました。

花粉症の症状に苦しむ人は、毎年増え、自分の周囲でも花粉症の人は増えています。

もう少しあたたかくなれば、通勤途中でも花粉症と思われるマスクをした人を見かけない日はありません。

春先にくしゃみをすれば、「ついに私も花粉症か?!」と心配になってしまいます。

花粉症の原因は、花粉の飛ぶ量(飛散量)が増えたことの他に、大気汚染や、ストレスの増加、食生活の変化など、現代の生活そのものにあるとも言われており、もはや花粉症は一種の現代病といっても過言ではありません。

一度発症すると、治りにくいといわれる花粉症ですが、日頃から花粉との接触を極力避けることはもちろん、環境や食生活を見直すことで予防し、早めの適切な対策によって、症状を緩和させることは可能です。

今年こそは、素敵な春をお過ごし下さい。
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