健康コラム

no.42
テーマ:「むくみ」
2010年8月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

朝起きると顔がはれぼったい。
夕方になると靴がきつい。靴下の跡がくっきり残る。
誰でも一度はこんな経験があるのではないでしょうか?
これらは全て「むくみ」のサインです。
足首の少し上(向こうずね)を指で20~30秒間押さえてみてください。
指を離しても、跡がしばらく残るようであれば、あなたも今日から夏のむくみ対策を始めましょう。
【1】むくみはなぜ起こる?
むくみとは、余分な水分が溜まっている状態を言います。

水分は、血液やリンパ液として体内を循環し、全身に酸素や栄養素を運んだり、不要な老廃物を回収したりしていますが、この循環がスムーズに行われなくなると、余分な水分が皮下組織に溜まってしまい、むくみと呼ばれます。

むくみには、一過性のものと病気に関係しているものがあり、ほとんどの場合は、一過性のものだと言われています。

例えば、水分は重力の影響を受けるため、長時間立ったまま(座ったまま)の姿勢でいると、下半身が一時的にむくみやすくなります。

また、お酒を飲んだ翌朝に顔がむくんでしまうのも、一過性のものですね。

女性の場合、月経前になると、ホルモンの関係でむくみやすくなることも知られています。

しかし、一過性のものだからといってケアを怠り放置しておくと、それはどんどん慢性的なものに変わっていくかもしれません・・・。

体の末端にある水分は、主に筋肉の力で押し戻されますが、日頃からの冷えや血行不良、ストレス、運動不足などが続くと、筋肉の働きが悪くなり、むくみが起こりやすくなります。

また、加齢によっても筋肉は衰えていきます。

特に女性は、男性よりも筋肉量が少ないため、注意が必要です。

規則正しい生活と適度な運動を心がけ、むくみのないスッキリとした毎日を送りましょう。

※むくみは、様々な病気の症状として現れる場合があります。
 長引くようであれば、お早めに専門の機関へご相談ください。
【2】夏とむくみの関係
夏は、汗をかくことで体内の水分が失われるため、「積極的な水分補給を」と言われます。

それなのに、体に余分な水分が溜まっている状態というのは、イメージがわきにくいかもしれません。

しかし、夏こそ、むくみの起こりやすい季節です。

外はうだるような暑さが続いていますが、屋内に入ると、寒いくらいに冷房が効いている場所がほとんどで、冷たいものを飲む(食べる)機会も多いため、私たちの体は、自分で思っている以上に冷えています。

「冷え」とは、体の隅々まで温かい血液が行き届いていない状態です。

つまり、血液循環がスムーズではないため、水分代謝も滞ってしまうのです。

1日中冷房の効いたオフィスでデスクワークをしている人や、冷たい飲みものばかりガブガブと飲む人は、特に要注意。


◎冷房の効いた場所では、カーディガンやひざ掛け、ストール、腹巻、靴下、五本指ソックス、湯たんぽ、カイロなどを利用しましょう。

◎長時間立った(座った)ままの状態が多い人は、合い間に屈伸運動や足踏み、足首回し、ストレッチなどを行い、足の血行を促してあげましょう。

◎水分補給は、なるべく体温以上のものを。冷たい飲みものの場合は、一気に飲むと急激に体を冷やしてしまうため、少しずつゆっくりと飲むように心がけましょう。

◎帰宅後は、1日中冷房にさらされた体をしっかり温めることが大切です。
お風呂はシャワーで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、手や足など、むくみやすい場所をマッサージしてあげましょう。

◎足のむくみが気になる人は、クッションなどで足を高く上げて寝るとよいでしょう。
【3】救世主?!夏野菜でむくみ対策
夏は、濃い味つけのものが美味しく感じられる季節です。

濃い味つけ(=塩分の多い)の食事をとるとむくみが出やすくなることは、皆さんも実体験からご存知だと思います。

何故このようなことが起こるのかというと・・・塩に含まれる「ナトリウム」こそが、むくみを引き起こす原因です。

私たちの体には、体内のナトリウム濃度を一定に保とうとする働きがあり、体内のナトリウム量が多くなると、その濃度を薄めようとして、いつも以上に、水分を体内に溜め込んでしまいます。

濃い味つけのものを食べた後には、すごく喉が渇きますよね。

これは、体が水分を欲しているための生理現象なのです。

この場合のむくみは一時的なもので、体内のナトリウム濃度が元に戻れば解消されますが、現代の食生活は、外食やインスタント食品などの影響でナトリウムが過剰になりやすいため、普段から気をつけることが大切です。

体の中にナトリウムと水分を溜め込まないためにも、ナトリウムの排泄を促してくれる「カリウム」を積極的にとりましょう。

カリウムは、野菜や果物、いも類などに幅広く含まれています。

今の時季、きゅうりやなす、トマトなどの旬の夏野菜は、味も良く安価で手に入りやすい上に、カリウムも豊富です。

しかし、これらの夏野菜には水分が多く、体を冷やす働きもありますので、たくさん食べ過ぎないように、また、なるべく加熱調理をするようにしましょう。

カリウムは水に溶けやすいため、茹でる、煮るなどの調理によって失われやすいという難点もありますが、煮物なら煮汁ごと食べるとよいでしょう。

ただし、濃い味つけにしてしまうと本末転倒・・・気をつけてくださいね。

また、生姜やみょうが、にんにく、ねぎなどの体を温める食材や、温かい料理と一緒にとることもおすすめです。

※カリウム制限のある場合には、お医者様の指示に従いましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
私のおすすめ夏レシピは、トマトとイカのオリーブオイルにんにく炒め。

オリーブオイルとにんにくを熱したフライパンで、トマトとイカをさっと炒めて、塩こしょうで軽く味を調えるだけです。

トマトは、炒めると甘みが増して美味しいですよ。

なすやきゅうりなど、他の夏野菜を加えてもいいですし、パスタと絡めても美味しくいただけます。

是非一度お試しください。

ところで・・・。

一言で「塩」と言っても、今では様々なタイプのものが出回っていますが、皆さんはどんなものをお使いですか?

塩の主成分は、塩化ナトリウム(NaCl)です。

ただし、その「原料」や「製法」の違いによって、含まれる塩化ナトリウムの量は異なります。

99.9%近くが塩化ナトリウムから出来ている塩もあれば、それ以外の成分(カリウムやマグネシウムなどのミネラル)の割合が比較的多くなっている塩もあります。

食生活の多様化で、私たちの選択肢も増えています。

たかが調味料、されど調味料。

毎日使うものだからこそ、吟味して選びたいですね。

ちなみに、私の家では後者を使用しています。

夏のむくみ対策にも、一役買ってくれることを期待して・・・。
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