健康コラム

no.82
テーマ:「海のカキ」
2013年12月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。
【1】「海のミルク」
カキはウグイスガイ目イタボガキ科に属するニ枚貝です。

「海のミルク」とも呼ばれ、その由来は身が牛乳のように白く、良質なたんぱく質やミネラル、ビタミン、グリコーゲンなど様々な栄養素を含むことからその名がついたと言われています。

日本近海にはおよそ20種類のカキが生息しており、広島の「マガキ」、有明海の「住之江(スミノエ)ガキ」、「シカメガキ」、「岩ガキ」、「板甫(イタボ)ガキ」などが有名です。

世界で見るとその種類は200種類以上にもおよびます。

ヨーロッパの人は肉や魚介類を生で食べることを好みませんが、カキだけは例外。
世界各地に生ガキを食べる専門店、オイスターバーも存在するほどです。

カキは生育の環境に大きく影響を受けるので、その産地によって殻の形や身の大きさ、味わいに違いがあります。

日本でカキといえば「マガキ」が一般的です。
マガキは環境の変化にも強く、栄養のバランスも優れており、年による栄養成分のばらつきも少ない品種です。

カキと言えば冬が旬ですが、どうして夏にはマガキが出回らないかご存知でしょうか。

マガキは夏に産卵期を迎えるため(※)、一度の産卵で栄養を使い果たして身が痩せ、味が落ちてしまいます。そのためマガキは産卵前の今が最も美味しく、栄養豊富です。

日本では「花見を過ぎたらカキ食うな」、西洋では「Rのつかない月にカキを食べるな」という諺もあるほどです。(Rのつかない月:May5月、June6月、July7月、August8月)

※人工採苗により、生殖器をもたず「産卵をしない」マガキも開発され、1年を通して安定して食べられる品種も登場しています。
※岩ガキはマガキと同じく夏に産卵期を迎えますが、産卵量が少ない上数回に分けて産卵するため味が落ちにくく、夏が旬とされています。 
【2】カキの元気パワーの秘密
カキの食用としての歴史は古く、日本では縄文時代の貝塚でもカキの貝殻が多く発見されています。

ローマのシーザー、フランスのナポレオン、釈迦など歴史上の人物たちもカキを好んで食べていたことが伝えられています。

今と違って、科学的な検証や栄養学の知識の無い時代。
昔の人も「カキを食べると体にいい」ということを体で感じていたのでしょう。

ではカキの元気パワーにはどんな秘密があるのか見ていきましょう。
特に注目の3つの栄養素を取り上げました。


●亜鉛
“鉛”という文字が使われていることから、「何となく体に悪そう・・・」と勘違いされることもしばしばですが、体内の様々な働きや健康維持に欠かせない栄養素です。

また、体内で作ることや一度に大量に摂ったからといって摂り溜めすることが出来ないので、毎日続けて摂ることが大切です。

☆『成長や発達の促進』
亜鉛は成長ホルモンの分泌やたんぱく質の合成に働きかけ、体や骨の成長に必須なミネラルです。
         
☆『味覚障害の予防』
人の舌の細胞には、味蕾と呼ばれる味を感じる器官があります。
亜鉛が不足すると、本来活発に行われるはずの新陳代謝が滞り、古い細胞が残ってしまうため、味を感じる能力が低下してしまいます。
また、だ液の分泌にも亜鉛は不可欠です。

☆『肌や髪の健康維持』
亜鉛はケラチンというたんぱく質の生成と髪の成長を助け、抜け毛を防ぎます。
さらに、亜鉛はビタミンCと協力して皮膚の潤いやハリを保つコラーゲンを作ります。
   
☆その他の主な働き
『イライラや落ち込みの解消』
『二日酔いの予防』
『傷や炎症の修復』
『風邪の予防』
『性ホルモンの合成・分泌』 
『活性酸素の除去』
『血糖値を下げるホルモンであるインスリンの合成』 

●ビタミンB12
動物性食品にのみ含まれるビタミンで、結晶の色から「赤いビタミン」とも呼ばれます。
酵素が体内で働くために重要な役割を果たします。 

☆『巨赤芽球性貧血の予防』
巨赤芽球性貧血はビタミンB12の吸収障害によって起こります。
ビタミンB12は、葉酸と協力して赤血球のヘモグロビンの合成をサポートし、貧血を予防します。  
  
☆『神経機能の正常化』
神経細胞内のたんぱく質・核酸の合成や、脳からの指令を伝える神経を正常に保つためにも大切です。
    
☆その他の主な働き
『脂肪の代謝促進』『睡眠・覚醒リズムの正常化』  

●銅
骨や骨格筋、血液などに多く存在する栄養素です。
酵素として体内の様々な代謝に関わります。
 
☆『貧血の予防』
ヘモグロビンを作る時に鉄を必要な場所に運び、鉄の吸収・利用を促進します。

☆『皮膚や骨の健康維持』
コラーゲンやメラニン色素を作り、皮膚や骨を丈夫に保ちます。

☆その他の主な働き
『たんぱく質や甲状腺ホルモンの合成』
『活性酸素の除去』
【3】カキの美味しい嬉しい食べ方
生ガキ、フライ、お鍋、ホイル焼き、グラタンなど様々な調理法で美味しく食べられるカキですが、あるものと組み合わせることで栄養素の吸収率がぐっと高まります。

それは酢やレモン汁。
含まれるビタミンCやクエン酸には、カキに含まれる亜鉛や鉄の吸収率をアップする働きがあります。
 
普段、何気なくカキフライや殻つきの生ガキにレモン汁をかけたり、酢ガキにして食べていますが、実はとても理にかなった食べ方なのです。

また、酢やレモンの爽やかな香りによって、カキの臭みを消す効果もあります。

また、カキを美味しく、安全に食べるためにも生でカキを食べる時は必ず非加熱用(生食用)のカキを選ぶなど、目的に合わせて表示を確認しましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
このメルマガを考えている時、無性にカキが食べたくなり、旅行先の三重で地元産のカキフライを食べました。

小さい頃はカキが苦手だったのですが、だんだんとその魅力が分かってきた気がします。

独特の磯の香りやぷるぷるとした食感はカキならではの味わいですね。

カキは、一旦岩などに付着すると一生ほとんど動かないため、筋肉の代わりに内臓が発達し、9割を占めています。

他の貝のようなコリコリとした食感がなく、独特の旨味や食感が味わえるのはそのためです。

私もカキから元気をもらって、これからの忙しい時季を乗り越えられるよう頑張りたいと思います。

皆さんもお体をいたわりながら、どうぞよい新年をお迎えください。