健康コラム

no.215
テーマ:「運動習慣」
2025年6月号
梅雨の時期に入り、雨が続くと外出がおっくうになってしまいがちですよね。
日課にしている散歩やランニング等ができず、運動不足になってしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日々の健康管理には栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠はもちろん、適度な運動も重要になります。

今回は「運動習慣」をテーマにお届けします。
【1】運動がもたらす健康効果
運動を習慣的に行う人、身体を動かす事が多い人は、心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症等の発症リスクが低く、死亡率も低いと言われています。

また、運動をする事でストレスが発散する、睡眠リズムが整う、記憶力が向上する等の効果があります。

ただ、頑張り過ぎると疲れてしまって継続する事が難しいかと思います。
1日にたくさん運動をするより、適度な運動を習慣化する事で身体と心の健康につながりますよ。
【2】適度な運動量とは?
前回の4月の健康コラムは、「日本人の食事摂取基準」についてご紹介していたかと思います。

食事摂取基準は、食事からどれくらいエネルギーや栄養素を摂ったらよいかを年代・性別ごとに示した基準ですが、
実は運動にもどれくらい運動したらよいかを示す目標値があるのは、ご存じでしょうか。

厚生労働省では、日常生活における1日の歩数の目標値(※1)を示していて、
20~64歳 → 男性8,000歩、女性8,000歩
65歳以上 → 男性6,000歩、女性6,000歩
としています。

ちなみに現状の歩数の平均値(※2)は、
20~64歳→ 男性7,506歩、女性6,494歩
65歳以上→ 男性5,329歩、女性4,419歩
となっており、目標は男女ともに同じ歩数ですが、平均値を見ると女性の方がより歩数が少ない事がわかります。

※1 健康日本21(第三次)身体活動・運動分野に関する目標・指標
※2 令和5年「国民健康・栄養調査」歩数の状況

また、毎日の歩行と併せて、以下の運動も推奨されています。(※3)
成人  → 息がはずみ汗をかく程度以上の運動を1週間の合計60分以上
高齢者 → 有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動・柔軟運動など多要素な運動を週3日以上   
※3 健康日本21(第三次)身体活動・運動に関する推奨事項

目標値に関しては上記の通りですが、健康状態、体力レベルや身体機能には個人差があります。
運動の強度や量は調整し、まずは可能な範囲で取り組んでみてはいかがでしょうか。
【3】少しでも運動量を増やすには?
運動量が少ないと感じる方は、まずは日常生活の中で少しでも身体を動かす時間を増やしましょう。

国が示す健康づくりのための身体活動指針であるアクティブガイドでは、
『+10(プラス・テン):今より10分多く体を動かそう』をメッセージとして日々の身体活動量アップを推奨しています。(※4)

普通歩行の時間を+10分する事で、60kgの方であれば、1年間で1.5kgの体重減少効果が期待できるそうですよ。

※4 アクティブガイド-健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023-

・目的地のひとつ前の駅で降りて、歩く時間を増やす。
・エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使う。
・つま先立ちで歯を磨く。
・テレビを見ながらストレッチをする。

など、身体を動かす時間が取れない方や苦手な方も仕事や通勤途中、家事や生活の中でできる事から始めてみてはいかがでしょうか。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
運動を習慣化するのは、「健康のために!」と思っていてもなかなか難しいかと思います。

実際、運動習慣者(※5)の割合(※6)は、
20~64歳→ 男性28.5%、女性22.7%
65歳以上→ 男性43.8%、女性35.0%
となっていて、運動を習慣的に行っている人の方が全体で見ると少ない傾向にあります。

※5 1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者
※6 令和5年「国民健康・栄養調査」運動習慣者の状況

私も今まで、スケジュールの中に”運動をする”という時間を設けた事はなかったのですが、「これではいけない!」と一念発起し、エアロバイク(室内で自転車のようにペダルを漕ぐ事ができるフィットネスマシン)を買いました。
身体を動かす事で、ぐっすりと眠れて睡眠の質も高まったように思います。

ぜひ、一緒に運動を習慣化しましょう!
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