健康コラム

no.208
テーマ:「酒粕」
2024年6月号
酒粕とは、酒を絞ったあとに残る副産物(残りカス)のことです。

「カス」といわれると、不要なもののように思ってしまいますよね…。
しかし、酒粕にこそ、体に嬉しい栄養素が豊富に含まれているんです!

様々な症状に良い働きが期待できる酒粕ですが、今回は美容に着目。

カスだなんてとんでもない、酒粕の魅力をご紹介していきます!
【1】酒粕ができるまで
酒粕の原料は【米】【微生物】【水】です。

米はいつも私たちが食べている米とは違い、酒米と呼ばれる「山田錦」や「美山錦」などが使用され、雑味になるたんぱく質等を取り除き、70%以下(吟醸酒は60%以下・大吟醸酒は50%以下)まで精米します。

また、酒造りにおいて特に重要なのが【水】ですね。

「名水どころに名酒あり」ともいわれますが、仕込みの際に使用する水によって、酒の味に大きく差がでます。

酒と酒粕が出来るまでの大まかな流れは以下の通りです。

精米→米を洗う→水に漬ける→蒸す→酒母(※)と麹を造る→もろみを造る→仕込んだもろみを約20~40日ほど発酵させる→しぼり出す→原酒と酒粕の完成!

(※)もろみを発酵させるもとになるもの。

徹底した温度管理や細やかな麹のお世話など、全ての工程を蔵人さんが丁寧に作業され、美味しい酒と酒粕が出来上がります。
【2】酒粕の栄養成分
酒粕=麹菌=腸活!というイメージが強いですが、その他にもたんぱく質やミネラル、ビタミン類などがバランスよく含まれた、非常に栄養豊富な食材です。

【含まれている主な栄養素一覧】

・たんぱく質
・脂質
・炭水化物
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・マグネシウム
・リン
・鉄
・亜鉛
・銅
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンB6
・ナイアシン
・葉酸
・パントテン酸
・食物繊維

この中でも、食物繊維やビタミンB2・B6が比較的多く含まれています。

●ビタミンB2

細胞を新しく作り出したり、再生するために必要な栄養素。
子供の発育に欠かせない栄養素なので、「成長ビタミン」とも呼ばれる。

●ビタミンB6

たんぱく質を分解し、エネルギーに変えるために働く。
神経伝達物質の合成を補助し、脳を正常に保つ働きも助ける。
【3】美肌作りにも役立つ!
発酵による生産物に、保湿・美肌に嬉しい成分がたくさん存在しています。

特にα-エチルグルコシドとα-グルコシルグリセロールは、保湿と肌荒れを防止する効果が期待できる成分だといわれています。

これらの成分の働きにより、肌からの水分飛散量が通常の半分に、肌のやわらかさが2倍になったという研究結果(※)も出ているそうです。
(※)大関、カネボウ、長谷川香料の共同研究より

さらに、ポリフェノールの一種である“フェルラ酸”も含まれており、シミやシワを予防して、皮膚の若さを保つ働きが期待できます。

酒粕には保温効果もあるので、全身に美容効果をもたらしたい時は“酒粕風呂”がおすすめです!

【酒粕風呂のやり方】

(1)酒粕200g程度を、水切りネットやストッキングに入れて口を閉じる。
(2)湯船に浸かりながら手で揉み出して、お湯が乳白色になればOK!

たくさん購入して余らせてしまうこともあるので、一度挑戦してみようと思います。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
「毛穴ケアをしたいな~」「肌の調子が悪いな~」という時に、よく酒粕パックを使用します。

毛穴が引き締まり、目に見えて肌がトーンアップするので、かれこれ5年以上同じ商品を愛用中です。

今回酒粕について調べて、この効果の理由に納得しました。

料理では、粕汁や粕漬けの他に…

●毎日のお味噌汁にちょい足し
●ココアなどのホットドリンクに混ぜる

などのアレンジも美味しかったので、ぜひお試しください♪

もっと日常にうまく取り入れて、外からも中からも酒粕の恩恵を受けたいと思います。
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