健康コラム

no.205
テーマ:「女性の健康週間」
2024年3月号
3月1日~8日までの8日間は「女性の健康週間」です。

女性が自らの健康に目を向け、生涯を通じて健康で明るく、充実した日々を過ごすための支援を目的として定められました。

女の子の健やかな成長を祈る「ひな祭り(3月3日)」を中心に「国際女性デー(3月8日)」までの8日間、女性の健康づくりに関わるイベントが全国各地で開催されています。

女性だけでなく、男性や周囲の方にも是非ご覧いただければと思います。
【1】女性の体とライフステージ
女性の心と体は、一生を通じて女性ホルモンに左右されているといっても過言ではありません。

また、女性ホルモンは思春期、成熟期、更年期、老年期などライフステージ(※)によって劇的に変化する特性があります。

※人生の変化を節目で区切った、それぞれの段階のこと

エストロゲン(女性ホルモン)の分泌量の変化とともに女性のライフイベントや気をつけたい健康課題を紹介します。

●思春期:8歳~18歳頃
エストロゲンの分泌量が増える時期
→月経異常、PMS(月経前症候群)、痩せすぎ、摂食障害など

●成熟期:18歳~45歳頃
エストロゲンの分泌が盛んな時期
→妊娠・出産、不妊症、月経困難症、子宮筋腫、子宮内膜症など

●更年期:45歳~55歳頃
エストロゲンの分泌量が急激に減少する時期
→閉経、更年期障害、うつ、子宮(頸・体)がん、卵巣がん、乳がんなど

●老年期:55歳以降
エストロゲンの分泌が乏しくなる時期
→骨粗鬆症、尿漏れ、萎縮性膣炎、アルツハイマー病など

このように各年代によって健康課題が異なり、それに対するケアも変わってきます。

近年は働く女性が増えたことで、こうした女性特有の悩みを企業や自治体などで社会的にサポートしようという動きが出てきました。
【2】「フェムテック」「フェムケア」って?
最近、よく見聞きするようになった「フェムテック」「フェムケア」という言葉。

フェムテック【Femtech】とは、女性【Female】とテクノロジー【Technology】を組み合わせた言葉で、フェムケア【Femcare】は、女性【Female】とケア【care】を組み合わせた言葉です。

いずれも女性の健康課題を解決するための製品やサービスを指しており、テクノロジーを活用したものを「フェムテック」、それ以外のものを「フェムケア」と呼ぶことが多いようです。

言葉だけだと、少し分かりにくいですよね。

例えば、低用量ピルのオンライン処方や基礎体温の管理アプリ、MRIを活用した痛くない乳がん検診などのサービス。

尿漏れや生理用の吸水ショーツ、骨盤底筋トレーニングアイテム、デリケートゾーン専用の洗浄剤などの製品が挙げられます。

こうした「フェムテック」「フェムケア」市場は年々拡大しており、これからますます身近なものになりそうですね。

また、女性だけでなく「メンテック」「メンズケア」といった男性に向けた製品やサービスも生まれつつあるようです。
【3】ヘルスリテラシーを高めよう
こうした新しいサービスや製品の活用、社会的なサポートと併せて、私たち自身がヘルスリテラシーを高めることも大切です。

女性特有の疾患は症状が現れる頃には重篤化している場合もあり、定期的な受診や検診が必要です。

欧米では若い頃からかかりつけの産婦人科をもつことは一般的ですが、日本では婦人科は「妊娠した時に行くところ」というイメージが強く、若いうちから受診する人が少ないのが現状です。

また、子宮がん・乳がん検診の受診率も国際的に低く、最も高いアメリカが76.5%なのに対して日本は44.6%に留まっています(※)。

※公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計2023」

自分(女性)の体について、まだまだ知らないことも多いですよね。

「女性の健康週間」で検索すると国や自治体が発信している様々な情報をご覧いただくことが出来ますよ。

見て、知って、興味を持っていただくことで自分自身の体を守ることにつながれば一番いいですね。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
今回のコラムをきっかけに知ったことやケアのうち、特に驚いたのが「現代の女性の月経回数はかつてないほど多い」というお話です。

昔、女性の出産回数が多かった時代は(妊娠・授乳中は排卵しないため)、一生のうち月経は100回にも満たなかったといわれています。

現代の女性は初潮年齢が早まった他、出産回数が減少したため、はるかに多い約400回と推測されています。

月経の回数が多いとそれによる煩わしさ、不調を抱える期間が長くなるだけではありません。

回数が多いとその分、子宮や卵巣がダメージを受けるため、病気(子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣がん、乳がんなど)になるリスクが高くなることが分かってきました。

そこで注目されているのが月経が4か月に1回だけ起こるよう設計されたピルです。

月経の回数を減らすことで婦人科疾患の予防の他、子宮内膜症の痛みや月経困難症の症状を軽くする効果もあるそうです。

これまで我慢するのが当たり前だったことが変わっていくといいなと思います。
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