健康コラム

no.204
テーマ:「豆乳」
2024年2月号
日本には、豆腐、油揚げ、湯葉、きなこ、納豆、醤油、味噌など…
大豆から作られる食品が多数ありますよね。

今回はその中から【豆乳】についての内容をお届けします!

大豆=“大きな豆”ではなく、古来から重要なたんぱく源であったことから“大いなる豆”“大切な豆”という意味が込められているそうです。

体内で十分に生成されない必須アミノ酸が豊富で、なんとアミノ酸スコア(※)は100!
※ たんぱく質の栄養価を表す数値

そのまま飲んでも美味しく、料理にも活用しやすい【豆乳】は、体に嬉しい魅力満載の食材なんです。

その他の豆類については、過去の記事をご覧ください!
【1】豆乳の歴史
近年は日本でも一般的な飲み物として親しまれていますが、そもそもの起源は中国にあります。

今から約2200年前に発明され、“健康に良い食品”として中国国内に広まっていきました。

日本で商品化されたのは1970年代なので、日本人にとっては比較的歴史が浅い食品ですね。

中国では牛乳の方が豆乳より先に誕生していましたが、牛乳を主に飲んでいたのは遊牧民族です。

当時は乳用牛の飼育が少なく高価だったため、豆乳の方が多くの人々に親しまれていました。
【2】豆乳に含まれる栄養素は?
豆乳はアミノ酸のバランスに優れた食品ですが、それだけでなく他の栄養素も豊富に含まれています。

含まれる栄養素と、その働きは以下の通りです。

・ビタミンB1…糖質の代謝
       脳や神経の働きを正常に保つ

・ビタミンB2…脂質の代謝、細胞の再生
       過酸化脂質を分解・排出することで、肥満や生活習慣病を防ぐ
       
・ビタミンB6…たんぱく質の代謝
       皮膚や髪の毛、粘膜などの生まれ変わりを促す
       
・ビタミンE…体をサビから守り、細胞の老化を防ぐ(抗酸化作用)
       毛細血管を広げ、血行を良くする

・マグネシウム…カルシウムやリンと共に、骨と歯を構成する
        300以上の酵素の働きを助け、特に糖質の代謝に関わる

・鉄…ヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶ役割を担う

・葉酸…赤血球の形成を助ける

・大豆サポニン…脂肪吸収を抑制する
        過酸化脂質の生成を防ぎ、血管をしなやかに保つ
        水に溶けると発泡作用があり、汚れを落とす作用もある

・大豆レシチン…脳細胞を活性化する
        記憶力、集中力を高める
        コレステロール値を下げる

・大豆イソフラボン…女性ホルモン(エストロゲン)のような働きをする
          更年期障害の緩和、骨粗鬆症の予防、血圧の上昇を抑える
          薄毛予防、前立腺がん予防

大豆イソフラボンは、女性の健康に特化した栄養素だと思われがちですが、実は男性にも嬉しい働きが!

性別問わず、積極的に摂取したい栄養素ですね。
【3】注目の物質「エクオール産生菌」
前項で説明した大豆イソフラボンは、腸内フローラのエクオール産生菌が「エクオール」という成分に変えてくれることで、体内でよい働きをするということが分かってきています。

ということは、体内にエクオール産生菌を有していないと、大豆イソフラボンを摂取しても効率よく効果を得ることができない、ということになります。

体内でエクオールを作ることができる人は、欧米人では20~30%、日本人では50~60%程度だといわれています。

日本人がエクオール産生菌を多く有しているのは、昔から味噌や豆腐を多く摂取してきたことが大きな理由です。

しかし、日本でも年齢が下がるにつれてエクオールを作れる人の割合は減少しており、10~20代では欧米人と同程度の割合しか産生できていないという研究結果も出ています。

これは「食生活の欧米化」「大豆製品と食物繊維の摂取不足」が主な原因だと考えられています。

今一度食生活を見直して、一汁三菜の伝統的な日本食のスタイルを意識することが、改善の第一歩ですね。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
台湾料理の「鹹豆漿(シェントウジャン)」ってご存じですか?

台湾の朝食の定番で、小えびやザーサイ、揚げパンなどが入っている豆乳のスープです。

お酢が入っているので、豆乳が良い具合に固まって美味しいんですよね~!

これだけを食べに台湾に行きたいくらい絶品です。

海外に行くと、日本にはない味付けに出会えて面白いですよね。

久しぶりに海外旅行に行きたいなぁと、コラムを書きながら想像していました。
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