健康コラム

no.203
テーマ:「健康と長寿」
2024年1月号
新年のご挨拶を申し上げます。
2024年も、月刊ニックリ健康コラムをよろしくお願いいたします。

年越しそばやおせち料理を食べた時、初詣の際に「これからも元気でいられますように」と健康や長寿を願われた方も多いのではないでしょうか。

人生100年時代どころか、120年時代といわれる昨今。
健康で長生きをするために普段から意識している方も増えています。

今回は「健康と長寿」をテーマにお届けします!
【1】「加齢」と「老化」は違う?
「年齢を重ねると誰でも平等に老いる」

そんな風に「加齢」と「老化」をイコールで考える方は多いかと思いますが…。

実際には違う意味の言葉です。

「加齢」は生まれてからの時間経過を示したもので、「老化」は加齢に伴う、身体や精神の様々な機能が衰えていくことを意味します。

同じ年齢の方でも見た目が若々しい方もいれば、年齢よりも上に見える方もいらっしゃいますよね。

これは、「加齢」が誰でも平等におとずれる一方で、「老化」には個人差があることを意味しています。
【2】老化のスピードが早い人の特徴って?
見た目が若々しい方と老けて見える方。

これは単に見た目の問題だけでなく、見た目が若々しい方は実際に体の中も若く、長生きする――。

このように、人によって老化のスピードはかなり異なっていることがニュージーランドで行われた研究(※)で明らかになりました。

※ニュージーランド南島・ダニーデン市で1972年~1973年に生まれた約1,000人を26歳から45歳まで20年間追跡したもの

そのなかで老化のペースが早い人には以下の9つの特徴がみられたそうです。

①歩く速度が遅い

②握力が弱い

③バランス能力が低い

④視力・聴力の低下

⑤外見が老けている

⑥IQ検査のスコアが低い

⑦老化について否定的

⑧75歳まで生きられないと考えている

⑨脳の表面積が減少している


反対に言えば、「歩くスピードを早く保ち、握力や体幹を鍛える」「老化を前向きに捉える」など①~⑨の内容が当てはまらないよう、早いうちから心がけるのが大切ということですね。

それにしても、45歳の時にすでに老化のペースに差がついてるとは何だかびっくりですね…。

また、老化には遺伝よりも生活習慣など環境の方が大きく影響しているそうです。
【3】京丹後市の長寿の秘訣とは?
京都には日本有数の長寿地域があります。

それは…京都府の最北端に位置する京丹後市です。
京丹後市は100歳以上の方の割合が全国平均のおよそ3倍!

世界最高齢としてギネスに認定された男性が暮らしていたのも京丹後市。

さらに、長寿というだけでなく健康に長生きをされている方が多いという特徴があります。

例として挙げると…
・血管年齢が全国平均より10歳若い
・血糖値、中性脂肪が低く、骨密度が高い
・大腸がんの罹患率が京都市の2分の1以下
・腸内に善玉菌が多い など

その長寿の秘訣について、京丹後市の65歳以上の1,000人を対象に「京丹後コホート研究」が大学と病院との共同で行われています。

研究によって分かってきたのが、京丹後市の健康な高齢者の3つの要素です。

1つめが【生活リズム】
朝起きたら畑や田んぼで仕事をし、ご家族やご近所の方との関わり合いの機会が多いそうです。
また、就寝時間が早く、布団に入ってから寝るまでの時間が短いという特徴があります。


2つめが【食事】
たんぱく質の摂取が動物性のものよりも豆や魚介類から多く摂っており、野菜や果物から食物繊維を豊富に摂っていることで健康な腸が作られているそうです。

特に腸内細菌のうち、長寿菌とも呼ばれる「酪酸菌」という善玉菌が多いことも分かっています。


3つめが【運動】
農業従事者が多い京丹後市では、畑仕事などで自然と鍛えられている方が多く、全国平均と比べて歩くスピードが速く、時間も長いそうです。


「京丹後コホート研究」は2032年まで続けられるといいます。

まだ今は明らかになっていないこともあると思いますので、最終的にどんなことが分かるのか、とても楽しみです。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
最近、60代を迎えた親戚や身内が次々とジムやエクササイズに通うようになりました。

「年齢を重ねても元気でいるためには何かしないとダメだな」と改めて感じるこの頃です。

それにしても、元気で若々しいシニアの方が最近は多いですよね。

私も負けないように今年からは運動習慣、始めたいなと思います。
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