健康コラム

no.185
テーマ:「みょうが」
2022年7月号
公式オンラインショップがリニューアルいたしました。
ぜひ一度ご利用ください。
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

夏の代表的な薬味である「みょうが」。

そうめんに乗せて食べるとおいしいですよね!

古くから愛されている野菜ですが、食材として栽培されているのは日本だけだとか。

中国では、主に漢方薬に使われているそうです。

そんな、日本でしか食べられない「みょうが」の逸話や魅力を紹介していきます♪
【1】みょうがを食べると物忘れする?
みょうがは本州から沖縄まで各地に自生していますが、特に高知県が代表的な産地です。
冒頭にも記している通り、元々の原産地である中国やインドでは栽培されておらず、欧米にもない、数少ない日本独自の香辛野菜なんです!

3世紀に書かれた『魏志倭人伝』で書かれているほど歴史が古く、“香りのする芽”という表現から、古くは芽香(めが)と呼ばれており、「めうが」→「みょうが」となったといわれています。

ところで、タイトルにもあるように“みょうがを食べると物忘れする”という言い伝えがあるのはご存じですか?

この話は、あるお坊さんの逸話が由来となっています。

インドに生まれた周利槃特(しゅりはんどく)はお釈迦様に弟子入りをしましたが、物覚えが悪く、自分の名前すらも覚えられないという悩みを抱えていました。

そこでお釈迦様は名前を書いた札を用意し、首からぶら下げさせ、名前を聞かれた際には指を差して伝えていました。

周利槃特が亡くなった後にお墓の周りに名前の分からない草が生えていたため、自分の“名”を“荷”って生きたというところから「茗荷(みょうが)」と名付けられたそうです。

ということは…“みょうがを食べると物忘れする”というのは、科学的な根拠はないということですね!

今までたくさん食べてきたので、安心しました(笑)
【2】独特の香りの正体は?
みょうがの成分は、9割以上が水分で占められています。

その他はビタミンCやビタミンE、カリウム、色素成分のアントシアニン等に加え、香気成分の【α-ピネン】が含まれています。

このα-ピネンが、みょうがの独特の香りの正体です。

α-ピネンは精油成分であり、大脳皮質を刺激し、頭をシャキッとさせる作用もあります。
「物忘れ」とは真逆の効果ですね!

精油成分=揮発性なので、生で食べる方が栄養素の吸収がよくなります。

また、食欲を増進させ消化を促進させる働きや、食中毒を防止する殺菌・解毒作用もあります。
まさに夏にぴったりの野菜です♪

食物繊維も多く含むことから、生活習慣病の予防にも効果を発揮することも分かってきています。
【3】選び方や保存方法
みょうがには蕾のような形をした一般的な【花みょうが】と、細長い形の【ミョウガタケ】があります。

【花みょうが】
夏に根茎から出る花穂で、花が咲く前に収穫します。
初夏から花穂が出る早生系、8月からの中生系、9月からの晩生系に区分されます。
夏みょうが(7~8月)と秋みょうが(9~11月)に大別する場合もあります。

【ミョウガタケ】
軟化栽培した50~60cmの若い茎で、3~4月の春が旬です。
収穫前に光を当て、紅づけしてから出荷されます。

旬を過ぎてしまったからか、何軒かスーパーを回ってもミョウガタケは売っていませんでした…。

一般的な花みょうがはふっくらと丸く、葉が閉じているものを選んでくださいね!
茶色いものは収穫されてから時間が経っている可能性があるので、鮮やかなピンク色の光沢のあるものを選びましょう。

みょうがの保存の際は、乾燥が大敵です。
一つずつラップで包むか、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙で包んで冷蔵庫の野菜室に入れておくと良いです。

4~5日は持ちますが、香りが身上の食材なので、なるべく早く食べましょう。
切った物はラップでピッタリと包み、冷蔵庫に入れておきます。

冷凍する際は、刻んだものを保存することをおすすめします。

丸ごと冷凍する事も出来ますが、シャキシャキ感が損なわれ、香りも弱まってしまうのでご注意ください!
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
東京の文京区には「茗荷谷」という地名がありますよね。

そこは江戸時代に早稲田村から茗荷谷あたりまでが「早稲田みょうが」の産地だったことに由来しています。(諸説あるようですが!)

切り立った崖の下に清水が湧いていて、周辺でたくさんみょうがが採れたそうです。

地名からその土地の特色や歴史が分かるのもおもしろいな~と感じていました。

京都の「壬生菜」=京都市の壬生地区発祥の京野菜 のような、食材と地名についても今後調べてみようと思います!
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