健康コラム

no.137
テーマ:「アボガド」
2018年7月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

梅雨が明ければいよいよ本格的な夏が始まります。

夏が旬のおいしい食材ってたくさんありますよね。

トマトにきゅうり、なす、ピーマンなど、特に夏は、色の濃い野菜がおいしい季節です。

このあたりはみなさんご存知かと思います。

しかし、「アボカド」の旬が夏だということを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、夏が旬の少し意外な食材「アボカド」をテーマに、健康コラムをお送りしたいと思います。
【1】アボカドについて
アボカドは、クスノキ科の種実です。

メキシコと中央アメリカが原産で、低温に弱い性質をもつため、主に熱帯、亜熱帯で生育する樹木です。

栽培について記録として残っているもので13~14世紀頃、アステカ族によって栽培されていたとされています。

また、13世紀頃、当時のインカ王の墓からもアボカドの種が発見されています。

そして16世紀頃にアメリカに伝わった後、ヨーロッパやオーストラリアに伝わり、日本へは100年ほど前に入ってきたと言われています。

ザラザラとした皮の質感とその形から、和名は「ワニナシ」といい、昭和40年頃までは「アボカド」ではなくそのように呼ばれていたそうです。

なお、アボカドの語源は「生命の泉」や「生命の果実」を意味する“アファカト”だそうで、「アボガド」と言われることもありますが、正式名称は「アボカド」です。
【2】森のバター
アボカドの成分のうち最も多いのが脂質で、その量はなんと、100g中18.7gにもなります。

アボカドが「森のバター」と呼ばれるのはこのためですね。

「脂質」とだけ聞くと、なんだか体に悪そう…?
と思ってしまいますが、注目していただきたいのが、その種類です。

脂質には様々な種類のものが存在しますが、アボカドに含まれるのは、血液中の余分な中性脂肪やコレステロールを減らしたり、血栓を防ぐ働きがある不飽和脂肪酸の一種“オレイン酸”です。

オリーブオイルの主成分と言うと、イメージしやすいかもしれませんね。

また、アボカドにはビタミン類も豊富に含まれており、特に多いのがビタミンA、E、Cです。
これらのビタミンは、ガンや生活習慣病の予防に必要とされる抗酸化作用があることで知られています。

さらに、カリウムや鉄、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルも豊富に含まれています。

なかでも、カリウムの含有量はとても多く、カリウムを多く含むことで知られるバナナと比べても倍量含まれています。

カリウムは、ナトリウムを体外に排出してくれますので、高血圧やむくみの予防に役立ちます。

近年は、塩分の摂りすぎが指摘されていますので、積極的な摂取が望まれる栄養素のひとつでもあります。

他にも、食物繊維が豊富に含まれており、その量はなんとゴボウに匹敵します。 

そんなアボカドは、「世界一栄養価の高い“果物”」としてギネスブックにも載っています。

果物?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

主にスーパーなどでは、野菜のコーナーに置かれていることが多いため、野菜だと思われがちですが、アボカドは果物に分類されるのです。

健康効果はもちろんですが、“食べる美容液”とも言われ、美容や若返り効果でも注目を浴びています。

あのハリウッド女優オードリー・ヘプバーンもよく食べていたそうですよ。
【3】アボカドの簡単レシピ
アボカドの美味しいレシピは数えきれないほどたくさんあり、どれをご紹介するかとても悩みますが・・・

今回はとっても簡単なのに、とっても美味しくクセになる【漬けアボカド】のレシピをご紹介したいと思います。

ではさっそく材料ですが・・・
特別な決まりはありません!お好きな調味料で漬けてください!

と言いたいくらい、どんな味付けにも合う食材ですが、今日は、醤油ベースの「漬けアボカドレシピ」をご紹介します。

用意する材料は、
・アボカド
・しょうゆ
・みりん
・ごま油
・にんにく

これだけです。

アボカドをお好みの大きさに切り、ポリ袋やタッパーなどの容器で調味料と一緒に漬け込み、数日間冷蔵庫で寝かせれば完成です。

他にも、はちみつレモン漬けやめんつゆ漬け、塩麹漬け、ポン酢漬け、みそ漬けなど・・・
お好みの調味料・食材で漬けアボカドを楽しんでみてください。

ちなみに美味しい(食べごろの)アボカドの選び方は、色と硬さがポイントです。
皮にハリがあり、色は全体が黒っぽく(濃い緑)、軽く握った時に少し柔らかく感じるものがちょうど食べごろです。

そして、ヘタが外れているものは避けましょう。
隙間から空気が入り、果肉が変色していることがあります。

しかし、お店で売られているアボカドって、毎日が“ちょうどいい食べごろ”っていうわけではありませんよね。

今日はどれも熟していないな~。なんて日もあると思います。

そんな時は、常温(室温)で食べごろになるのを待つしかないのですが、急ぎの場合は、リンゴやバナナと一緒にポリ袋に入れて密封しましょう。

これらの果物から出るエチレンガスは、アボカドの成熟を早めてくれます。

熟していないアボカドを購入した際にはぜひ試してみてください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
日本では100年前から食べられているとお話ししましたが、よく見かけるようになったのは比較的最近のような気がしますね。

その健康効果に加え、様々なジャンルで幅広く活躍するため、調理法などが雑誌やテレビでも大きく取り上げられるようになりました。

特に若い世代を中心にアボカド料理に人気が出てきているようで、最近では「アボカド料理の専門店」なるものがあるくらいです。

アボカドは、あのまろやかでとろけるような味・食感も大変魅力的ですが、真ん中にドン!と居座る、あの存在感たっぷりの種も少し気になりませんか?

ほとんどの方があの種を捨てていると思いますが、実は発芽させて「アボカドの木」を育てることが出来るのです。
※ 冷蔵庫で冷やした種は発芽しないこともあります。

種には上下があり、わずかに尖っている方が「上」、平らな方が「下」になります。上の尖っている所から芽が出て、下の平らな所から根が伸びます。

そのため、まずは取り出した種を綺麗に洗い、種の下半分が水に浸かるようにします。
※ 爪楊枝を3~4本刺して、容器のフチに固定する(ひっかける)のがおすすめです。

その状態を保ちながら、日当たりの良い場所に置いておきます。

するとうまくいけば、どんどん芽が伸びていきます。
ある程度の大きさになれば、植木鉢に移し替えて、観葉植物として楽しむことが出来ますよ。

機会があればチャレンジしてみてください。
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