健康コラム

no.112
テーマ:「頭痛」
2016年6月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

あっという間に春が過ぎ去り、季節は梅雨に移り変わりました。

晴れたり、雨が降ったり天気の移り変わりが多いこの時期。
天気が悪い日は「頭が痛い」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

現在、15歳以上の日本人のうち、3人に1人は「頭痛持ち」とも言われています。

今日はそんな「頭痛」をテーマに健康コラムをお届けします。
【1】頭痛の種類
頭痛は大きく、【機能性頭痛】と【器質性頭痛】という2つに分けられます。

多くの人が日常的に悩まされる慢性的な頭痛が、【機能性頭痛】です。

種類は主に、
●片頭痛
●緊張型頭痛
●群発頭痛
などが挙げられます。

そして【器質性頭痛】は、他の病気が原因となり起こる頭痛です。

頭痛を感じている人の約1割が器質性頭痛だと言われています。
脳腫瘍や髄膜炎、くも膜下出血などを発症しているケースもあり、“普段経験したことのない痛み”を感じて受診する人が多いようです。

このように、【器質性頭痛】による頭痛の痛みは、大きな病気の合図かもしれません。
「いつもの頭痛だろう」と無理や我慢をせず、早めに病院へ行くことが大切です。
【2】機能性頭痛
前項でお話した頭痛の種類の中でも、その多くを占めている「機能性頭痛」について詳しく見ていきたいと思います。

■片頭痛
頭の片側もしくは両側が“ズキンズキン”と脈打つような痛みが特徴です。

そのメカニズムは、はっきりとは解明されていないそうですが、何らかの理由で脳の血管が急激に拡張することで炎症が起こり、痛みが起こると考えられています。
吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

また、前兆現象として「閃輝暗点(せんきあんてん)」が出る場合もあります。
閃輝暗点とは、視野の中にチカチカ光る小さな点が現れ、それが次第に大きくなっていきます。
場合によっては視野の片方がまったく見えなくなったり、中心部がぼやけて見えにくくなったりします。

さらに、心身のストレスから解放されたときに急に血管が拡張することがあり、休日などに起こるケースも多いようです。

その他にも、疲労や寝不足、女性ホルモンなども関係していると言われています。

≪対策≫
頭痛が起きている時は、血管を広げてしまう入浴や運動は控え、痛む部分(こめかみなど)を冷やし、静かなところで休みましょう。
また、その際には光や音の刺激を避けることも大切です。

■緊張型頭痛
後頭部を中心に頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です。

ストレスや眼精疲労、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けることによって、血行が悪くなり、首や頭の筋肉が緊張することで起こります。
また、冷えや運動不足も原因のひとつだと言われています。

≪対策≫
入浴などで首や肩周辺を温めたり、ストレッチやマッサージで筋肉の緊張をほぐしましょう。
適度な運動を心がけ、ストレスを解消することも大切です。

■群発頭痛
片方の目の奥が激しく痛むのが特徴です。

そのメカニズムは、はっきりとは解明されていないそうですが、頭部の血管の拡張が関わっていると考えられていて、群発頭痛の場合は目の後ろを通っている血管が拡張して炎症を引き起こすため目の奥が痛むと言われています。

季節の変わり目に始まることが多く、毎日のように頭痛を起こすようになります。
痛みは一定期間(約1~2ヶ月程度)続き、片頭痛が女性に多くみられるのに対して、群発頭痛は男性に多く、女性の4~5倍とも言われています。

≪対策≫
群発頭痛は、飲酒やタバコなどが誘因になります。
頭痛が起こっているときは、禁酒・禁煙に努めましょう。
【3】天気と頭痛の関係
天気が悪い日は、頭が痛いという方も多いのではないでしょうか。

天気と頭痛の関係は様々な説が言われていますが、今回は、【気圧センサー】との関わりについてお話します。

気圧センサーとは、耳の奥の内耳(ないじ)という場所にあり、内耳は、体のバランスをとる役目をしています。

内耳にはリンパ液がたまっていて、体が傾いたときなどに流れが生じることで、脳がそれを感知してバランスをとります。

しかし、気圧が変化すると、気圧センサーがそれに反応し、体の傾きに関係なくリンパ液に流れが生じます。

体が傾いたわけではないのに、リンパ液に流れが生じると、目からの情報と内耳からの情報が食い違うため、脳が混乱しストレスを感じます。

そしてそのストレスが、交感神経を興奮させ痛みを引き起こすと考えられています。

※天気と体調の関係についてはこちらもご参照ください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
雨の日は、頭痛だけでなく古傷が痛むという人もいますよね。

このような“天気痛”の発生を予測する「天気痛予報」が、ヨーロッパ各国やアメリカでは公共サービスとして放送されているそうです。

天気痛は、頭痛や傷だけでなく、首や腰、神経痛などの痛みもあり、日本でも3人に1人はこれを経験していると言われています。

私自身、天気の悪い日や、緊張が解けた時などに頭が痛くなることがあります。

一時的に痛みを回避する手段としては、鎮痛剤を利用される方も多いと思いますが、これも頻繁に飲むのはよくありませんよね。

デスクワークなどで同じ体勢が続く時は、少しストレッチをしてみるなど、血液循環が滞らないようにすることも大切です。

また、頭痛の種類によっても対処法が異なりますので、ご自身に合った対処法で頭痛対策をしていきましょう。
※いつもと違う痛みが生じていたり、頭痛の他にも異常がある場合には、専門医にご相談ください。
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