健康コラム

no.49
テーマ:「花粉症」
2011年3月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

日本気象協会調べによると、2011年の春の花粉飛散量は、2010年に比べ、10倍以上になると予測されています。
くしゃみに、目のかゆみやショボショボ、涙、鼻水、鼻のムズムズ感、喉のイガイガ・・・。
花粉症の方にとって、今年は特に辛い季節になりそうです。
花粉量が多いとされる今年は、念入りな花粉対策の必要がありそうです。
【1】なぜ、今年は花粉が多い?
毎年の花粉飛散量は、前年の夏の日照時間や気温、降水量など、気象条件によって大きな影響を受けます。

春先に花粉を飛ばすスギやヒノキ科の雄花の花芽は、夏に成長しはじめ、長雨や冷夏の場合には、花芽の成長が鈍く、花粉も少なくなり、一方、夏の日照時間が長くて気温が高いと、花芽の成長が促進され花粉が多くなります。

そのため、異常な猛暑であった昨年の夏の気象条件から、2011年は、2010年を大きく上回る花粉が全国的に大量に飛散すると予測されるわけです。


また、日別の花粉飛散量も気象条件に影響されます。

天候が良いと、雄花の開花が促進され、日光によって地上付近の空気があたためられると上昇気流が発生し、花粉が飛びやすくなります。

よく晴れた風が強い日、湿度が低く乾燥した日、雨上がりの翌日の晴れた日には、花粉の飛散量が多くなるので要注意です。
【2】花粉から身を守る
人の体には、体内に侵入した外敵を取り除こうとする働き「免疫機能」が備わっています。

ただ、人によっては、ある特定の異物に侵入されると、この免疫機能が過剰に反応してしまいます(アレルギー反応)。

花粉症では、もともと体にとって無害な花粉を、体が外敵とみなし、免疫機能が誤作動してしまった結果、花粉症特有の不快な症状が現れてきます。

花粉症の症状を和らげたり、今後の発症を防ぐためには、なるべく花粉を浴びないことが大切です。

セルフケアのポイントは、「花粉の除去と回避」です。


<完全防備で外出を>
花粉が付着しやすい部分は、表面に出ている頭と顔です。
メガネやマスクをつけたり、 髪をまとめ、帽子などで花粉との接触を避けましょう。


<玄関でシャットアウト>
花粉は人に付着して移動します。
必ず家に入る前に、衣服に付着した花粉を十分払い落としましょう。
表面に花粉がつきにくい素材(ナイロン)の上着を選びましょう。


<まずは、手洗いうがいを>
手洗いうがいで皮膚や粘膜に付いた花粉を洗い流しましょう。
帰宅後すぐに入浴し、洗顔を行うのも花粉を落とすために有効です。


<窓やドアは開けっ放しにしない>
換気をする時は、花粉の飛散量が多い昼間は避けましょう。
空気清浄機を使うのもよいでしょう。


<掃除はこまめに>
花粉はほんのわずかな隙間からでも室内へ侵入してくるため、こまめな掃除が欠かせませんが、一番大切なことは、「花粉を舞い上がらせない」ことです。
フローリングの床であれば、まず拭き掃除をしてから、掃除機をかけましょう。


<洗濯物を外に干さない>
洗濯物や布団を外に干すと、大量に花粉がついてしまいます。
外に干す場合には、花粉量が多い12時から15時頃の時間帯を避け、よくはたいてから取り込むようにしましょう。

健康コラム第36号「花粉症」もご参照ください。
【3】花粉症に役立つ栄養素
花粉症の発症には、体の免疫機能が関係しています。

ここでは、特に花粉症に役立つ栄養素をご紹介いたします。


◆亜鉛 …免疫機能を正常に維持するために働きます。
 →牡蠣、牛肉、豚肉、うなぎ、納豆などに含まれます。


◆セレン …抗酸化酵素の成分となり、活性酸素から細胞を守ります。
 →牡蠣、ホタテ、イワシなど魚介類に比較的多く含まれます。


◆ビタミンB6 …たんぱく質や脂肪の代謝に必要とされ、免疫機能を正常に保ち、アレルギー症状の緩和に働きます。
 →マグロ、サンマ、カツオ、鶏ささみ、バナナなどに含まれます。


◆ビタミンC …コラーゲンの合成に必要とされ、皮膚や粘膜の健康維持に働き、アレルギー症状の緩和を助けます。また、抗酸化作用も持ちます。
 →果物、野菜、いも類などに含まれます。
 ※熱に弱いので、新鮮なものを選び、調理は手早く行いましょう。


◆ビタミンA …皮膚や粘膜を健康に保ち、免疫力を高めます。
 →緑黄色野菜、うなぎなどに含まれます。
 ※油と相性がよい栄養素で、炒め物などにしたり、油分を含む(マヨネーズやドレッシングなど)と一緒に摂ると、吸収が高まります。


◆ビタミンE …強い抗酸化力を持ち、ビタミンAやCと共に鼻、目の粘膜の炎症やかゆみの元となる活性酸素の除去に働きます。
 →うなぎ、鮭、アボガド、ごま、ナッツ類などに含まれます。


◆DHA・EPA(ドコサヘキサエン酸・エイコサペンタエン酸) …炎症を抑える作用があり、かゆみなどのアレルギー症状を鎮めます。
 →サバ、サンマ、イワシなどの青魚に含まれます。
 ※DHA・EPAは酸化されやすいので、旬の新鮮なものを選びましょう。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
花粉症の人の人数は増加の一途をたどり、現在、日本人の5人に1人が花粉症ともいわれ、今後も増加することが予想されています。

その花粉症が増えた原因の一つに、食生活の変化(高脂肪、高たんぱくの食事)がいわれています。

たんぱく質は、正常な免疫機能の維持に大切な栄養素ですが、食生活が偏りすぎるとアレルギー反応を高めてしまうことがわかっています。

特に免疫機能を低下させ、アレルギー症状の発症や悪化に関係する食品として下記の食品が挙げられ、摂り過ぎには注意が必要です。


×ファーストフード・脂っこい料理・獣肉類 バター・チーズ・マーガリン・マヨネーズの摂り過ぎ
 →偏った食事はアレルギーを発症しやすくしてしまいます。

×酒・香辛料・チョコレート・コーヒーなど刺激性の強い食品
 →血管や粘膜の炎症を起こしやすくします。

×砂糖の多い食品
 →アレルギーの原因となる過酸化脂質を増加させます。

×加工食品
 →ミネラルの吸収を邪魔する食品添加物が多く使われており、栄養が偏りがちになり、ミネラル不足の原因になります。


その他に、喫煙やストレス、過労、睡眠不足も免疫機能を低下させ、花粉症などのアレルギー症状の誘発原因になってしまうことがあります。

アレルギー症状は自律神経と深く関わっているため、ストレスによって自律神経の調節が乱れると、花粉症の発症や悪化につながってしまいます。

花粉症の症状を和らげたり、今後の発症を防ぐため「ストレスや疲労にうまく対処する」ことが大切で、日頃から「規制正しい生活習慣」「バランスの良い食事」「適度な運動」「十分な睡眠」を心がけていきましょう。
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